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横浜思い出館
楽し過ぎて思い出が残りすぎてなかなか去り難く思わず忘れ物をしてまた会館に戻ってしまったという、横浜思い出館こと、神奈川県立音楽堂の夜。
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なんか、いいんだよなあ。前川國男氏が設計したミッドセンチュリーな建物は昭和を象徴するあの高度成長期のエネルギー溢れる建築だ。デザインも超おしゃれ。
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建物の中に入ると程よい広さのリビングルームのようなソファセットのある楽屋。前回も僕の部屋はそこだったので目を瞑っても動き回れる。互いに同じ時代を生きて来た。だから離れてた時間が長くても出会った途端にお互いがわかりすぎるくらいに分かり合える。そんなふうに帯電し共感し響き合う音楽堂と大江千里。
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横浜少年少女合唱団の集中力ったら素晴らしかった。ステージ中央に置かれたYAMAHA。どの角度から撮っても絵になって思わず360度で撮影してしまう。
「この角度、この場所でいいですか?」
「いいですよ。なんかシンメトリックじゃなくていい。」
「でしょ?この場所がピンポイントで音がベストな響きになる点なんです。」
「あ、わかる。ちょっとピアノ位置が上手寄りなんだよね。」
舞台監督氏と大江千里との短い会話。
ため息が出る音楽堂のレイアウト、随所の木の香り、ガラスを通して外から風を運ぶようなロビーの開放感、見るもの手に触れるもの全部が美し過ぎてついついウキウキ動き回り、いつまでも帰りたくない子供になってしまうのも、無理はないではないか。これが文化だ。
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灯りの微調整幅、廊下の幅、楽屋の左右の幅、吸音板の幅、ホールとはこの「幅」なのだ。全てが程よい加減でその幅を作り出すために存在する。仰々しくなく、ただ前を向き顔を上げる。それだけでとてもアイコニック。
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昭和という格好いい時代の名作、
今も時を刻む
”神奈川県立音楽堂”。
僕にとってちょうど1年ぶりの公演だったが、スタッフの顔が青ざめるほど時間を忘れアンコールを夢中でやり過ぎて、会館のスタッフに閉館時間を超えて大迷惑をかける一歩手前だった。なんとか滑り込みセーフ。
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前日のチャリテイだけでExclusiveにしようと決めていた「六甲ガール」を思わず自分でもびっくりしたがアンコールで弾いてしまったり、その様子は音楽評論家、小貫昭信氏のFBにも掲載された。よければ下から飛んで読んでみてください。心がほっかほかの湯気の立ててる感動が伝わる文章!!!!!!
小貫信昭さんのFace Bookから
昨日は神奈川県立音楽堂で、大江千里さんのソロ・ピアノを堪能した。ソロということで、咳払い厳禁→龍角散必携、みたいな雰囲気も想像したが、予想とは違っていた。沸き起こる会場の手拍子なども実にスポンティニアスであり、生楽器の音響に優れたホ-ル全体...
Posted by 小貫信昭 on Thursday, January 9, 2025
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ルネッサンスクラシックスの本公演のBIG SOLO ENCOREがこの夜に千穐楽を迎えて、あとは福岡の電気ビルみらいホール、札幌のペニーレイン24が2日間残るのみとなる。もう後半戦なんだと思うだけでせつなくなる。
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トリオの芦屋ルナホールが18日に控えてはいるが、ソロのコンサートは富山、兵庫コベルコ、大宮、神奈川県立音楽堂と、ものすごい熱風が吹いた。
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「あのお弁当をテーブルに置きましたから。」
ついさっきそんな恩田氏の言葉が脳裏に焼き付いている。
「お、あれだな?」
と僕も察しがついて思わずニヤッとした。その瞬間がもうすでに、若干、遠い場所にあるように感じるから不思議だ。人間は想像力の中を生きている。
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僕は今、明日の佐世保のコンサートのリハを終え夕飯を食べコンビニに寄り、みかんゼリーを買い、現在は部屋で寛ぎそれを食べている。明日はアメリカ人のお客さんも多いと聞く。わ、どんなコンサートになるだろう。
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昨日の帰り道にふと、また横浜に帰ってくる時の次のコンサートのタイトルが浮かぶ。昭和100年にふさわしいキラキラなもの、そしてせつない響き。
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また、この地、横浜で逢いましょう。