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唐長さんとのモノづくり#9 『縮緬縞』(御召)
1,デザイン
デザインは唐長文様『縮緬縞(ちりめんじま)』。
縦に揺れる細かな縞。大変シンプルな柄です。
人工でつくる紋でどこまで自然をつくり出せるのか?
このモノづくりでは、それがテーマでした。
この縮緬縞は、帯と着物でずっーとしたかったモノづくり。そのどちらでも、モノづくりができるように織物や染物、常にアンテナを張っていました。そして、キッカケが見つかったのは『御召』、着物からでした。
具体的なモノづくりに入る前、いつも最初にすることは、デザインをとことん見て、できる限り自分の中へ取り込むようにしていきます。この縮緬縞では唐紙をパッと一見するだけでは、単なる波打つ縞にも見えてしまいます。ただ、それをじっーと見ていると、ところどころが切れ、なんとも言えない優しさや可愛らしさに気づきます。これは人間の手で唐紙を制作した際の摩耗、板木100年以上経年によるもの。人工では、つくり出せない自然の味だと気づきます(12代目からお話もお聞きしました)。
それらを織物、紋で表現する。。。最初から困難が分かりきったモノづくりになります(苦笑)。どんな形でなら可能なのか?答えはなかなか見つかりませんでしたが、ずっとしたかった。その気持ちを持って、試行錯誤して、形にしてみました。
2,最初の試験織
(光により、もう少し柔らかな陰影がつきます。)
この試験の前、繰り返し試行錯誤しました。上手く行きそうなのは、紋と素材、そして御召緯をつかって工夫すること。御召の特徴である『しぼ』は、織り上げ後、湯通しすることでつくり出します。それをある程度は計算しながら、ある程度自然に任せる(今回はその比率を高く)。このバランスで、経年できる柔らかさや可愛らしさを表現。おそらく、織に関しては、これが今のところ、最良の答えだと考えています。
紋・生地はほぼこれで完成、配色はもう少し試験を繰り返します。
今後、となみ帯に対する定番の御召としても、大きく期待しています。
3,一配色目
超期待の『縮緬縞(ちりめんじま)』の御召、まずは一色目が織り上がってきました。個人的には、ここ最近で上りを一番楽しみにしていた御召になります。
御召緯を織り込み、その縮む性質を最大限つかって、縮緬縞の柔らかさを出しています。織物は経糸と緯糸を交差させることで、生地・文様を織り成します。
その関係性を変えることで、風合いや重さ、結び心地に多様性が生じます、これが織組織(織り方)です。違った意味に取られかねないのですが、良い意味で織物の『ゆるさ』がこの縮緬縞の最大の特徴です。