見出し画像

GarageBand、本当に無料でいいの? プロの作曲家が初めて遊んでみたら…

こんにちは! 作編曲・演奏家の呼野 阿美香(よぶの あみか)と申します。

普段は楽曲提供や編曲、公演での演奏、さらに洗足オンラインスクールに勤務しながら聖徳大学で作曲の講師として授業も行っています。

そんな私の活動において「パソコン」「音楽制作ソフト」は欠かせない存在なのですが、実は何度も目にしているのにほとんど触ったことがない音楽制作ソフトがあるんです。

Apple製品を使っている方なら、一度は見たことがあるであろうコレ↓

参考:Garageband

約11年もApple製品を使い続けているApple信者の私ですが、これまで1回も触ったことがありません……。ただ、無料で使えるソフトウェアであることもあり、「実際どんなことができるのか?」は以前から気になっていました。今回はGarageBand初心者の私が、楽しく遊びながらレビューをしていこうと思います。


無料で使える高機能な音楽制作ソフト

「GarageBand」はAppleが開発・販売するmacOS・iOS・IPadOS用の音楽制作ソフトウェア。macやiPhoneなどを購入したときから入っており、無料で使える音楽制作ソフトです。似たようなソフトで「Logic Pro」(有料)という音楽家向けのものもあり、私自身は仕事柄、このソフトを日常的に使用しています。

GarageBandは無料で使えるということもあり、Logic Proと比べると付属で入っている音源やサウンドの量が少なかったり、本格的に音のバランス調整ができるミキサーが搭載されてなかったり……。

音楽制作を専門としている人には少し不便な部分もありますが、ある意味単純な作りになっているので、音楽制作初心者の方には扱いやすいソフトだと言えます。

音楽制作のため「だけ」ではなかった

早速macOS版のGarageBandを開いてみました。シンプルな画面ではありますが、面白そうな項目が左側のメニューに並んでいますね〜!

指板・鍵盤が表示されるので分かりやすい!

まず「演奏方法を学ぶ」ではギターとピアノの奏法に関する基本的なレッスンを受けることができました。チューニングの方法、演奏姿勢、コードの押さえ方、ペダルの踏み方……など、思った以上に細かく説明してもらえてびっくり!

本格的に楽器を触ったことがない方でも、これらの動画を見るだけでピアノとギターの基本的な扱い方は覚えられるのではないでしょうか。

次に「レッスンストア」をクリックしてみると、「ギターレッスン」「ピアノレッスン」「アーティストレッスン」の3項目が出てきました。

ギター、ピアノレッスンでは、先ほどの基礎レッスンに続く実践的な奏法を学ぶことができます。ギターであれば「ブルース」や「ロック」。ピアノであれば「クラシック」や「ポップス」など、幅広いジャンルの奏法を学べるところも◎ですね。

アーティストレッスンを開いてみると、ノラ・ジョーンズやベン・フォールズを始めとした世界的な音楽家がずら〜っと! 実際の作品に使用されているコードの解説もされているので、楽器が弾けなくても楽しめるカリキュラムだと感じました。これが無料だなんて、すごすぎる。

実際にGarageBandを触ってみるまでは音楽制作のためのソフトだと思っていましたが、全くそんなことはありませんでした。充実した機能に感動です!

10分で1曲できちゃった

さっそく音楽を作って遊んでみたいと思います。「空のプロジェクト」でイチから作ることもできるみたいですが、今回は用意されている「プロジェクトテンプレート」を使ってみます。

この中の「エレクトロニック」というのが気になったので開いてみると……。

すでにドラム(黄色いトラック)が組み込まれています! しかも「エレクトロニック」というジャンルに合う音のトラックもいくつか準備されていて、あとは音を打ち込むだけという感じ。

ジャンルに合う音色選びは、とても時間がかかる作業なので、こうやって最初から提案してくれているのはとてもありがたいです。全部演奏して録音するのもいいのですが、今回は初心者向けということで、右上の「ループブラウザ」からすでにある音素材も使ってみようと思います。

右側のループ一覧には、たくさんの音素材があります。自分で演奏するのが難しくても、ここから合いそうな音素材を選ぶだけで、曲を完成させることもできちゃうんです。ただ聴いているだけでも楽しい〜!

