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ブルックリン物語 #04 欲しいものが手に入ったら、すぐに飽きてしまうあなた "After You Get What You Want, You Don't Want It"

英語でWhimsicalという言葉がある。

辞書によると「気まぐれな」とかいう意味になるらしいのだけれど、実際は違う。

僕の中では、たとえば、ジャムの空き瓶などを再利用してハーブをいっぱい入れ、水やお茶などを注ぎ、スエーデン家具に腰を下ろして足を組み、ゆっくりと頂くようなイメージ。ロハスで古いものを大事にする感覚。

たとえば、マンハッタンではなくてアップステートの別荘で。窓を開けると、雪原にタヌキや鹿が走っていくのが見える。かたわらには暖炉に火が灯る。

壁紙はベトナム風な葉っぱをあしらったデザインで、毎週定刻にはオーガニックの野菜が一箱分届いたりする。


時間はまちまちだが車や列車を使ってマンハッタンから友人たちがそこに集う。白い息を吐きながら庭の即席ブランコを漕いだり、ベイビーグランドピアノを奏でる人に合わせて誰かがハミングしたり。どこか既成の価値観を超えた、肩の力の抜けたライフスタイルとでも言ったらいいのかな。

ジャムの空き瓶にホットワインを注ぐ。これは少しWhimsical ではなくなる。ホットワインはドイツ人の赤ら顔の男たちがマッチョに飲む無頼漢なものだからだ。

Whimsicalの世界観だとおそらくハーブテイーかホットチョコレート。アジアンフードもそのものずばりではなく「フランスのパリを経由したようなベトナム料理」みたいな世界観、ミックス感。単純に高価な食べ物ではなくて、テーブルセッテイングにちょっとしたセンスのいいあしらいを添えたようなシンプルで素敵なもの。

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