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プチDAYS「モニターされてるかもしれない」
「一人ですけど、予約なしにランチってできますでしょうか?」
日本滞在の期間中、神戸の山手の住宅地にあるイタリアンに赴いた。
無性に胃袋に喝を入れたくなる時がある。そんな時、普段はあまり赴かない「おまかせ」の店に行く。それがこの日だった。
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1階がバーでグラスを拭くバーテンダーらしき人がいる。しかし目の前に現れたのはサーバーだった。予約もなしに現れた僕にちょっと驚いた風に、
「え? 少々お待ちください」
そう言って彼は2階へ消えた。それから10分。僕は自動ドアの内側で開かないように身を縮め待つ。老夫婦が別のサーバーと談笑しながら2階から階段を降りてくる。
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「美味しかったわ。ああ、〇〇さんにも、またよろしくお伝えして」
「かしこまりました、〇〇さま! お伝えします。またお越しください!」
常連らしき彼らの通行の邪魔にならぬよう自動ドアを踏んで歩道に出た。
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再び店に入ると客を見送ったばかりのサーバーが僕を一瞥した。この時ふとなんとも言えない予感がした。 でも今考え出したらきりがない。だって一見さんなのだから。ホームページで店をチェックすると、ランチコースが3つ、お任せだった。コースか〜、お任せか〜、アラカルトで食べれないのはか〜。とっさにそう思ったもののこの日は珍しくチャレンジ精神が勝った。
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