作楽#13 英字アリス帯/紹巴織
1,デザイン
この帯のデザインは「不思議の国のアリス」の英字を元に制作しました。英字の帯、染帯ではあるかもしれません(それも見かけたことはありませんが・・・)が、ありそうでないデザインです。
昔は文字が意匠の中に入った帯、『かな』や『漢字』を使ったものはありましたが、今はほぼ見られません。もしかして、『文字』というのは相性は悪いのかも・・・。
図案をつくっている最中の社内は、上のような空気も漂っていました。
ちなみに、この帯を制作した時期としては、先日紹介した、『白ウサギの後ろを追いかけている風景の帯』とほぼ同時期です。
図案づくりでは、『不思議の国のアリス』英文を実際に毛筆で和紙に書いてもらい、それを元にした図案を制作(実はスペルチェックはしていません。文字全体の流れを重視していました。あとから、気づく・・・)。
図案が出来上がった後、意匠図をつくるときは、筆の勢いを残すため、できる限りマス目の中に点を拾い込んでいます。それができる織物は紹巴織です。
もちろん、意匠の中に文字があるのではなくて、全て文字だけの帯。どんな着物とのコーディネートがイイのか?それを考えながら、制作しています。ちなみに、制作しながら、自然に思い浮かんだ着物は・・・。
地紋だけの薄い地色の御召、濃いグリーンの蚊絣の大島紬。飛び小紋。
その3枚です。
2,織組織は紹巴織
筆の軌跡をできる限り拾うために、織りは紹巴織。
濃い色と薄い色の2色しか使っていないように見えて、もう一色緯糸を入れています。さらに三色同士をミックスさせることで、第4,5,6の色をつくり、グラデーションに。そこへ紬の節も活かしているので、かなり深い陰影をつけることができました。
新しい帯を作るたびに、なにか新しい手法や技法を考えては使う。もしくは、以前使った見た技法をもう一段応用させるなど、いつもはしていますが、この帯は徹底して、筆の軌跡を点を拾う。それを徹底させた帯です。
出来上がってみると、シンプルこの上無い様に見えるかもしれません。そんな手間や努力の跡が見えにくい帯が完成したとき、個人的にはモノづくりが上手く行ったと感じます。
いつまでも眺めていたいし、織ってもいたい好きな帯の一本です。
Online仙福屋『アリス名古屋帯』
⇒https://www.senpukuya.jp/products/list.php?category_id=501
3,袋帯、名古屋帯から小物
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