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六本木勤務ホテリエが薦める 夜勤明けに行きたい都内銭湯5選


夜明けと共に過ごす。(はじめにとして)

2020年12月コロナの影響もあり、その当時所属していた会社の自社運営ゲストハウスの閉業が決まった。

その後、僕はその会社で不動産紹介のYoutube編集をしたり、地域の求人記事を書いたり、世間がwithコロナという言葉を使うようになってからは、古民家をリノベーションした企業研修施設の運営責任者として働いた。

そんな日々は、僕に新しい学びの機会を多く与えてくれはしたものの、心のどこかでは、いつも何か違うと感じながら働いていたようだ。

そう感じたのは、インバウンドゲストの渡航制限が徐々に解除され、観光の需要が戻ってきたニュースを多く聞くようになった時だった。僕は、自分の思いに呼応するように転職活動を始めた。コロナ禍が、観光産業・旅行産業にとっての真夜中だとしたら、すぐそこに夜明けが来ていると、その時の僕は感じていた。

そして、僕は転職活動の後、六本木のホテルで2024年4月からコンシェルジュとして勤務することになった。コンシェルジュというものの、フロント業務からレストラン業務、はたまた、軽い修繕やYoutubeの演者になったり、台本を作成したりもする。不思議なもので、それまでの経験があるからこそ、今の仕事ができていると実感する場面も少なくない。

ホテルで働く者として、夜勤業務はついて回る。ちょっとした孤独を感じながらの業務はしんどい時もある。

でも、外を走っているタクシーや、朝方の新聞配達のお兄さんを見る度に、僕と同じように、この時間に働いている人がいるということに安心感を抱くと共に、応援しあっているような気持ちになる。

そして、文字通り、夜明けを迎え、朝がやって来る頃に夜勤業務は終わる。

前振りが想いの外、長くなってしまったが、今回紹介する銭湯は、そんな夜勤明けに行きたくなる銭湯を5つ選んだ。

選んだ基準としては、平日もしくは週末の朝から開いている銭湯で、駅からのアクセスがよく、銭湯でお酒を飲むことが出来る。

もしくは銭湯近くに朝から空いている居酒屋さんが多くあるという点からである。

実際に夜勤明けに行ったことから構想から世に出すまで半年ほどの時間がかかっている。

僕のように、夜間勤務がある方は勿論、休みの日に少し早く起きて銭湯を楽しみたい方や出張の際、商談前に身なりを整えたい方にも参考になれば、嬉しい限りだ。

銭湯では都内初 国指定文化遺産  燕湯で職人技に想いを馳せる


燕湯 東京 台東区 御徒町

都内で朝風呂に行きたい方に、はじめにお薦めしたい銭湯。レジェンドオブ朝風呂と言っても過言ではないと思っている。

かつて秋葉原駅近くヤッチャバと言われる青果市場があり、そこで働く人や行商人の疲れを癒すため、早朝には多くの方が訪れにぎわっていたという。

脱衣場のロッカーの横幅が広くつくられているのは、荷物が多かった行商人達が通った名残りであるとのこと。仕事終わりに背広で向かう僕にもありがたいつくりだった。

開店早々の6時は本当に熱いお湯で、本当に東京の銭湯(江戸っ子はさっと入ってさっと帰るのが粋)だな。と感じられる方が少なくないようだが、夜勤明けで足を運んだ9時半頃はちょうど良いと感じられる湯加減になっていた。

多くを語ることはない。だけれども、ここの場を愛する誰かと共に過ごす時間が大切なのだと、職人が心を込めてつくられた様々な意匠を眺める中で気がついた。

ひかりを感じて 風呂に浸かり 湯上がりに美味しいビールで潤う


ますの湯 東京 大田区 久が原

僕の仕事は様々な方のライフスタイルを支えていると思いながら働いている。銭湯も時代の変化とともに、多くの方の生活洋式が変化する中で役割が変化しているのではないだろうか。

COCOFUROという屋号で運営をしている銭湯は都内に2店舗あり、そのどちらも地域コミュニケーションの場を次の世代にもつなげて行きたいとの思いからデザイナーズ銭湯として再生を手がけている。

