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ブルックリンでジャズを耕す #03

アメリカにも日本の確定申告のようなタックスリターンという申告の時期が、毎年年明けにやってくる。 小さな会社のCEOとしては一年で一番緊張する時期である。今年は仕事量も多かったが結局$7,000.00ほどの大赤字だった。

 「収入自体は非常にいい感じなんですよ。5年目にして好調です。要するにかかりすぎた経費というのは交際費(外食費)です」

ここ数年、PND RECORDSのTAXをやってもらっている会計士は こう言って笑う。

「そりゃ、僕自身も僕に関わる人も楽しんで仕事したいですからね。ツアー先でもNYでもけっこうな回数、外へ食べに行きますもんね。贅沢しすぎちゃったかな?」
「それは必要経費です。じゃないとクリエイティブな発想は生まれないです。支出を緊縮するとか一切考えないでください。それ以上に本筋の音楽を頑張ればいいわけだから」
「それはそうだ。なるほど(自分に都合いい部分だけを拡大し頷きながら……)」

お金のことを抜きに僕の「第二の人生に於けるジャズ」は語れない。日本では最初の大学生であった23歳でデビューし、25歳の時に3枚目のアルバムでブレイクし、オリコン上位に入る。その後キャリアに若干の浮き沈みはあったものの、総じてお金に頓着せずに音楽に集中できた恵まれた環境だった。

しかし第二の人生、ニュースクール時代の「ジャズ山のお猿さん」は、正真正銘の一学生だ。最初の大学の時みたいに親が授業料を出してくれているわけでもなく、自分でハンドルせねばならない。

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