特別寄稿 「青春63切符は知ってますか?」
ツアーがあっという間に後半戦に差し掛かった。
思えばブルックリンでの荷造りの日々。出来てたことと出来なかったことを抱えつつ朝ラガーディアへ向かったあの朝、まさかこの心に光が差してくる瞬間が訪れることを知る由もなかった。
ぴの逝去による悲しみで目の下が膨らみ、「歩き過ぎ、練習し過ぎ」で腰、背中、膝、手首、首、指が変調をきたし、幾つもの仕事の質も量もそれぞれが重く濃く、一旦一個に集中すると遅々として進まない全体像への不安と恐れ、茫然とする気持ち、それが霧のように目の前に立ちはだかったいた。
しかし、かたや、鏡の中のそんな憔悴した自分の顔を見てふと、「これまでだってずっとそうやって何度も何度も大きな局面を乗り越えて結果を出してきたじゃないか。物事や人生はなるようにしかならないもの。悩まず微力でも前へ進め。」と自分を見据えて言い聞かせた。
だから本当に「青春切符」を握り締めたまま、あてのない旅へ向かうような心境だったことを今だからこそ告白できる。
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