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意識されない情動誘発刺激の効果

情動を誘発しうる刺激(ECS)の存在に、われわれが気づいていようといなかろうと、情動は自動的に引き起こされる。(アントニオ・ダマシオ(1944-))


 「興味深いことに、情動を誘発しうる刺激(ECS)の存在にわれわれが気づいていようといなかろうと、正常な扁桃体はその誘発的機能を行使する。情動を誘発しうる刺激を非意識的に感知する扁桃体の能力。その証拠は、まずポール・ウェイレンの研究から得られた。彼は健常者たちにそのような刺激を素早く提示したので、健常者たちは自分たちがいま何を見ているのかまったく自覚していなかったが、脳スキャンにより、扁桃体が活性化していることが明らかになった。またアー二―・オーマンとレイモンド・ドランの最近の研究で、特定の刺激(たとえば、単なる怒りの顔ではなく、ある特別な怒りの顔)がある不快な事象と関係していることを、健常者たちがいつの間にか学習することが明らかとなっている。悪い事象と結びついている顔をこっそり提示すると、〈右の〉扁桃体が活性化される。しかし、それ以外の顔をひそかに提示してもそうはならない。」
(アントニオ・ダマシオ(1944-)『スピノザを探し求めて』(日本語名『感じる脳 情動と感情の脳科学 よみがえるスピノザ』)第2章 欲求と情動について、pp.91-92、ダイヤモンド社(2005)、田中三彦(訳))
(索引:意識されない情動誘発刺激の効果)
 

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