#4 生麦温泉からの大衆酒場「大番」が最幸だった件(朝日湯 生麦 ) /町に出よう 銭湯浸かって 湯上りは酒場で1杯
日常の中にあるハレ時間 それが僕にとっての銭湯♨
学生時代に、旅先で銭湯へ行き、そこで出会ったお客さんや番頭さんに聞いたお薦めの店をはしごすることが、僕の一人旅でのスタイルとなった。でも、それは旅先での話であって、日常での僕はと言えば、実家の風呂にお湯を張って入っていた。
大学を卒業し、ひとり暮らしを始めてからも、最初のうちは、湯船にお湯をはっていたが、いつの頃からかシャワーで済ます様になってしまっていた。その当時は、新卒で、まだまだ体力だけには自信があって、効率なんてものは顧みずに、深夜帰りが常態化していて、湯船にお湯をはる時間すら惜しく、睡眠時間の確保に努めていた。
1週間で休めるのは、大体1日。3週間で半日しか休めない。何て時期もあったりした。その休みをどの様に過ごすのかも、その当時の僕には大切なことだった。
ただ、赴任地が静岡(磐田市)だったこともあり、歩いて通える銭湯は近所にはなく、たまに温泉(浜松の舘山寺温泉まで車を走らせて)に行くことが、僕のリフレッシュだったりもした。
そんな僕の日常の一部に、銭湯が入ってくるのは、新卒で入った会社を辞めて、神奈川に戻ってきてから、20代半ばから後半を過ごした、横浜市南区にある風呂無し(シャワーは共有)共同住宅で暮らし始めてから。
その当時に暮らしていた僕の家の様子が分かりやすく紹介されていた記事を載せておきますね。
この地域は、古くからの物件が多く、同じように風呂がない物件も多い様で、徒歩15分圏内には、4軒もの銭湯があった。
そして、それぞれの銭湯の近くには、安い大衆酒場や角打ちが出来る酒屋があり、普段、何をしているのか分からない おっちゃん達との話は、僕の日常の一部でありながら、非日常的な時間となっていた。酒場で話した(多くは話を聞かせてもらっていたという方が正しい)、多くのおっちゃんは、かつて、港湾で働いていたという方たちであった。おっちゃん達の話を信じて買った馬券は5戦1勝ほど、しかも裏も買っていう形だった。今では、それも良い思い出である。
目的地は 宮造りが目を見張る ”朝日湯”
今回、僕が足を運んだ”生麦”には、魚河岸があり、大きな流通拠点にもなっている、京浜工業地帯を形づくる”中核地”の一つでもある。
僕は、これまでの銭湯巡りの中で、工業地帯や港湾地区の近くには、僕好みの昔ながらの銭湯が多いことを学んでいる。
今流行りのデザイナーズ銭湯は、新しい顧客層を獲得したという点では、銭湯文化にとって、とても良い影響を与えたと思っているが、僕としては、やはり昔ながらの”銭湯”に元気であって欲しいとの思いが強くある。
そんな思いを抱きつつ、今回、足を運ばせて頂いたのが、第一京浜道路沿いに位置する”朝日湯”さんである。外観の風貌はもちろんのこと。
入ってすぐ、脱衣所の天井の高さから、あー。自分は今、銭湯にいるのだなと強く感じることができる造りなのである。
ちなみに、生麦温泉(鶴見温泉や横浜温泉とも)と称されるように、JR生麦駅 徒歩圏内には3軒もの銭湯が点在している。銭湯が減少する時代のなかでも、この町の生活文化に銭湯が馴染んでいることの証拠の様に感じた。
そして、湯船の種類は三種類、湯船の数は4つあり、うち2つは生麦温泉ならではの「黒湯」である。天然ラジウム温泉とも言うらしく、水風呂も黒湯の冷泉である。で、なんと言っても、この銭湯の良いところは、+100円でサウナに入れること(しかも、ちゃんと下に敷く様のバスタオルまで貸してくださる)。BGMがゆるく昭和歌謡が聴こえるか聴こえないかほどの音量で流れている。これも良い。
更に特筆すべきは、サウナ後、即、水風呂ができる点である。その水風呂の上は、網戸になっていて、頭から肩にかけて心地良い風を感じることができる。また、すぐ脇には整いスペースもあり、温冷交互浴も出来る様になっている。銭湯サウナの導線としては、これ以上のモノがないのではと思える導線なのである。
そして、湯上がりには、イオンウォーターとKOMBUCHAでまどろむ。ここで休憩を挟むことで、その後に呑むビール🍺が一段と美味しくなる。
KOMBUCHAとは何ぞや。と思った方には、是非とも、KOMBUCHAマイスターであり、腸育コンシェルジュでもあるキミさんのワークショップを受けていただきたい。
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朝日湯さんについての詳しい営業時間などについてはこちらを参照下さい。
湯上がりには、大衆酒場「大番」へ
そして、この町にも、銭湯の近くには良い酒場があるの法則に沿った様な「大衆酒場」がある。
その名も「大番」さん。入口は二口あり、どちらか一方が混んでいると、どちらか一方を案内される様になっている。で、あまりに混んでいると詰める様に言われるのだが、常連さんが多いので、タイミングをみて、お会計を済ませ、ぎゅうぎゅうにならない様に配慮している。どこかに張り紙がある訳でもないので、いつからか、暗黙の了解になったのだろう。
まずは、瓶ビールと湯豆腐を発注。瓶ビールは大瓶で550円・小瓶で350円となっている。僕は、迷うことなく、大瓶を注文。流石は、麒麟麦酒工場のお膝元と思ったのが、一番絞り・ラガー・クラシックラガーから選べるところである。ちなみに、どれを選んでも同じ値段。僕は、ラガーを選択。クラシックにしておいても良かったなと、グラスが来てから少し後悔も、瓶ビールは美味かった。
ネットで大箱で買っても、330円から380円ほどなので、酒場で550円はとても良心的であると僕は思っている。で、湯豆腐は200円。
立ち飲み!!だからこその金額設定ではあるが、湯上がりにサクッと飲むには、丁度良い価格帯ではなかろうか。ちなみに、刺身3種盛りが600円。基本の肴は、500円以下で注文できる。
間に、チューハイを挟み、最後は、隣のお父さんが美味しそうに呑んでいた「ハンハン」と言う代物を頼む。ちなみに、こちらメニュー表にはない。聞くところによると、最後にこれで〆るか、大番汁で〆るのが、大番におけるオツな飲み方らしい。
こちらのアジフライは、刺身でも食べられる、新鮮かつ大ぶりなものを、フライにしたもので、味の美味しさは勿論、チューハイとの相性が抜群に良かった。「ハンハン」とは、隣のお父さん曰く、チューハイとサワーを半々で作ったものらしく、飲みやすさの割に、アルコール度数が高いので、注意が必要とのこと。
僕は多幸感に包まれながら、家路を急いだ。また、新たなゴールデンルートを発掘してしまった。今回は、昨今の情勢を鑑み、はしご酒は自粛させていただいた。
昔からある愛される銭湯のそばには、昔から愛される酒場がある。それを再認識した。銭湯からの酒場であった。