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#3 湯上りに古本片手に もつ焼きで1杯 そぞろ歩きが愉しくなる町(いなり湯 山手)/町に出よう 銭湯浸かって 湯上りはしご酒
#3 湯上りのそぞろ歩きが愉しくなる町(いなり湯 山手)
町のA面・B面という言い方があるのであれば、この通りはきっとB面に当たるんだろうなと思いながら、今回の目的地である「いなり湯」へと足を運ぶ。
山手と言って、イメージするのは、外国人墓地や洋館、そして、みなとの見える丘公園だと思う。そうそれが、山手なのであるが、観光の方を悩ませる種にもなっているだろうなと思う駅名でもある。
実は、多くの方がイメージする「山手」へのアクセスは、山手駅のひとつお隣、「石川町」の方が良かったりもする。
ちなみに「山手」降りても、有名な洋館へと向かうことも出来るが、途中にある「一般のお家」が決して、いわゆる普通の家は少なく、家自体が作品みたいな家が多くて、日本にいることを忘れてしまう瞬間があるほど。
それが、山手という町のA面だとするのであれば、「いなり湯」のある 大和町商店街は、昔ながらの商店が軒を連ね、生活に寄り添っていて、古き良き(今の言葉だとエモいというらしい。)商店街だ。初めて訪れた時も、初めて訪れたとは思えない懐かしさがある。
古き良き商店街の古本屋さんにて
そんなエモい商店街の中を歩いていると出会うのが、古本屋さん。ちなみに、僕は旅先でも本屋さんや古本屋さんに足を向けることが多い。その古本屋で少し昔のプレイボーイや朝日グラフをディグる時間は格別の時間だ。ただ、銭湯に行くときは少し違くて、100円~300円程で購入できる文庫本を買うことにしている。
今回、本を購入させていただいたのは、「自然林」さん。BGMにジャズが流れている中々にオシャレな古風な古本屋さんである。文庫本は勿論のこと、図鑑が美術本などの取り揃えており、親子で訪れてもとても面白い古本やさんだと思う。入口付近にあるラックは掘り出し物の宝庫だった。今回のお供はオー・ヘンリーの短編集にした。
「自然林」さんについて詳しくはこちら
鯉が心地よさそうに泳ぐ坪庭とここでしか見れないペンキ画のある銭湯
そして、古本屋さんを後にした僕は、すこし足早に「いなり湯」へと向かう。入口を入ってすぐに、昔懐かしい大相撲の若貴兄弟が笑顔で並んでいる大きなポスターが、大入りと書かれた木枠にしっかりと収まっていて、ご主人の相撲への愛を強く感じた。それから暖簾をくぐると、15時に開くこの銭湯で、15時3分の段階で湯舟に浸かっている先客がいた。
天井の高い脱衣所。これを見るだけでも、銭湯に来てよかったなと思えるから不思議だ。
そして、いよいよ浴槽へ。身体を軽く流してから、バイブラ湯へ、そこからは、黒湯へ入る。ここが少し難点で、黒湯と電気風呂が同居しているので、ちゃんと入る場所を選ばないと痛い目にあう。黒湯は18℃の冷泉を温めているらしく、冷泉を使った贅沢な立ちシャワーがあり、直ぐそばには、大きなイスを置けるスペースがある。上のセットを3セット程繰り返してから、最後に立シャワーを浴び、少し体のほてりをとっていく。湯上りは鯉が泳いでいる坪庭でまったりと過ごすのが心地よい。
【いなり湯さんについて詳しくはこちら】
https://k-o-i.jp/koten/inariyu/
湯上りには、熱々のもつ焼きと共に冷えたホッピーで乾杯
湯上りには、はす向かいにある「大和町もつ肉店さん」へ、ここの何が良いかは、割モノの中身(焼酎の濃さ)が選べるということ。通常は2プッシュだが、4プッシュまでは無料で濃くすることが出来る。それ以上のお酒の濃さを求めるヒトは、ボトルを入れた方が懐に優しいだろう。
このお店の予算は1,000円程度にして、〆は石川町にあるワインバーもしくは、本牧にあるショットバーまで足を延ばすことが僕のお薦めである。
【大和町もつ肉さんについて詳しくはこちら】
最後に、酔い心地で見た今宵の月のキレイさが身に沁みた僕がその町にいた。