ブロック遊び

 昔からブロック遊びが好きだった。
 幼稚園の年少さんのとき先生から、

「◯◯君はブロックを一人で黙々と組み立てて、色々なものを作ってました。」

と、母が言われたのだという。我が家の母はそれを聞いて、

「友達がいないんだろうか?」

と心配が勝ってしまう子供思いの良い親なんだけれども、私はそれを大人になってから聞いて、なるほどそうか、と思った。

 私は無から有を創ることがとても苦手な人間。いわばクリエイティブな才能は、皆無といっていい。
 謙遜や卑下じゃなく、本当にそうなのだ。

 だけどその代わり、雑然とした有と有同士を組み合わせて、別のカタチに整えることは得意なよう。

 それは型枠にはめていくパズルとはまたちょっと違っていて、結果としてやっぱりオリジナリティを持った有となる。

 代表が創ったカケラ、同僚が創ったカケラ、それを上手いこと組み合わせて仕事にしていくのが、どうやら楽しいみたいだ。

 今やっている仕事はそういう仕事。みんなの『やりたい』を具象化する。
 計画を立てて予算を組み、スケジュールを整える。

 本質的には私は幼少期と変わっていないのかもしれない。
 子供の頃から無意識的に楽しんでいたのだから変える必要はないし、変わる気もない。

 ただ、あと何年ブロック遊びを続けられるだろうか。

そうだな、藤田警部。

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