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Life Is Beautiful物語 #2 「人生でいえば秋〜冬」
昨夜、素晴らしい夕食会があったので、早めに家を出てセントラルパークを散歩しました。NYの四季の美しさは言うまでもないけれど、秋〜冬に向かう時期、葉っぱがどんどん色が変わり道に落ちてまさに”冬枯れ”へと向かう様子はそれだけで「物語」を感じられて、美しい。
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ウッデイ・アレンの『マンハッタン』、『アーニーホール』を思い出す。日が暮れるのが早くなり6時半の待ち合わせよりうんと早い5時半、あたりは真っ暗です。随分ご無沙汰してるうちにセントラルパークサウスは高層ビルがいっぱい建っててびっくり。まるでTokyo City!!!!!
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それにしても渋滞の5th Avenueの車のテールランプが老眼のためぼやけてしまい逆にむしろとてもキレイ。歳を重ねて色々失ったものは数多くあれど、逆転の発想をすれば、視界はぼやけるし都合よく物忘れもするしいつだって「メガネメガネメガネはどこ?」「頭の上だよ」(笑)だけども、、、、結構これはこれで思わぬ発見もあって楽しい。
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こんなに長くNYに住んでるのに暗闇のパークをイースト寄りから入って歩くとZOOにぶち当たり迷いました。「あ、そうか。この先は行けないんだ。」と迂回して馬車が行く大通りを歩きます。パカパカパカ。
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ダコタアパートは見えるかな? ウエスト側は見慣れたNYなのにミッドタウンサウス側はすっかりお台場状態(笑)。賑やかなロックが流れる白っぽく照らされた場所を見つけて覗きこむと「スケート場」。係員が製氷マシーン? に乗って爆音でロックを流しながら氷を整えてます。
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そうこうしてるうちにボートハウス。すっかり池は凍っていて人影などどこにもなくて、パークの中に入り込めば入り込むほどマンハッタンから自分だけが取り残される感覚になります。
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「人生でいえば秋〜冬」に心を寄せて心を震わせて作ったアルバム森山良子さんの、「Life Is Beautiful」。冬枯れの中から帰宅して暖炉にかじかんだ手をこすりながらホッとする、そんな時に聴いていただける音楽です。
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「メガネ携帯鍵はどこ?」「おしゃべりしてるうちずいぶん遠くまで来ちゃった」「なにも変わらないの」「人生ってこういうことあるの」「古いアルバムめくるとありがとうってつぶやいた」「ほら幸せが始まってる駆けている」「愛する人のために生きるの」「嵐のような月日が過ぎて気がつくことがある」
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Ryokoさんとの時間、彼女が成城の中学生だった頃から始まり「この広い野原いっぱい」でデビューした日のこと、学校の先輩である黒パンこと黒沢久雄さんに呼ばれたバンドの話、泣く泣くフォークを歌ったけれど今じゃ大切なお客様たちとのたくさんの出会いがあったこと、お父さんがいつもかけてたジャズ、バレエを習ってた日々のこと、小学生の時の仲間と今も一緒に裁縫したり八ヶ岳に行ったりお酒を飲んだりの話、若い頃に語学留学やジャズをめいっぱい勉強したかったけどそんな時に結婚や子育てがあったこと、、、、、RYOKOさんの人生を駆け足で並走してる気分で心の中にメモメモしまくった。今もメモメモの日々。
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世界中探しても日本語の歌詞をジャズのメロディに載せてやれるのは僕しかいない。なんて、、、なんという無謀で大胆すぎる思いつきだったのだろう。
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そう勘違いして作り始めたけれど、不遜で薄っぺらな気持ちはすぐにどっかへ飛んでってしまいました。Ryokoさんが言う、
「わたしのお客様たちってね、とても素直なの。あったかいのよ。Ryokoちゃんがそんなに頑張ってるんだったらあたしももっと頑張ろって思って笑顔になって帰っていかれるのね。そういう方達がみんなで歌ったり心に沁みたりできるジャズが作りたい。」
という言葉に心動かされ、Ryokoさんを通じてお客様達とまるで交信するような気持ちで、いつしか曲を書いたり詩を作ったりし始めました。
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大昔桑田佳祐先輩から、
「Senriくんはもっと光GENJIに書くみたいにリラックスして覚えやすい曲を自分自身にも書けばいいのに。」
と助言していただいたことがあったのだけれど、原坊も横で、
「そうそう。そうだよ。」
って笑顔で頷いてくださったけれど、あの頃は、
「ええ??(不服。笑。)全身全霊で書いているのに。」
って思ってました。
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歳を重ねて今思うのは、俯瞰の目というか人生の多少の失敗や落ち込みを経験してそれらをなんとか「よっこいしょ」と乗り越えて「完璧じゃいられない」人生をどうにかサバイバルしてこそ気がつく目線や世界観が音楽の中にもあることをやっと随分時間をかけて分かりかけてきたのかもしれないなと思うのです。←一文が長い。笑。
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先行シングルの表題曲『Life Is Beautiful』を聴いてくださればそんな今の僕の気持ちを感じていただけるかもしれません。僕個人の人生にとっても2024年は「喪失」の年でした。NYに一緒に渡って生活した愛犬ぴが3月に亡くなってそんな中自分を奮い立たせるように、いや、音楽を作ることによって自分が励まされながら、前へ進む年だったように感じます。今もそう。
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まさにRYOKO JAZZを模索して探して作りながら自分自身の人生の「蘇生」を繰り返しました。そして、Ryokoさんに、
「いい音楽を作っても分け合う相手がいないと何にも意味がないのよ。」
と言われて気がついて湧き上がった音楽への新たな情熱をダダ漏れにさせて出来上がったアルバム、それが『Life Is Beautiful』。そして人生を重ねて尚も少女の心と感性を持ち続け、磨きをかける森山良子さんの魅力をふんだんに味わっていただけるアルバムだと思います。
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次回はRecordingに向けた具体的なエピソードを交えながらお送りします。
To be Continued…………………
12月8日(日曜日)午後4時オンエアの大江千里がαステーションからお送りする「On The Sunnyside」ではアルバムの中から何曲かお聴きいただけます。聴いてくださいね。
文・写真 大江千里 (c) Senri Oe, PND Records 2024