作楽#20 乱菊/秘錦(雲龍錦版) もう織れない帯
1,デザイン/乱菊
乱菊:菊文様のひとつで、花弁が大きく、字の通り乱れ咲いた様子をデザイン化。昔から古典文様の一つとして着物の意匠につかわれ、様々なアレンジをされてきました。
そもそも、菊柄は不老長寿、太陽になぞらえられ、百花の中でも最上位。重陽の節句に菊を眺め、菊酒、邪気払い。古代中国では菊は神仙の霊草とされていました。
後鳥羽(ごとば)上皇が、承久の乱のときに刀剣に刻むなど、好んでこの菊模様を用いられたことから、皇室の紋章となったとも言われています。
帯として、大柄は身長の低い方には向かない・・・とも言われていますが、この帯では乱菊を左右にバランス良く柄づけ。そうすることで、お太鼓のサイズを変えれば。様々な表情を見せることができます。菊の葉に濃い色を入れることで、視線が動き、流れを感じるようにもしました。
2,織組織/秘錦(雲龍錦)
織りは雲龍錦の機を使った秘錦(ひごん)。
雲龍錦は、経糸に絹と金糸を交互に並べた織物。そのうち、一つの経が表地、もう一方が裏地をつくり、表裏を同時に柄を製織しながら、タレと手先だけは表と裏を切り離し二枚。それ以外は緯糸で止めることで一枚ものとして織り上げています。
身体にスッと馴染みますので、非常に結びやすい帯とされていました。
ただし、この織物の機を織る職人が引退したため、もう織ることはできず、廃盤となっています。社内にわずか残る限りです。この織組織に熱狂的なファンもおられるので、もったいない織物です。
3,裏地/両面仕様
裏地には、四角を散りばめた文様。
神坂雪佳が西洋への船旅で描いた『海路図』をもとにしたデザイン。
表と全く異なる柄を入れることで、両面結ぶことができます。
4,コーディネート
⇒https://www.instagram.com/p/CBSR5Hng_r9/
コーディネートは白大島と。
帯と着物、似た感じの色目のコーディネートですが、両方とも織物のため、ちゃんと両者とも主張をしていて、どちらかが埋没することはありません。
白大島は、透明感を持った上品さ、帯は紬糸でお洒落さを。それがうまく熟れ、着慣れた感をかんじさせる着姿になっています。
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