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プチDAYS「長い1日だよ」

パンデミック以降、N Yの路上で亡くなるホームレスの数が急増したそうだ。そりゃそうだろう。明日は我が身、毎日地下鉄でお金を懇願する彼らに何かしてあげたいとは思ってもなかなかできないのが現実だったりする。

その亡くなった原因に「薬」が一番多いと言う記事を読んだ。心臓発作が多いそうだ。零下の街に薄い毛布にくるまり路上にいる彼らの姿がふと目に浮かぶ。この街にある危ない橋は一旦渡ると戻れない。出所は寂しさだったり夢と現実の落差だったり家族との不和だったり起業の失敗だったり。みんな大概その果てにある社会からの断絶という「孤独」と戦っている。

真昼の月

「ウォッカとテキーラとジンとそれから、、、、、」

彼女はかなりゆっくり防弾ガラス越しの陳列棚を見渡しながらオーダーを続けている。後からその酒屋に入った僕は先に待ってる親父さんと軽く目配せをした。のらりくらり酒を選ぶその女性のことを彼は「しょうがないさ」とでも言うように手を広げる仕草をしてふっと笑った。

「支払いは、え?  よく聞こえない。え?  デビットカード?  クレジットじゃダメなの?  どういうこと?  何言ってるのかよくわかんない」

また親父さんは僕に目配せする。おそらくそのアフリカ系の若い女性はかなり前からこうやって酒を選んでいて、親父さんはすぐに終わると思って宝くじを買いに来ただけなのに、彼女が終わるのをずっと待ってる、そんなところか。

よくある光景

「デビット、デビット、(デビットカード=利用と同時に自分の銀行口座から利用額が引落とされるカード)あったかしら?」

ああ、この調子だとまだ当分はかかりそうだ。

「袋はちゃんと破れないのに入れなさいよ」
「1ドル。買ったやつはおまけで紙袋に全部入れた。でも丈夫な布袋は1ドルだよ」

最近顔なじみになった中国人の若い店員さんはそう言うと、それを意味不明だとばかりにまた彼女の特有の「は〜!」が出た。

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