プチDAYS「友人のブロンクスの新居へ」
友人がブロンクスに引っ越したので、House Warming Gift (新居祝い)のヴーヴクリコを抱えて、さっそく伺って来た。
なぜシャンパンかと言うと「消え物」が貰う方も煩わしくなくて良いかなと思うから。部屋の調度品とかだとその人の趣味があるし、友人とは言え微妙なニュアンスまでは計り知れないので、笑って済ませるものがいいかとシャンパンで。
これなら僕がSober(酒を飲んでいない人)でも、「お前が飲まねえのかよ!チャンチャン!」でオチがつく。予めリバービューの高層階の写真を見ていたので、シュワっと弾けてキンキンに冷やせるのがいいかなって。
リトルイタリーにある酒屋さん”Granyette Wine & Spirits” に出かけてみる。日曜日の午後、オーナーのチャイニーズのパパと息子さんが仲良く店番をしていた。外は穏やかな天気なのに風が強い。
「偉いねえ、ちゃんと君はお店の手伝いをするんだ。」
自分が小学生4年の頃、大人にそんな物言いされたら、「ふん」と鼻であしらってたはずなのに、このメガネボーイは素直にきちんとした物言いで、
「はい、そうなんです。もしシャンパンをお探しならば、ドンペリがございます。400ドルです。」
ニコッと僕に微笑み返す。ふふ、いいね、その単刀直入な感じ。
友人は大のシャンパン好きなので、引越し祝いにドンペリは鉄板だ。でもまさかこの男の子の口からドンペリが最初に出てくるとは思ってもいなかったので、一瞬「買っちゃう?」って迷ってしまう。
「ドンペリをまず紹介するって、君は商売がよくできるね。」
冗談まじりにそう言うと今度はパパが、
「そうなんです、学費は自分で稼ぎなさい!がうちの家訓なんですよ。」
と笑う。息子さんは、ぽりぽり頭を掻く。
なんだかシャレが効く、楽しい店に入った。
まだ戸棚の全部に品物が揃ってない。ドンペリは冷やしてもいないし、レジの後ろの高い、手が届かなさそうでかろうじて届く、そんな微妙すぎる位置に、箱ごと「でん」と置いてあった。開店して間もないのだろう。
「色々、他にもありますよ、ピンクモエシャンドンもあるし、辛口の白のモエもあるし、ブーブクリコだって。」
一丁前にシャンパンのあれこれを丁寧に説明する息子さん、ちょうど僕と良く似た茶色ブチのメガネをかけていて、話しつつ左手でツルをいちいち直すのがおかしくて、
「うーん、じゃ、ピンクでもなく、普通の辛口でもなく、、ドンペリでもなークー、
ブーブクリコをください。」
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