唐長さんとのモノづくり#2 南蛮七宝に蕨
一番最初のモノづくりとして選んだのは、『南蛮七宝文様』『袋帯』。
もちろん、帯屋だから帯。という意味もありましたが、それよりも着物が反物から仕立て上がり(絵羽になったとき)のことを考えると、最初に制作する唐紙のモノづくりにしては、キャンバスが広すぎる。
文様の特徴を捉えて、まず唐紙を織物として表現するのには、帯が最適でした。
1,デザイン/南蛮七宝に蕨
そして、一番最初に制作したのはこの『南蛮七宝に蕨』。
タレ先から手先まで南蛮七宝文様を織りで表現し、お腹とお太鼓には『蕨(わらび)』を配置。こちらも織りで表現しています。
こちらの柄も版木で存在していて、スタンプのように唐紙の上に文様を置く『ヤキモチ版』といいます。
当然ですが、帯にする際にはお太鼓になったときのことを想像して、柄の配置も考えています。人間の目は不思議なもので、ど真ん中に文様を置いてしまうと、少し違和感、居心地の悪さを感じてしまいます。
そのため、蕨はお太鼓の中心から(向かって)少し右にずらしています。
また、そのお陰で左の空間空き、ちょうど三本の蕨が伸びやかに見える。そんな効果も出たと思います。
また、蕨自体には僅かに紬糸を混ぜることで、南蛮七宝よりも僅かに蕨が前に来ます。ほんの僅かですが、この効果が帯のメリハリにもなっています。
(紬糸がわかり易い様に、写真の色の加工を施しています)
2,お腹部分
お腹部分にも形を変えた蕨を配置。
この帯に関しては、巻き方を変えることで、部分は真っ白の南蛮七宝のみにすることも可能。
さらにさらに、裏地は蕨を織り込んでいない、『南蛮七宝』文様のみ。
これはこれでコーディネートに重宝して頂けるかな?
と思って全体を作り上げた帯になります。
最初は慣れない手法でのモノづくり。時間は通常の3.5倍くらい掛かってしまいましたが、唐長さんとのモノづくりの中で大きな一歩だったりもします。
今まで制作した帯の中でも、印象的な一本になっています。
3,織組織/紹巴織
意匠図制作途中
この『南蛮七宝に蕨』は手書き紋図で制作。
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