ますの湯は、その1号店として2019年3月にオープンしている。黒湯温泉の掛け流し風呂や、炭酸泉風呂、そしてサウナ室も朝の6時から楽しむことが出来る。

そして、何よりも僕がお薦めしたいのは、湯上がりに呑む麒麟さんの生ビール。

朝からお酒を飲む背徳感と、これから休みの時間が始まるという幸福感に包まれる時間が何よりも好きな時間になる。

昔ながらの銭湯を活かしながら新しい文化が生まれる場で過ごす


東京浴場 東京 品川区 西小山

昔ながらのつくりを活かしながらも、今の時代にアップデートし、文化としての銭湯を今に伝える場。こちらも2020年にニコニコ温泉株式会社さんによってリニューアルされた銭湯。早朝5時〜12時、昼14時〜深夜2時までの2部制での営業となっている。

浴場の天井が高く、外からの光を感じながら浸かる湯船は、朝が来たことを身体の内側から、強く実感させてくれる。湯上がりには、勿論、ここでも生ビールを楽しみつつ、ここならではの書庫からお気に入りの本を探して、自分の時間を過ごす。

銭湯は、誰かと気軽につながることが出来る場であると同時に、自分の時間を思いっきり大切に出来る場でもあり、それが僕が銭湯に通う理由の一つにもなっている。

銭湯 サウナ クラフトカルチャー サラリーマンの町で癒される


金春湯 東京 品川区 大崎

サラリーマンの集う町で育まれる銭湯は、エンジニア(サラリーマン)として働いていた現当主の息子さんが、家業を継がれたこともあり、新しい文化と風が流れ、昔ながらの良いところはそのままに、新しい銭湯の魅力が溢れる場となっている

こちらは土・日曜日は朝10時〜深夜24時までの営業時間となっていて、それも自分にとってのご褒美時間のようでとても良い。朝日を浴びながら駅から銭湯まで歩く道中も心地良く、その後に入るお風呂の心地良さは、この上ない時間となる。

こちらの場でお薦めの湯上がりドリンクは、クラフトビールとクラフトコーラサワー。畳の上でのんびりと過ごす、そんな湯上がりが最上のひと時となっていく。

豊かな朝時間が過ごせる銭湯がある町は心も豊かな人が集うようだ


白水湯 東京 台東区 入谷

最後に紹介するのは、今年(2024年)にリニューアルした、日比谷線入谷駅から徒歩5分の場にある、こちらの銭湯。営業時間は朝9時〜深夜12時。

サウナ室の奥側にある、ととのいスペースは、想像以上に静かで、心落ち着く場になっていて、サウナ室前にある水風呂からの導線がこの上なくスムーズな時間を過ごせるように設計されている。

白水湯という屋号に負けない、白湯の浴槽も、疲れを癒すには申し分ない。そして、20分毎に行われるオートロウリューの際は、慣れてない人は1段目に座ることをお薦めする。

湯上りには缶ビールを飲み、その後に、鶯谷まで足を運び、朝から飲むことが出来る信濃路鶯谷店で過ごすことが至高。

明けない夜はない、何気ない毎日も大切に過ごしていく。(終わりにとして)

「明けない夜はない」どこか使い古された表現だな。と感じる人も多いとは思う。でも、それによって救われた人も多くいたはず。

あのコロナ禍があって僕らの暮らしは変わった。その中でも変わらないこともあり、好きなことは好きだと声を大にして伝えることの大切さを身を持って感じている。

今回、紹介することが出来た銭湯は、まだまだ、ほんの一部で、これからも伝えたい多くの銭湯がある。

「明けない夜はない」その後に、どんな言葉を付けようか。僕は、何気ない毎日も大切に過ごしていく。とした。

だって、朝を迎えることが出来るということは、今を生きているということなのだから。昨日と同じ、今日がない様に、今日と同じ明日はない。

その日々の連続で、自分では思ってもいなかった未来を迎えることになるのだろう。まだ見ぬ未来を楽しみに、今を大切にする。そのことの大切さを、最近は改めて感じている。

さて、今回は、ここら辺で筆を置くこととする。この文章を読んでくれた人は少しでも銭湯に興味を持ってくれたら、僕は嬉しい。