"まだ夢の中にいる”#3
リハの時間になりライブ会場となる食堂カフェへ降りていく。この会場だけ今回のツアーの中では電子ピアノを使用するので鍵盤のタッチやピアノ音源の可否などしっかりチェックをしないといけない。
全く初めて会うスタッフや配信で仕事してはいるけれど実際は初めて会うスタッフもいて、みんなで熱い挨拶を交わす。ステージの後ろは2面ともガラスになっているので、お客さんから見るとビジュアルの抜けはいいが、音は反響するなと思った。しかしいざ鍵盤に指を落とすと、、、足元の転がし(モニター)は反響に左右されず聞こえてるので問題ない。天井が高いので、音は拡散&反響を繰り返すだろうが、それに左右されないくらい硬めの音で聴こえている。これだけでスタッフの愛とプロフェショナリズムを感じる。ポロポロと数曲弾く。リハの僕はいつもピッキーに(あげつらうこと)細かく疑問点を炙り出すが、今日は特にそれが見当たらない。これだけバッチリの音量音質で聴こえていると、お客さんが本番で入って身体に吸音しても、特に大差はなくモニターで全体の音を把握することができるだろう。
「ペダルを固定してもらってもいいですか?」
「もちろんですよ。そのつもりです。位置はここでいいですか?」
「うん、この感じで、僕は足をたくさん動かすのでゴリゴリに固定しちゃってくださいね、剥がれぬように。」
「了解しました。」
どんどん本番さながらに弾いちゃうと、パテーションの向こうから様子を見守るお客さんから拍手が起こる。なんだか嬉しい。嬉しいがぐっと堪える。リハなので過剰なリアクションはやらない。この時点でまだ出会っていない設定なのだから。気になるポイントを残らずチェックする。大丈夫そうだ。
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