マクラーレンの急進的進化? オランダGPのノリスとマックスの差が示すもの
2024年のF1シーズンが夏休みを終え、再開されたオランダGPで注目を集めたのは、マクラーレンのランド・ノリスがポールポジションを獲得した際のタイム差でした。ノリスは地元の英雄マックス・フェルスタッペンを0.356秒も引き離し、この差は今年のF1シーズンで3番目に大きなものとなりました。しかし、このタイム差が示すのは、単なる数字以上の何かがあります。
今シーズンのF1は接戦が多い
F1の予選では、近年ますます僅差の戦いが繰り広げられています。特に2024年シーズンでは、ランド・ノリスがチームメイトのオスカー・ピアストリをわずか0.022秒で抑えたり、スペインGPでマックス・フェルスタッペンを僅差で制したりする場面が見られました。そのため、ザントフォールトの短いサーキットでも接戦が予想されていましたが、予想を大きく裏切る結果となりました。
ノリスのポールポジションが示すもの
マクラーレンは今回、アップグレードを導入しましたが、チームの代表であるアンドレア・ステラは、これが劇的な進化を示すものではないとしています。彼は、今回の結果はザントフォールトサーキットの特性と、天候条件、さらにノリス自身の優れたドライビングスキルが組み合わさった結果であると強調しています。
「ポールポジションと2番手の差が、今回のアップグレードの結果だとは考えられない」とステラは述べています。「アップグレードは、確かに効果があったものの、それだけでこれほどのパフォーマンスを引き出したわけではない」
ザントフォールト特有の条件
ステラが指摘するように、ザントフォールトのサーキット特性がマクラーレンにとって有利に働いた可能性があります。中速レンジの長いコーナーが多いこのサーキットは、マクラーレンの特性に非常に適しています。また、比較的涼しい天候も、マクラーレンのパフォーマンスに影響を与えた可能性があります。
さらに、ステラはノリスのドライビングスキルが特に際立ったと考えています。ノリスは週末を通じて好調を維持し、その結果が大きな差となって現れたのです。
フェルスタッペンの失敗とその影響
一方、レッドブル側にもフェルスタッペンが完璧なラップを刻むことができなかったという事情があります。強風やターン12でのミスが、ノリスとの差を広げた一因となりました。レッドブルのモータースポーツアドバイザー、ヘルムート・マルコは、フェルスタッペンがセクターで最良のタイムを組み合わせると、実際の差は0.257秒ほどに縮まると指摘しています。
予測の難しい今後のレース
今回のポールポジションでのタイム差は、マクラーレンの大幅な進化を示すものではなく、ザントフォールトサーキット特有の条件とノリスの素晴らしいドライビングが重なった結果と見るべきでしょう。次のレースでは、この差がどのように変化するかに注目が集まります。マクラーレンがこの勢いを維持できるのか、それとも他の要因が働いて変化していくのか、接戦になっている今シーズンは予測するのが困難です。