シニアクライシスをも乗り越えて充実する人生とは?
働き盛りとして、かつては人生で最も充実した時期だといわれてきた「中年」だが
現在ではうつや不安に襲われる危機を迎えやすい年代であることがわかってきた。シニア達のクライシスと申しますか。
中年クライシス(ミッドライフ・クライシス)と呼ばれる又はシニアクライシスその時期をどう乗り越えるか。
そのことに深堀してみたいと思います。
シニアクライシス男性と女性が増加
人生を過ごすということは幾つかの危機も訪れることがあります。
30代後半から60代くらいにかけて起こる
シニアクライシスは、比較的多くの人が経験する危機といっていい。
臨床心理学者もいるほど中年の8割は経験するというのです。
たとえば・・・
出世コースから外れ、自分の能力の限界や体力の衰えなどを実感する40代。
自分のやってきたことに対する失望や、今の状況に対する屈辱、周囲への嫉妬や羨望などがない交ぜになって、自分の生き方はこれでよかったのだろうかと思い悩んだりするのです。
あるいは、子どもが成長し手を離れる、親の介護が始まる、親しい人を亡くす、といった出来事も、引き金になってしまいます。
自分を取り巻く状況が変化するとともに、求められる自分の役割が変わってきたのに、それに対応できない。
老いや死を意識し、ふと虚しさを感じたり、残された自分の人生の時間に焦りを感じたりする。
シニアクライシスは、人がうらやむような成功者にも訪れる。
要は、どれだけ成功したかではなく
どれだけ満足できているかということが大事なのですね!
シニアクライシスってどんな症状なの?
症状は軽いものから重いものまでさまざまです。
今まで仕事一筋だったのに、突然、体を鍛え出して「トライアスロンに参加する」などと宣言したりします。
起業や海外への留学を計画したり、新しい趣味などにはまったりするのは、これまでの実現しえなかった人生を取り戻そうとする心理なのだという。
男性では家庭の束縛から解放されて、恋愛に走ったりすることも珍しくない。
深刻なのは、うつや不安障害、依存症になったりすることだ。
男性も女性も更年期になっていることもあり、症状を悪化させてしまうこともある。
このようなシニアクライシスをどう乗り越えたらいいのだろうか。
シニアクライシスをどう乗り越えようか!
ある女性のその軽やかな生き方から大事なヒントをいただいてます。
S.Hさんのお話から・・・
S.Hさん(39歳)は、大学卒業後、国家公務員を約束されていたのでした。
しかし、「自分の長い人生がすべて決まるような気がして」
家族に内緒で、直前になって断ったのです。
「安定を求めたほうがよかったのではないか」と、今でも少し思うそうです。
でも、あのときの自分は「無敵に思えた」と屈託なく笑って応えます。
結局、大手の不動産会社に就職。
営業部門に配属された。
営業成績は抜群だったといいます。
それでついつい「私、才能あるなあ」と思ってしまうもののようで。
なんと、20代で独立したというから、勢いがある。
しかし、結果は惨憺たるもので、お客さんはまったくつかなかったのでした。
「私の才能じゃなかった。会社の看板のお陰だった。よい勉強になりました」
S.Hさんはワッハッハと、豪快に照れ笑いをしていました。
人生においてもなかなか思い切った行動をとるが、笑い方にもそれが現われているんです。
その後、彼女は会社をたたみ、結婚し、出産した。
育児も一段落したので、地元の不動産屋で事務の仕事に就いたのでした。
シニアクライシスを経験されて凄い展開が始まる。
生活保護受給者と出会って新しい展開に・・・
そこで新しい展開が始まる。
生活保護受給者は、住居を借りるのが難しい。
社会福祉法で定められた生活困難者のための無料低額宿泊所などもあるが、一般のアパートからは敬遠されがちなのです。
なかには、生活保護費をほとんどまるまる取られてしまう、ブラックな貧困ビジネスの餌食になってしまう例も少なくないんです。
なんて世知辛い世の中でしょう。
S.Hさんは、65歳の生活保護受給者の部屋探しに奔走した。
区役所に同行し、ケースワーカーと話し、福祉事務所と連絡し合って、何とかアパートを見つけることに成功しました。
こんな事例を何例か経験しているうちに、誰も手を付けていない隙間が見つかるのです。
高齢者や生活困難者、シングルマザーなど、部屋探しに困っている人のために、不動産仲介会社を立ち上げようと考えて行動を起こします。
「自分の人生の意味は何か」なんていう問いに惑わされない!
彼女は20代で独立したが、これは自分の力試しだったと思います。
それに対して、2度めの挑戦は、自分というよりも、与えられた使命に誠実であろうとしている頼もしさです。
65歳の男性は入居先が決まった。
しかし、仕事がないと聞いて、元気なおじさんなのにもったいないと思ったそうです。
アパートの大家さんに話すと、それならうちのアパートの共用部分を掃除してくれないかと、仕事を与えてくれました。
この男性の掃除の仕方は丁寧だった。
大家さんは気に入り、自分の家の清掃も依頼するようになった。
話はどんどん広がり、清掃業務も請け負うようになりました。
働き手は10人ほどに。
時給1000円で、現在、20棟の清掃を頼まれているという。
S.Hさんの選択で注目すべきところは・・・
①自分できちんと決定していること!
②ほんの少しでいいから、誰かのために生きるという意識をもっていること!
シニアクライシスばかりでもなく様々な問題を抱えて向き合う姿勢の大切さ
住居の問題は、さまざまな問題とリンクしますね。
たとえば、
『6030問題』。60代の親と、30代で引きこもりの子どもが同居している状態を指す。
それが20年経過すると、
『8050問題』となる。80代になった親は介護が必要になり、引きこもったままの50代の子どもが面倒をみることになる。
ケアマネジャーやヘルパーらが入っていない閉ざされた家庭は、虐待も起こる可能性が高い。
親を虐待しながら、親の年金を頼りにしないと生きていけないという何とも複雑な例にもかかわった。
ごみ屋敷問題もありますよね。
「孤立している人って、本当はさみしがり屋」という。
足繁くごみ屋敷に通い、行政とも連携をとりながら準備をすすめて
ごみ屋敷をきれいにして新しい住宅へと引っ越しをする。
自分との心を見つめて寂しさから解放させること。
そして、今は入居者のお葬式をどうするか、という問題にも頭を悩ませている。
最後は親しい人たちでお焼香をしてあげたいと思っても、行政はプライバシー保護のため家族以外には知らせてくれない。
何かいい解決方法はないか……課題は尽きない。
S.Hさん彼女の目の付け所はすごい。
「自分の人生の意味は何か」なんていう青臭い問いに惑わされるのではなく
目の前の困っている人のために働いている。
生きていく以上、変化していくのが運命だ。
自分自身も変化し、自分を取り巻く状況も変化していくなかで
いつまでも同じ価値観や生き方を押し通そうとするのは所詮、無理がある。
シニアクライシスをも乗り越えて充実する人生とは?まとめ
ミッドライフ・クライシスやシニアクラシスはそうした変化や成長に対応していくための「成長痛」もしくは「脱皮の苦しみ」なのでしょう。
そんなふうに捉えることができれば、何も恐れることはないと思います。
中年よ、大志を抱きつつ、ほどほどに危機を楽しめたほうが儲けもんでしょうね。