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【在日中国人が語る】Nikeの新CMについて思うこと

どうも、こんにちは。せんリスです。

Yahoo!ニュースを開いたら、こんな記事を見つけました。

ナイキCM批判 背景の日本人観

「なんでそんなに批判されてんだ?」と思った私は早速YouTubeで観ることに。

観たナイキのCMは、最近何かと物議を醸している

”動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting.”

というCM。

今回は、在日中国人として感じた「CMの感想」を率直に、嘘偽りなく書こうと思う。

さらに、僕は現在東京で広告マンとして働いている。広告業界に携わる1人の身として、今回のナイキCMが1番伝えたかったことを最後に書こうと思う。

この記事を書いた人:
在日中国人。両親は中国人。3歳の頃から日本に住みはじめる。大学は北米の学校で卒業。現在は東京で広告マンとして働いている。

個人的には「理解できる部分」と、「理解できない部分」の両方がある。

まずは、「ナイキのCMを観て、個人的に理解できる部分」を解説しよう。

理解できる部分

ナイキCMで取り上げているのは「日本人の人種差別」だ。とはいえ、日本は本当に人種差別の国なのだろうか?僕個人の意見を言わせると、日本に全く人種差別がないとは言えない。もちろん日本には、人種差別以前に他の要素が関与しているが・・・(詳しくは後ほど解説する)

確かに外国人、在日、帰国子女などの人の“生きにくさ”は存在している。

たとえば、僕の知っている帰国子女は、当初、日本に馴染めない問題を抱えていた。日本に帰化した瞬間、発言や日本語の発音がおかしいことからイジメに遭ったり、クラスに馴染めなかったりしている。

日本にも差別が存在しているのは事実だ。

とはいえ、人種差別が全くのゼロの国なんてあるのだろうか。いないだろう。どの国も多かれ少なかれ人種差別は存在する。

理解できない部分

僕自身、在日中国人として3歳から日本に住んでいる。そして、幼少期にイジメは受けていた。3歳で幼稚園に入学し、最初は日本語も分からなかった。日本語が分からないが故なのか、当初はイジメを受けていたらしい(あまり記憶がなく、大人になって親から聞いたのだが)。

しかし、徐々に日本に染まり、日本語を話せるようになってからは一切にイジメを受けなかった。

中国の名前が故に、僕の名前はかなり変わっている。親も中国人だから家庭内環境も一般的ではない。しかし、人種が理由でイジメを受けたことはないのだ。

ナイキCMでは在日の子の苦悩を映像化して描いていた。実際のところ、僕自身はナイキCMの登場人物ほどアイデンティティーに苦悩したことはなかった。

日本の学校で毎日友達と遊んでたし、みんなからもあだ名で呼ばれていた。だから自分の人種で苦悩した思いは本当にない。

私が思うに、日本人は差別以前に、「出る釘を打っているだけ」なのだと思う。

日本は良くも悪くも「自分たちとその他」のグループ意識が強い文化がある。

アメリカのような多人種が入り混ざった国ではなく、日本は一民族で構成されている。一民族である分、その中から浮き出た者はグループから除外される風習があったのだ。

学校でも、会社でも、サークルでも、こういったグループ意識は見られるだろう。

そして、このグループ主義こそが、日本の人種差別を生み出しているのだと思う。外国人、在日、帰国子女などは、表向きの情報だけ見ると浮き出ている。まさに「自分たちかその他」の意識を促進する要素なのだ。(僕が幼稚園の頃、日本語が話せなくてイジメられていたように)

だから、単に「日本人は人種差別主義だ!」とナイキのCMを観て解釈する必要はない。日本特有の「出る釘が打たれる文化」によって、在日の人などが、環境によっては比較的にターゲットされやすかっただけだ。日本人同士でも出る釘は打たれるので、一概には人種差別の問題とはいえない。

結論:このCMが1番伝えたいメッセージは人種差別ではない。

ここまで長々と「人種差別」について語ってきたが、そもそもナイキのCMは「日本人の人種差別」をテーマとして伝えたかったのではない。

僕が思うに、このナイキCMが1番伝えたいメッセージは「日本人の人種差別」より遥かに大きなテーマだったと思う。それは、「自分の信念を貫く強さ」であったり、「自分の夢に向かっていく姿勢」であったりする。

そもそもナイキはスポーツメーカーだ。スポーツは、時に壁にぶち当たり、時に自分の能力や才能を疑う場面が訪れる。

そんな壁に大きくぶち当たった時に、スポーツ選手が勇気を貰えるような動画を作りたい。この意図を持ってナイキは今回CMを作っているのだと思う。

実際にナイキの過去のCMとかを観ても、「自分の信念を貫け!」「諦めるな!」といったメッセージ調が強い。

今回もナイキは同じメッセージを伝えようとして、たまたまメッセージの題材を「日本の人種差別」に置き換えただけなのだ。つまり、今まではCMの主人公をスポーツ選手にしていたけど、今回は在日外国人にしたのだ。しかし、「自分の信念を貫こう」というスポーツに共通するメッセージは相変わらず発信している。

だから、決してナイキは「日本人って人種差別するよね!!」っていう反日を謳いたかったのではない。単に障害や壁を乗り越える人を描きたかったのだ。なぜなら、スポーツには課題や壁がつきものだから。それらの壁を乗り越える勇気を、ナイキは与えたいのだ。