ブルックリン物語 #57 エメラルドの風の中
母校の関西学院と7年間レギュラーをやっていたTFM HALLで35周年記念コンサートをやってアメリカに戻ったら、すっかりNYの街は秋が深まっていた。関学の楽屋には父や妹、甥っ子が来てくれてしばし話に華が咲く。いつもコンサートや仕事では関西とは言えどホテルにいるので、機を見てゆっくりと帰ろう、と先月1週間ほど実家に帰省した。
「お兄ちゃん、新しいCD買わせて。よかったら20枚持って帰ってきてや」
そう妹が言ってくれていたので「お買い上げありがとう」とPND社長はスーツケースにCDを丁寧に包んで入れ、その周りをジャケットや下着やTシャツ靴下などで動かぬよう固定させる。今回はプライベートの旅なので日にち分だけの着る物があれば何とかなる。ズボンなんて破れてはいるがここんところずっと買う時間がなかったので、そのまま履いているユニクロのストレート。替えも要らない。
ついこの前楽屋で会ったばかりなのに、その時よりも父が少しだけ年老いて小さく見えるのは気のせいだろうか。息子目線で見るとついついそんな風に見てしまう。父とて僕を見る目は同じだろう。息子もずいぶん歳をとった。腰も膝も指も腕も商売柄とはいえ常に痛がって摩っている。最近、上海経由での帰国にするのは、時間こそグロスで20時間を超えるフライトだが格安でしかもフルフラットでずっと寝て帰れるのが体に嬉しいからだ。
成田に着いてからエキスプレスであっという間に東京へ。編集のM山さんと合流し渋谷のnoteのオフィスで打ち合わせ、ROBOTでも打ち合わせをしてからいざ品川駅から大阪へ。
チキン弁当が売り切れなので幕内とお茶を買う。2時間の旅の密かな楽しみ。流れる車窓の景色を眺めながら考え事をする。
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