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中学生の頃から「Finale」を愛用してきた私が、サービス終了を受けて決断したこと

先日、ある発表を受けて音楽業界に激震が走りました。
 
The End of Finale」
楽譜作成ソフトFinaleの開発を終了する」
 
Finale」は、楽譜制作ソフトとしては最大のユーザー数を誇り、35年ものの間、音楽業界で愛され続けてきました。

この発表が意味することは、「OSを変更しなければ引き続き使えるが、今後アップデートなどはなくなり、2025年8月以降は新たに使用するための認証(アクティベート)やサポートが受けられなくなる」ということ。

私もFinaleユーザーです。中学生のときに購入して以来、今までずっと愛用してきました。あまりにも衝撃的な発表で、SNS上でもさまざまな声が上がり、ネットニュースにも取り上げられるほどでしたね……!
 
音楽業界に身を置く人間として、楽譜制作ソフトは必ず必要です。突然すぎる発表で、今後の見通しが完璧に立っているわけではありませんが、今回は実際にFinaleを愛用していた私自身の選択を皆さんに共有できればと思っています。ひとつの例として、今後の参考になりますように!


考えられる選択肢は…

Finaleの開発終了発表を受け、考えられる選択肢は主に3つ。

1.   今使っているPCが壊れるまでFinaleを使い続ける
2.   新たなソフトに移行する
3.   メインで使う新たな楽譜制作ソフトを導入し、Finaleはサブとして使えなくなるまで使う

多くの方はこの中のどれかを選択をすることになるかと思います。ちなみに私はというと……。
 
「メインで使う新たな楽譜制作ソフトを導入し、Finaleはサブとして使えなくなるまで使う」という選択をしました。

新たな楽譜制作ソフト+Finaleを使っていく理由

どのような楽譜作成にも的確に対応するため

Finaleが完全に終了するのは、今のところ2025年の8月とされています。以降はOSを変更したりPCが壊れたりしなければ使えるのですが、一生使い続けられるわけではない……。

そう考えると、新たな楽譜制作ソフトは遅かれ早かれ導入することになります。今までの経験上、こういうソフト関係の少し面倒な作業は早くやっておいた方が吉! ということで、これを機に新たな楽譜制作ソフトの導入を決めました。
 
加えて、今まで通りFinaleを使っていく理由としては、ふたつあります。

ひとつ目は、どんな楽譜作成にも的確に対応していくためです。どんなソフトにもそれぞれ「得意とする部分」と「そうでない部分」が必ずあります。

これまではFinaleで少々使いにくい部分があっても、そういうものだと思ってやってきました。今後、新たなソフトを使い慣れていく過程で、その辺りを見極めながら「この編成だったらこっち!」「簡単な譜面はこっち!」など、上手く使い分けができるようになれば、効率よくハイクオリティな楽譜作成ができるのではないかと考えています。

何かあったときの「保険」のため

ふたつ目は、何かの不具合でどちらかのソフトが立ち上がらなくなってしまったときのためです。

ソフトが立ち上がらなくなるのは珍しい話ではありません。大抵そういうトラブルは、何故か忙しいときに限って起きたりします(笑)。

ひとつしかソフトを持っていなかったら、立ち上がってくれるまで作業できませんよね。そんなとき、もうひとつのソフトで楽譜作成ができる環境にしておくと、時間を無駄にせずに済むのです。
 
また別の見方をすると、現状でFinaleに不具合がなく使えている方は、今後も不具合はなく、むしろ安定したまま使い続けられるのではないでしょうか。開発を終了するということは、アップデートなどの新しいバージョンの提供がなくなるわけですから、今のままのOSで使い続ければ「OSと合わないことによる不具合」などが起こりにくいと考えられるわけです。
 
このようなことから、私に合った最適な使い方は何かを考え、新たなソフトとFinaleのふたつを、メインソフト・サブソフトとして使っていく選択をしました。

DORICOではなく、Sibeliusにした理由

新しいソフトを導入するのはお金がかかりますし、どれにするか迷いますよね。FinaleユーザーはDORICOというソフトへの移行を特別価格で提供するという発表も同時にありましたが、私は迷うことなくSibelius Ultimate(永久ライセンス アカデミック版)に決めました。

このソフトを選んだ理由。Finaleと同じく楽譜制作ソフトの第一線を担っているだけあって、ユーザー数が多いためです。音楽現場にいる多くの作編曲家の方々からも、「使っているソフトはSibelius」としか聞かないくらい!

実は音楽制作のお仕事を本格的にするようになった大学生の頃から、Sibeliusにも興味がありました。いつか使ってみたいな〜とぼんやり思っていたのも、理由のひとつとしてあります。

正直、操作性や機能的なものは、人によって感じることが全然違いますし、私も実際に使って慣れてみないとわからない部分でもありますが、Sibeliusは音楽や映画等のレコーディングで使用されるPro Tools(音楽制作ソフト)との相性が抜群なので、私の今後のビジョンを考えたときに、Sibeliusが最適ではないか?という結論に至りました。

また、この他にもいくつかの楽譜制作ソフトがありますが、どうやら無料ソフトであるMuseScoreもFinaleユーザーに向けたアップデートを計画しているようです(参考:MuseScore公式)。

どのような楽譜制作ソフトが合うかは人それぞれ違うと思いますが、気になる方は各ソフトの公式ページをご確認ください!

DORICO PRO(Finaleユーザーは特別価格で購入可能)

MuseScore(無料ソフトでありながら、本格的な楽譜も作成可能)

スコアメーカーZERO(国産のソフト。小編成の楽譜作成に向いている印象)

Finaleユーザーが今しておくべきこと

新たなソフトに移行したいと考えているFinaleユーザーが、今しておくべきことはふたつ。

①Finaleファイルの一括変換で、XMLファイルへ

XMLファイルにすることで、他のソフトでもFinaleファイルを開くことができます。多少、文字化けのような現象が起きるかもしれませんが、していないよりはしていた方が何倍もいいです!
 
ちなみに、XMLファイル変換の方法は、とても簡単!

「Finaleを開く→ファイル→エクスポート→MusicXMLファイルの一括変換」
この後、Finaleファイルの選択をして、変換完了!

そこまで手間はかからないので、時間のあるときに変換しておくと良いと思います。

②PCが2台ある方はFinaleのライセンス認証をしておく

先述した通り、Finaleの開発が終わってもOS変更やPCが壊れない限りは使い続けることができますので、来年の8月までに2台目のライセンス認証をしておくとさらに延命できると思います。

詳しくはこちらの公式ページに掲載されています。

Finale、ありがとう…

本当に突然の発表だったので、数日経った今でも驚きを隠せないのですが……。今まで一緒に歩んでくれたFinaleに「ありがとう」の気持ちと「これからも頑張って働いてくれ〜!」という思いでいます。

私は今後Sibelius+Finaleコンビで楽譜の作成をしていきますが、Finaleの対応も今後どうなっていくのかは正直、定かではありません。音楽家からいろいろな意見が出ているようで、何かしらの対応があるかもしれませんし、今のままの対応から何も変化なく、終わりを迎えてしまうかもしれません。

今迫られている選択は、どれが「良い」か「悪い」かではありません。もちろん、しばらく様子を見るのもアリだと思っています。これからもさまざまな情報が出てくるかもしれませんが、あくまでも自分の用途に合った選択をして、楽譜制作環境を整えてもらえればと思います。

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Text by 呼野 阿美香