ブルックリン物語、日本着陸。5
2020年の2月の末、ツアーがコロナのためキャンセルになる。
あれから2年半か。
ぼくの綴る「ブルックリン物語」はデトロイトから羽田へ向けて離陸した。
さっきラウン時間を持て余す僕の前に座った白人のおじさん(おじさんと言ってもおそらく僕よりうんと若い)が話しかけてきた。
サーバーの女性が「何か飲む?」と声をかけ、彼が「ダイエットコーク」と答えた後、彼女が僕にも「あなたは?」と聞くので「ダイエットコーク」と復唱して笑いあったのがきっかけだった。
「あなたが持ってるもの、ピアノでしょう?」
「あ、そうですよ。僕はピアニストなので」
「え?素晴らしい。今日はどちらから?」
「NYのブルックリンです。今、僕の国である日本へ向かってる最中で、
今乗り継ぎ待ちなんです」
「僕はブルックリンにも住んだことがある。でも……」
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