成熟した街とは ローマ
近くの川の土手で昼寝をしていると、実にいろんな音が聞こえてきました。
少年たちが滑るスケボーの音
おじいさんが土手を登る「よいしょ」
お弁当を食べる一家団欒の笑い声
軽快なコンガのリズム
いろんな人が集まって、それぞれが思い思いに過ごせる場所がある街って成熟していていいなあと思います。
そんな街として一番に浮かぶのが、もう20年近く前に行ったローマです。
高校生のときに母と2人で行ったヨーロッパ旅行は、今の私を築いた礎のようにどっしりと存在していて、ふとした時に思い出します。空港とホテルの間の移動は送迎付きだけど、それ以外は完全に2人きりの旅行。しかも2週間。英語も取得したての英検2級レベルで、よく行ったなあと思います。
関空からロンドンで乗り継ぎローマへ
ローマから電車でフィレンツェへ
ローマに戻りそこから飛行機でパリへ
今ほどインターネットも発達してなかったので、今とはまったく異なるスタイルの旅行でした。フィレンツェはTボーンステーキが有名ですが、今だとGoogleマップで評価の高いレストランを何軒か選択肢として持っておきそうなところを当時はレストランの雰囲気を外から見て、ここは行けそう、と勘だけを頼りに入店しました。
蚤の市に行ったり、美術館に行ったり、スーパーで買い物してホテルの部屋で食べたり、Googleマップの力も借りるけど基本的には勘で入店したり…そうやって「街を歩くこと」が私の旅の基本ですが、この旅の影響が大きいと思います。現地の料理に疲れてきたら、街の中華レストランに入るといいことも、この旅で学びました。
最初にパックツアーでヨーロッパに行っていたらきっと違っていただろうな、SNSでの情報収集が主流になってから行っていてもきっと違っていただろうな、と思います。
写真もほとんどフィルムで撮ったので、手元にはなく、実家の押し入れにあります。それでもたまに思い出す旅です。特に石畳で足を棒にしながら歩いたことが蘇ります。
ローマで歩いた先に突然出てきたチルコマッシモは成熟した街の象徴として、私の記憶に根強く残っています。
合唱の練習をする若者たち
おしゃべりする友人同士
打楽器を叩くおじさん
軽い運動をする人
異なる目的で人々がひとつの場所に集い、時を共有する。
合唱がおしゃべりのいいBGMとなり、打楽器のリズムが運動の助けとなり、みんな熱心に聞いているわけではないけど歌や演奏が終わったら自然と拍手が起こる。
そういう場所が日本にも増えたらなあと思いながら、今日も着実に成熟に近づく土手に行ったのでした。