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恋瀬橋

これはまだ私が高校生の頃の話しなんだけどね。高校に行く道に「恋瀬橋」って小さい橋があったの。その橋には、恋人同士で手を繋いで橋を渡ると永遠に結ばれるって言い伝えがあってね。ロマンティックでしょう?

貴女には幼なじみがいる?私には隆って幼なじみがいたんだけど、突然私の親友の純子と付き合いだしたの。
でねよく純子がこぼすのよ、
「隆と手を繋いで橋を歩きたいのに、手をポケットに入れたままなの」って。

でもそれはしょうがないわ、だって中学生の時にもう私と手を繋いで恋瀬橋を渡っちゃったんだもの。ま、私が運命の人だっただけよ。

あれは高校三年生の時だった、純子が隆の子供を身ごもったの!信じられる?!きっと純子が隆を誘惑したんだわ、あの子ならやりそうだったもの。勿論、二人は退学して一緒に住み始めたわ。私は親友の振りをして二人が住んでいたアパートに通ったの。なんでかって?隆の側に居たかったからよ。

そして卒業式の日、謝恩会の会場にふらりと隆がやって来てポツリといったの。
「俺も卒業したかったな……」
その言葉を聞いた時に思ったの。あぁ、この結婚はやっぱり間違いなんだって。

次の日、隆が仕事に行ったのを見計らってアパートに行ったの。赤ん坊を抱いて純子が出てきたから、
「隆はあんたなんか嫌いなのよ!何よ!こんなもの!」
って赤ん坊を取り上げてアパートの下に投げ捨ててやったわ。純子は悲鳴を上げて出て行こうとしたのを押し倒してお腹を持っていたナイフで何回も刺したの。もう二度と隆の赤ちゃんが出来ない様に。これで隆は私のものだわ……、そう思うでしょう?

ーーある精神病院ーー
「先生、101号の患者さん又壁に向かって話してますけど」
「放っておきなさい、どうせ死ぬ迄この病院から出られない患者何だから」
先生と呼ばれた医者は哀れそうにその部屋の方を見た。

ーーもう少しで隆が迎えに来るわ、そうしたら又恋瀬橋を手を繋いで歩くのよ。ねぇ、隆ーー

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