二股疑惑からの親対策、俺の人生ハードモード

疑惑の二股、カレンの誤爆

「もしかして……二股してた？」

高橋彩花の冷たい声が、まるでナイフのように俺の胸をえぐる。

いや、違う。違うんだ！！

なのに――

「悠斗さん、私には聞いてましたよ♪ 仲のいい女友達がいるって♡」

カレン、お前何言ってんの！？

「……は？」

彩花の目が完全に据わった。

ヤバい。このままでは俺の社会的生命が終わる。

「ち、違うんだ、それは……」

「何が違うの？ 私と付き合ってた間に"仲のいい女友達"がいたってこと？」

「そ、そうじゃなくて！」

必死で弁解しようとするが、彩花の表情はどんどん険しくなる。

「私の知らないところで仲良くしてたんだ？」

「えーっと……」

「私と付き合ってたのに、"仲のいい女友達"がいたんだ？」

詰め方が怖い。まるで刑事ドラマの取り調べだ。

なのに、なぜかカレンは楽しそうにニコニコしている。

「えへへ、仲良しさんだったんですね～♪」

カレン！！ なんでお前そんな無邪気なんだ！？

「……もういい」

彩花は深くため息をつくと、席を立った。

「お、おい、彩花！」

「悠斗、本当に最低。もう二度と話しかけないで」

最後にそう言い残し、彼女はカフェを出ていった。

俺はがっくりと肩を落とした。

……完全に、終わった。

打ち合わせ、進めるしかない

「いやぁ～、修羅場でしたね！」

帰ろうとした俺に、カレンが楽しそうに言ってくる。

「いや、あのさ……」

「でも、悠斗さんのこと、ちょっと分かってきました！」

「えっ？」

「悠斗さん、優しいから、元カノさんにちゃんと説明しようとしてたでしょ？」

「……そりゃ、誤解されたくないし」

「そういうところ、彼氏としてポイント高いですよ♪」

こいつ……敵なのか味方なのか分からん。

「さてさて、本題に戻りましょう！」

カレンはバシッと手を叩くと、カフェのテーブルに書類を広げた。

「今週末のご実家訪問についてですが……」

そうだった。親に会わせる計画がまだ残っていたんだった。

「ご両親には、どんな感じで話を進めればいいですか？」

「とりあえず、"1年付き合っている彼女" って設定で……」

「了解です！ 悠斗さんの好きな食べ物とか、趣味とか、ご家族のことも知っておかないとですね♪」

俺は、彩花のことで頭がいっぱいだったが、仕方なくカレンと打ち合わせを続けた。

次の戦場は実家！

数日後。

俺は実家に向かう新幹線の中で、深いため息をついた。

「緊張してます？」

隣に座るカレンは、いつもの笑顔だった。

「いや、そりゃするだろ……」

「大丈夫ですよ！ ちゃんと彼女らしく振る舞いますから♡」

「頼むぞ……」

とはいえ、不安しかない。

だって、
"元カノに誤解され、修羅場を経て、偽の彼女を実家に連れて行く" という状況なのだ。

俺の人生、まじでハードモードすぎる。

次の試練は、俺の両親。そして……妹。

果たしてこの嘘は、バレずに乗り切れるのか！？