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フェルスタッペンとレッドブルの試練

レッドブルの調子が下降線をたどる中、フェルスタッペンは地元オランダのファンの前で屈辱を味わいながらも、冷静さを保った。

2021年に母国GPがF1カレンダーに加わって以来、マックス・フェルスタッペンが初めてザントフォールトで優勝を逃した。オランダGPの予選では、マクラーレンのランド・ノリスにコンマ3秒差で敗れ、決勝でもスタートに失敗したノリスを一時リードしたが、すぐに抜き去られ、最終的には22.9秒差の大差でノリスに敗れた。

マクラーレンがトップに立つのは驚くことではなく、夏休み前のマイアミとブダペストでの勝利は運ではなくて、マクラーレン自身が競争力を発揮した結果だった。

しかし、オランダの地でノリスが見せた圧倒的な差は痛烈で、ドライバーズランキングで70ポイントのリードがそれほど気楽なものではなくなっている。かつては、マイアミやモナコのようなバンピーなサーキットで競争力を落としたレッドブルは、それが一時的な問題と考えられていたが、レッドブルがかつて優位に立っていたサーキットでも同じ状況が続いている。

シーズン序盤にノリスがタイトル争いに参加することを予想していた者はほとんどいなかったが、レッドブルがRB20のマシンコンセプトからパフォーマンスを引き出すために苦闘していた数カ月前から、フェルスタッペンはこのシナリオを警告していた。マイアミ以降、フェルスタッペンはチームに行動を促し続けていたが、言葉を荒げることはなかった。

2カ月前、オーストリアでフェルスタッペンは「一般的に、みんなが近づいてきている。それが普通だ。私たちは常に上を目指す。スペインで勝ったからと言って安心してはいけない。ハードワークを続けなければ、追い抜かれてしまう」と語った。マクラーレンはマイアミでのアップグレードに加え、オランダで空力効率を向上させるパッケージを発表した。

一方、レッドブルはハンガリーでのアップデートの一部を撤回せざるを得ず、テクニカルディレクターのピエール・ワチェは「今年のマシンが限界に達している可能性がある」と語った。

チャンピオンであるフェルスタッペンも、ザントフォールトでの連勝を逃したことに憤慨することが予想されたが、マクラーレンとの差を前に、怒りが受け入れに変わったようだ。

スタートでトップに立ちながらもすぐに抜かれ、マシンが「僕のインプットに反応しない」と報告したフェルスタッペンは、ノリスとの差を広げられ、すぐにマネジメントモードに切り替えた。

「マクラーレンの大きなアドバンテージは突然生まれるものではない。ここ数レースは本当に素晴らしい結果ではなかったが、パニックになる必要はない。状況を改善しようとしている。それに取り組んでいるが、F1は非常に複雑だ」とフェルスタッペンは述べた。

クリスチャン・ホーナーも「フェルスタッペンはランドが速いことを知っていたし、金曜日からそれを見ていた。彼は成熟したレースをし、ランドに7ポイントを譲ったが、それ以上は譲らないという態度を見せた」と語った。

レッドブルが状況を好転させるためにできることは何か?少なくともコンストラクターズ選手権での30ポイント差を守るために必要なことは何か?また、2023年のアキレス腱であるシンガポールのようなサーキットを前に、ザントフォールトでの圧倒的な差をどの程度心配すべきなのか?

オランダGPでは、レッドブルはプラクティスでのドライ走行が限られていたため、効果を確認できないままレースでハイダウンフォース戦略をとったが、それが功を奏さなかったと認めている。

ノリスに対して大きめのウィングを装着したフェルスタッペンはストレートで簡単に抜かれ、しかもタイヤのデグラデーションが予想よりも低いことが判明し、大きなウィングのメリットはなくなり、デメリットばかりが目立ってしまった。

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