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「あなたの購買欲、本当に自分の意思ですか?」

消費社会のカラクリに気づいた日:『今すぐ購入』が教えてくれたこと

Netflixの新作ドキュメンタリー映画『今すぐ購入: 購入意欲はこうして操られる』。2024年にイギリスで制作されたこの作品、観る前は「よくある消費社会批判かな?」なんて軽い気持ちでした。でも、これが予想以上に濃い内容で、私たちが普段気づかない「消費の裏側」を鋭くえぐり出す一本でした。気づけば観終わった後、手元のスマホすら疑わしく思えるほど。

映画は私たちの日常の「普通」がどれほど企業によって操作されているかを教えてくれます。「欲しいと思う心は、自分の意思だ」と信じているけれど。 実は、それも企業のマーケティング戦略の一部でしかないのです。例えば、SNSで「この商品最高!みんな使ってる!」みたいな投稿を見たら、「他の人も持ってるなら、私も欲しい」と思ってしまう心理。これ、私たち全員が一度は経験ありますよね? さらに、その欲求がエスカレートして、「他の人より良いものが欲しい!」という承認欲求に直結していく仕組みが丁寧に暴かれていきます。これ、もう資本主義と人間心理の見事なコラボですよ(でも実は、みんな頭のどころかでは、気づいていますよね)。

特に印象に残ったのは、映画が見せる「マクロ視点」の現実。普段は気づかないけれど、私たちの「ちょっとした買い物」が集まると、地球規模でえげつないごみの山を作り出しているのです。頭では「買いすぎはよくないよね」なんて思っていても、映像でその結果を突きつけられると、もうおぞましさしかない。今この瞬間も、私たちの欲望が環境破壊を加速させていると考えるとゾッとします。

そして、SNSの役割。これがまた痛い。普段何気なく開いているInstagramやTwitter(いまはXですね)のフィードが、実は企業が私たちの心理を操るために使う道具だと考えると、スクロールする指が止まる。しかもその広告を投稿しているのが、ただの一般の人だったりするから皮肉です。特に、忙しく子育てをしているはずの母親や父親が「これめっちゃおすすめ!」なんて投稿しているのを見ると、企業が私たちを巧妙に巻き込んでいる現実が透けて見えるような気がします。

映画の中で描かれるこの一連の流れに、私は「資本主義って一体なんなんだ?」と自問せずにはいられませんでした。便利で豊かな生活を実現してくれる一方で、その代償として私たちは何を失っているのか。今のまま突き進めば、次の世代にはどんな未来が待っているのでしょうか。

『今すぐ購入』は、単なるドキュメンタリーではなく、「気づきのトリガー」として観るべき一本です。観終わったあと、簡単にSNSを開くことさえ少し怖くなります。でも、その恐怖こそが、この映画が私たちに問いかけるテーマの重要性を物語っています。「買う」という行為、その背後に隠された本当の意味を考えるきっかけを与えてくれるこの作品。あなたも一度観てみませんか? その「購入意欲」、本当に自分のものですか?

今すぐ購入: 購買意欲はこうして操られる | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

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木山すみれ
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