CandyCircus #1 水花(すいか)
1,デザイン/水花
記念すべき一本目の水花。コラボをするに辺り、舟田さんには一つ作品を制作して頂きました。となみの『波』をイメージして水の作品です。
水滴が水面に落ちる際にできるクラウン。その中で楽しく踊る踊り子を銅版画で表現したものです。
上の作品を織物として制作。
2,織物について/紹巴織
水に落ちてクラウンができ、その一瞬の動きを織りで表すために、白と青系の色を交互に絡み合わせることで、中間色の中間色を作り出し、動きを付けています。敢えて、黒と濃い藍色を近づけて、目が錯覚を起こすようにして、踊り子の周りにある線が動きを回る。そんな意匠図つくりをしています。
3,作家さんとのコラボ
作家さんとコラボを初めてする時に、一番困るのは、『どんな雰囲気で制作したら良いのか、全く分からない。』ことです。遥か昔に亡くなられて評価が出来ている方の作品を帯にするときは、大家であればあるほど『元の作品をけがさない様に・・・』みたいな重圧を受けますが、現役の作家さんとコラボをする場合はまた違います。
自分の場合、作品をなぞるだけではなくて、作家さんの雰囲気も加えたいと思ってモノづくりをします。そのため、そこまで人間関係ができていない時は難しい。ある程度、他の作品を調べたり、実物を見せて頂き、想像を加えながら図案紋図を作り上げていきます。そのため、省略できそうなところも必要以上に加えて仕事を難しくする傾向にあります。
とくにこの一本目は、点で柄を表現するボカシを入れ過ぎています。大勢には影響しませんが、細かく見ると、紹巴織の特性を使い倒しています(苦笑)。(自分が)気負って、作り込み過ぎたのがチラチラと見える帯です(笑)。
次の帯からは作家さんの雰囲気が分かるようになっていくため、もう少し伸びやかに、意匠図制作はできています。が、お客様からはこの一本目の帯の人気が高かったりします(笑)。
また、この当時の自分のモノづくりスタンスが、良くわかります。
この次の帯には、その流れは引き継がれないので、CandyCircusの帯を何本か並べると、
この最初の一本だけ、ちょっとだけ異質です(いい意味で)。
4,コーディネート
絞りの着物とコーディネート
5,裏地
ちなみに、制作時は表をつくることで精一杯。表が上がり次第、裏地をどうしよう?なりましたが、最終はこの裏に。
水滴が水面に落ちて、沈み込んでいく様子をイメージして、裏地を制作しました。水面と水面下、この組み合わせが上手く行ったのか分かりませんが、並べて展示するとこのようにしっくりと。これ以外には考えられない、そんな裏地になっています。
このあとのモノづくりはクッキー気球柄を中心にモノづくりしていますので、やはりこの帯はこのシリーズの中でも、少し異質なのかな??
余談です。
ある業界の方は、このシリーズをこう評されました。
みんな世の中に無いモノづくりをしたいけど、したら無茶苦茶なものになってしまう。でも、この帯シリーズは無茶苦茶が作家さんのコンセプトと個性で上手くまとまっているし、ちょっと羨ましいなぁ。
自分にとって師匠的な人でもあったので、それがとても嬉しかったのを覚えています。
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