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シモキタ・スナップ 第7回:高橋玄太郎さん(ライフコーチ/ファシリテーター/一般社団法人CO-SAKU谷 理事)

下北沢という街を作っているのは、この街に住まう人、この街で働く人だけじゃない。街を訪れる人たちの思いや熱が重なり合って、また「シモキタらしさ」が作られていく。

シモキタ・スナップ、今回の主役は、下北沢在住のライフコーチ/ファシリテーター、高橋玄太郎(たかはし・げんたろう)さん。

下北沢の憩いスポット「下北線路街 空き地」で、3人の元気いっぱいのお子さんたちと遊んでいる高橋さんを撮影しました。


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ー 下北沢には住んで10年ほどです。結婚して、子供が生まれる少し前のタイミングで、妻の実家が近いということもあり引っ越してきました。
それまで下北沢との接点はほとんどなくて、学生の頃に来てみたけど、楽しみ方がわからずそのまま帰ったことがあったな、というくらいで(笑)。



普段は フリーランスでキャリア支援・能力開発の仕事をしています。メインはコーチとして、教育者やアーティスト、経営者のゴール設置と達成の支援、そしてファシリテーターとして、トビタテ留学JAPANや企業、大学での教育プログラム開発と登壇などです。この状況なので、今はほとんどがオンラインになっていて、僕は自宅で集中できないタイプなので大体はカフェや、妻の実家の一室を借りて仕事しています。あと、「BONUS TRACK」のモーニングのメンバーズだったこともあり、そんな感じで下北沢、三茶、代田周辺の何箇所かを転々としながら仕事しています。


ー 長男が小学生になる前に”教育移住”を検討したことがあって、広島、神奈川、軽井沢とか10箇所ほどの地域で様々な教育機関に行き、その流れで2016年に神奈川県の藤野と下北沢で二拠点生活をしていた時期がありました。

藤野はトランジションタウンや萬(よろず)という地域通貨など先進的な活動が行われていたり、シュタイナー学校もあったりと非常に魅力的な町でした。ただ、二つの土地を行ったり来たりする中で、藤野だからやれること、下北だからやれること、どちらでもやれることが見えるようになっていきました。この”相対感”を獲得できたことがその後の大きな財産となりました。あと学校選びに関してもいろんな学校を見る中で、どこを選んでも結局先生は選べないんだ、という現実に直面し、最終的には縁なんだなと。他にもいくつか理由はあるのですが、最終的に下北の地元の小学校に行かせることにしたんです。



その代わり、その後家族で旅に出ることなども想定しているので、学校の先生との信頼関係をちゃんと作るのも大事だと思ったのと、いま公立の学校がどんな風に運営されているのかちゃんと理解したかったので、小学校のPTAに積極的に参加しました。その後、学校運営委員にも選んで頂いて、子育てをきっかけにがっつり下北沢という地域に関わるようになりました。


ー 近所の北澤八幡神社によく行くんですが、そこのガールスカウトに入っている女子大生が興味深いことを言っていたんです。彼女は静岡の山奥出身で、大学に入ってから東京に出て来て、地元でもやっていたガールスカウトに入ろうと色々見て回ったらしいんです。それで東京と地元のガールスカウトとが全然違ったみたいで。簡単に言うと、東京には地域がない、と思ったらしくて。
でも、ここの活動に参加した時に、「東京にも地域がある場所があるんだ!」と感じて、それで八幡神社のガールスカウトに入ったと言っていたんですよ。

僕はこれを聞いて、やっぱりそうか!、と思ったんです。下北沢って、田舎みたいに地域が残っていて、その繋がりで多くの活動が支えられているんです。このことは普通にただ暮らしているだけだとなぜか気付けなくて。不思議なんですけどね。

僕がなぜ気付けたのかというと、藤野での暮らしや他の地域を見てきたこともありますが、何より小学校の学校運営委員になったことがすごく大きいと思っています。
学校運営委員会というのは、校長先生、副校長先生はもちろん、各地区の町会長さんや学童の事務局長、民生委員の方やPTA会長など、下北沢を各方面から支えている人たちが月1回ほど集う会です。主な役割は地域としての特色を活かして学校を運営していくこと。校長先生が異動する度に学校が変わってしまうことへの問題意識から生まれた制度で、委員会の主な役割は、校長先生が打ち出す学校方針を承認することです。僕はそこに、地域の未就学児の親代表(2人の妹たちの親という立場で)として目をつけて頂いて(笑)所属して3年目になります。活動に参加する中で、下北沢で行われている様々なイベントが地域のコミュニティで成り立っていることを実感したんです。

下北沢の良さ、面白いところって、こんな都心でありながら、田舎みたいに地域がしっかりある、そう言うところにあるんじゃないかなと思います。


ー ファシリテーターの仕事って主役はクライアントや参加者などそこにいる「人」だと言われることが多いんですけど、僕は場が発している意図、場から産まれようとしているものがすごく大事だという感覚を持っています。

もうひとつ、教育って、<教える時代>から<引き出す時代>へとか言われてきましたが、<共創する時代>に入ったと感じています。テクノロジーもどんどん変わっていくし正解もないから教育者の優位性がない。そうなってくると、教えたり、引き出したりというより、<共に学ぶ>、<共に作る>ことがどの世代も等しく求められている。ある意味、幸せや理想を自分で作れる時代なんですよね。

なぜこういう話をしたかと言うと、すごくタイムリーなんですけど、いろんな縁でつながった人たちと一緒に、4月から場を借りて、6月のプレオープンに向けて「まちの工作室&ワークスペース」のようなものを作っているんです。
もともと、二子玉川にある都市大学の施設とかを借りて、レーザーカッターを買うためにみんなでお金を出し合って一般社団法人を立ち上げて活動はやっていたんですけど、コロナで止まってしまったこともあって、そろそろ自分たちの拠点を持ちたいと思っていたところ、物件も面白いところが見つかって。

こういう自分たちの場を持つことで一番やりたいのは、親も子供も<一緒につくる>ということ。このあたりのパパママって、子供にいっぱい習い事をさせているけど、自分は送り迎えだけになっちゃうことが多いですよね。でもそれって面白くない。
だから子供も大人も境目なく、「つくる」と言うテーマで自由に<見えるもの>も、<見えないもの>もつくることができる場を僕らが中心となってやっていくことにしたんです。正直な話、僕も最先端のテクノロジーとかよくわからない。周りの親御さんを見ていても苦手意識のある人が大半。だから、子供たちのためだけの場ではないんです。我々親世代こそが自分の世界を広げさせてもらう場でもあるんだと思っています。ぜひ「シモキタFABコーサク室」へ遊びにいらしてください。

個人的にはリアルキッザニアを下北沢でやりたいんですけどね。


高橋玄太郎

ライフコーチ/ファシリテーター、一般社団法人CO-SAKU谷 理事。9才、4才、2才の3人の子供を育てながら、学校運営委員の活動、CO-SAKU谷など、精力的に地域と繋がりながら活動中。目下CO-SAKU谷の仲間たちと、下北沢に「シモキタFABコーサク室」をオープンに向け準備中。


撮影/原田教正 取材・文・編集/木村俊介(散歩社)

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