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花と緑と旅
くるりの『春風』を口ずさむ季節になった。
普段から花を愛でる方だと思う。
花見といえば桜だけど、毎年だいたい同じ時期に咲いてくれる花は桜だけではない。
2月末には梅を
3月頭にはミモザを
3月末には桜を
4月頭にはスミレを
4月末には藤を愛でる
今年は早くも藤が咲いている。
ちょっとした野暮用で初めての場所に自転車で行った帰り道、通ったことのない道で実に良い藤を見つけた。
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思えば春の花には随分助けられてきた。
新年度も頑張れよと後押ししてくれる桜。
コロナの全国一斉休校から始まった二年前は新入生を迎え入れるはずだった日に満開を迎えた桜からきれいに落ちた花を拾って、水に浮かべてデスクに飾って、なくなってしまった入学式に思いを馳せた。
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田舎にある初任校で、新年度でソワソワして山のように仕事があるのに何だか何も手がつかないという時は、思い切って定時で上がって、一駅向こうまで歩いて、夕暮れのスミレ畑に癒しを求めた。
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なかでも藤はゴールデンウィーク手前くらいに見頃を迎えるので、新学年の激務のひと段落を思わせる花として、お気に入りである。将来マイホームを建てたら、植えたい木No.1は藤だ。
初任校は、立派な藤棚があったので、ピークの頃には教室までいい匂いがして、「一ヶ月よく頑張ったね」と言ってくれているようだった。
しかし、現任校には残念ながら藤棚がない。だから私は街中の藤を見つけては愛でてしまう。ゴールデンウィーク前半には近所の静かな公園の藤棚の下で季節の菓子であるちまきを食べるのを密かな楽しみにしている。激務を労わるにはちょうどいい私らしい娯楽だ。
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旅に出ても花を愛でる。
花と緑は欠かせないものだ。
ヨーロッパは気合の入った寄せ植えが多いことに気づいた。例えばこんな風に。
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「気合いなんて入ってませんよ」と言いながら、実は計算し尽くされた美であることも多い。例えばこんな風に。
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それが台湾では全く異なる。偶然のなせる技であったり、気が抜けたものが多い。計算していたとしても、計算を崩す何かがある。もちろん計算し尽くされたものも時には見るが、どちらかというと計算を感じさせない。例えばこんな風に。
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花を愛でる風流心を持ち続けたいと思うし、それを持っている人と時間を共有したいと思う。
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