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プチDAYS「覚えてる? あのホームルーム」
62歳になって何が変わったといえば行動が鈍くなったということである。物事を考え込む傾向が増えて、じっくりやっていると気がつくと時間に押されていつも放課後である。
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「Senri、日本へ帰るまでにクリスマスツリーを片さないと大変なことになるよ。引火して火事にでもなったらどうするんだい?」
部屋に遊びに来たマーレーの奥さんが言った。いろんな人に言われてもやろうやろうと思いつつ「もう少し後でも。だってこんなに綺麗なんだから」と思って先延ばしにしていたら、もう旅立つ前日だった。
オーナメントを一つひとつ外して箱へ戻す。やがて1本のもみの木の素顔が現れる。それを運びやすいように小枝をハサミでトリムする。日本へ帰るため自分の頭を散発し髭もさっきトリムしたばかりなので同じだ。
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すっかり小さくスッキリした木を抱えて外へ持って出る。まだぷうんと樹液のアロマの匂いがする。「ありがとう」と言ってゴミ置場に置いてくると心の中がチクチクした。
ガランとした部屋にピアノをセットして芦屋ルナホール公演のセトリ通りに演奏する会を催した。お客はマーレー、奥さん、隣のスティーブ、彼女、最近ブレインストーミングで助けてもらうロレン、KayそしてKayの友達である。
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