好きな街の条件 アムステルダム
喫茶店のマスターにヨーロッパで何をするのか聞かれて、美術館に行くのが好きだと答えた。
私の好きな美術館のまわり方は、超特急で一巡する。そのあと、気に入った絵をもう一度10分くらいよく見る。見たあとに感想も蘊蓄もいらんので、できれば一人でまわりたい。
一番好きな画家を聞かれて、ゴッホだと言うと、マスターは「切り落とした片耳、送ってこやんといてや」と言ったので、「送るときは着払いにします」と答えた。ゴッホ関連で自分史上いちばん愉快な会話だと思う。
ゴッホが気に入ったのは、凡庸だが、10年前にパリのオルセーにある自画像を見てからだ。ウネウネしている背景が気に入って、3回くらい見に戻ったことを覚えている。
そんなゴッホの作品を堪能できるのが、オランダのアムステルダムにあるファン・ゴッホ美術館だ。
それはもう堪能した。しかし、オルセーで見たほどの感動はなかった。多すぎたのだ。ゴッホの作品も、人も。
だが、私は好きな街としてアムステルダムをあげる。いい美術館がある、というのは好きな街の条件の一つだが、「また行きたい店がある」「乗りものがいい」「飲み物がおいしい」というのも私のなかで大事な条件だ。アムステルダムはすべてを満たす。(ゴッホ美術館以外にもいい美術館がたくさんあるのはもちろんだが)
①また行きたい店 Boekie Woekie
現代アーティストの自費出版作品を専門としたギャラリー兼書店。滞在中に3回行って素敵なポストカードとノートをたくさん買った。現代アートも自費出版も好きなので、なんならこの店で働きたい。
②また行きたい店 Patisserie Holtkamp
重厚感のある内装が素敵な王室御用達の洋菓子店。お菓子はもちろんだが、奥で揚げてくれるコロッケがとても美味。高級店の奥からコロッケ出してくれるなんて夢がある。
③また行きたい店(ホテル)Ambassade Hotel
あんまり高級なんも好かんけど、安宿やドミトリーには泊まらない主義で、ほどよい距離感がほしいのです。今まで泊まったなかで、いちばんほどよい距離感だったホテルです。高級だけどな!というか、アムステルダムのホテルはどこもそこそこ高かったので、ちょっとケチるぐらいなら、ここに泊まる方が絶対に良い。
運河が見えて、花瓶を貸してくれて、買った大量のチョコレートをキッチンの冷蔵庫で保管してくれた(「食べちゃったらごめんね」って冗談を言いながら)いいホテルです。ここに泊まるためだけにアムステルダムに行ってもいい。
④いい乗りもの 運河クルーズ
普段から渡船に乗るのが好きなので、運河のある街は無条件に好きです。運河クルーズは観光客丸出しだけど、乗ると良い。オランダが海面と闘ってきたのがよくわかる。
無料の市営渡船も多いみたいなので、次に行ったときは自転車を借りて(サイズが合うのか怪しい)、現地民に紛れて適当な渡船に乗り込みたい。
あと、自家用ボートで白ワインでも飲みながらバカンスしたい。(ボートで肉焼いてる猛者もいる)
⑤おいしい飲み物
飲み物がすぐに飲めるところっていいよねえ。台湾も街中にあらゆる飲み物のスタンドがあるところが好きですが、アムステルダムはスタンドはそんなにないけど、いい飲み物が多い。コーヒー以外の選択肢が充実しているのがとても良い。
・運河を見ながら飲む生ハイネケン(どこの店も店員さんが明るい)
・駅のコンビニで売ってるフレーバーウォーター(あまりに美味しくて毎日飲んだ、日本でも売ってほしい)
・ミントティー(生のミントに湯を注ぎ、蜂蜜を入れるのみ。どこの店でも飲める。)
古切手屋さんがあったことや、自転車が多いこと、チーズがおいしいこと…挙げ出したら他にも色々と好きなところが多い。
おおらかで合理的な人が多かったところも好きです。住んでみたら違うかもしれないけど、また行きたい街です。みなさんも、ぜひに。
と言っても、今は行けない人も多いので(私も)、ゴッホ関連のドキュメンタリーをひとつ紹介しておきます。
世界で一番ゴッホを描いた中国人男性がオランダに行く話です。何とも言えない気持ちになります。プライムビデオでも視聴可!