私も合いそうな音を選んで、トラックへ(青色のトラック)。ベース・ストリングス・シンセ(緑色のトラック)は演奏して打ち込みましたが、誰でも演奏できるぐらい、とっても簡単に打ち込んでみました。

譜面にするとこんな感じ。

これをずっとループ(繰り返し)させてみると……。

よく見る音楽制作の画面になりました。画面の下に色々なツマミがありますが、このツマミを使わなくても音楽制作自体はできるので、今回は触れません。

ちなみに、どんなときにツマミを触るかというと、主に実際に打ち込んだ音をキレイに調整・修正する(音量、音質等)ときに使用します。ツマミの種類もこれだけではなく、さまざまな用途のツマミがあり、プロはこれらを上手に用いて、よりよい音質の作品を皆さんにお届けできるように調整を行っているのです。

さてさて、話を戻して……。どんな感じのサウンドになったのか、聴いてみましょう。

いかがでしょうか。かなり雰囲気のあるサウンドになっていますよね! ここまででかかった時間は、10分ぐらいです(笑)。

それもこれも、GarageBandのシンプルな作りのおかげ。使い方が分かりやすいから、時間をかけずに一定のクオリティを持った曲を作れますし、楽しいからどんどんモチベーションも上がってくる感じがします。

もっと遊んでみたくなり、このループの上で自由にピアノを弾いてみました。楽しい〜!!!

iOS版のGarageBandも面白い

iOS版のGarageBandも、macOS版とは違った楽しさがあって感動ものです。アプリを使えばどこでも自由に音を出せるため、簡単な打ち込みや演奏程度であればiPhone上で行えます

実際に楽器を購入するのはお金がかかるし、趣味程度だから購入するまでもない……など。「音を出してみたいけどできない」という悩みを持つ方にとっても重宝するように感じました。もちろん、実際の楽器が持つ音色とは若干異なりますが、どこでも気軽に音を出せる点はやはり魅力的ではないでしょうか。

これほどたくさんの楽器や項目があるので、本当は全部触ってレビューしたいところですが、今回はiPhoneで簡単に自分好みの着信音を作ってみようと思います。

オーディオファイルで着信音を作る

どのサウンドを開いてもできそうなのですが、今回はオーディオ素材を着信音にしていこうと思ったので「AUDIO RECORDER」を開いてみます。ちなみにこの方法を試す場合は、着信音にしたいオーディオファイル(フリー素材や自分で作った曲など)をあらかじめ用意しておく必要がありますので、ご了承くださいませ。

左上の赤丸部分を押して、トラックを表示させます。ここに、着信音にしたいオーディオファイルを挿入します。

右上の赤丸を押して、ファイルからオーディオファイルを選択し、長押ししたままトラックへ移動します。

オーディオファイルを挿入できたら、右上のプラスボタンで小節(長さ)を調整します。このときトラックをクリックすると、切り取りやコピーなどの項目が表示されるので、好きな部分を着信音にしたい場合に使用していきます。調整が完了したら、左上の青丸で保存(書き出し)すればOK。

書き出されたファイルを確認します。長押しすると「共有」という項目から「着信音」というものを選べるので、そこから着信音ファイルとして書き出しします。あとはiPhone側の着信音設定から、書き出したファイルを選択すれば設定完了です!

また、アラーム音にも設定できるので、自分好みの設定にすると朝起きるのが少しだけ苦じゃなくなるかもしれませんね(笑)。

今回試したやり方以外にもさまざまな方法があると思いますが、意外と簡単に作れたのでぜひ試してみてくださいね。


今回初めてGarageBandを使ってみましたが、想像以上に機能が充実していて楽しかったです。初心者向けのソフトということもあり「音楽をちゃんと作らなきゃ!」みたいなプレッシャーを背負わなくていいので、純粋に楽しく遊ぶことができる点も魅力のひとつだと感じました(通勤時間や空き時間の暇つぶしとしても遊べるかも)。

私自身、まだまだ試せていない機能もあるので、時間があるときにまた遊んでみようと思います!

あわせて読みたい:

Text by 呼野 阿美香