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新新 *SenriとRyokoのおしゃべり泥棒* 6

撮影のあった翌日も、いつもの午後1時前になるとスタジオのベルを押して古いビルの中の迷路を行く。そしてAndyがスタジオのドアを開けて待っててくれる。今日もレコーディングの始まりだ。

あなたってそういうとこあるの

僕が最近家で飲んでるブルックリンで一番安く手に入るコーヒーとおそろ、安くて尚且つおいしいエクアドルのコーヒーを、ノーランが手際良く淹れる。僕らはBスタジオ。この前みんなで賑やかにリズムを録ったAスタジオにはジャズビッグバンドのレコーディングがこの日入ってて、人懐っこいジャズメンたちが「よ!」と声をかけてくる。

共有のくつろぎスペース

「ちょっとごめんよ、コーヒーとってもいい?」

「あ、気づかなくてごめん。」

そんな会話で笑顔を交わす。

Ryokoさんの場所

BスタジオにはRyokoさん、パンチョさん、そして一夜で「おかゆで治りました、昨夜はすみませんでした。」ぺこりのミゲルさん、Junkoさん、僕、そしてエンジニアは若手44歳)のノーラン。

撮影で疲れてるはずなのに、この日の声の出が最高で3曲できちゃった。Junkoさんの表現する「おでこのパレット」に声が当たりまくり、ミックスした声を出すというのを一旦忘れて自由に歌ってみたら、なんとどっこいパレットが難なくパカと開いたのだ。

録音はチクチクお裁縫みたいだね

嬉しいので前にやった曲もサラッと歌い直したり、明日やる最後の曲たちも練習したり。僕はコーヒーを大きなマグカップでガブガブ飲むので胃が相変わらずタプタプの巻。

だってプロデューサーの頭の中はいつも「無事にRyokoさんが帰るまでに声を全部頂けるか」でいっぱいなわけだし、もしも100万が1でもダメだったら、その時は「あ」でも「い」でも「え」でもRyokoさんに叫んでもらって、声を繋いでアンドロイドか初音Ryokoミクにしてリリースするしかないわけだ。バカ言ってる場合かい。

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