作楽#15 渦巻き/紹巴織
1,デザイン
お太鼓にすると、全体を占める大きな渦。意外に作楽に多いモチーフです。
(これから様々な渦が登場予定です)
◼︎帯の紹介#35
古代は文様は自然をお手本につくられ、この渦も生活に密接する水、波紋や流水などからきていると言われ、世界中に分布しているデザインです。
ケルト文様、縄文式土器など
◯紋丈
織りの帯を作る要素でつくり手として気にするのが、この紋丈。柄の長さです。これが長いほど、制作に時間と手間、コストが掛かります。ただ、大きい柄には、それをするだけの魅力もあります。
この渦の帯では左右どちらにも同程度の大きなの渦を柄づけしました。当初は向かって右側の渦だけを縦に並べた図案でしたが、一方だけだと、どうしても、渦に巻き込まれそうなデザインに感じました。そこで急遽、左側にも渦巻きを付けることで、安定させました。上に登っていくような縁起が良い動きのある柄になったと思います。
2,織組織/紹巴織
織りは紹巴織です。
水のイメージからすると線で、螺旋の表現をしても良かったのですが、渦潮に立つ水しぶきを細かな点で入れることで、さらに動きを入れてみました。
また、線に見える部分は、地色の白・黄ベージュと黒を交互に表へ出して陰影をつけています。
シンプルで色数もそこまで使わない帯ですが、限られた色をミックスし、点で表現することで、奥行きのある色が織りで表現できたと思います。
3,裏地
裏地には、雪のようなデザインの織り柄。
個人的には、表の動と対象的な静かにしんしんと降る雪、裏の静をイメージです。
ある方からは、『あられ雪の柄?』とも言われ、あられはしんしんと降るイメージではないな・・・。とも感じますが、とくに何の説明もしなくても、雪には見て頂いているようです。
ちなみに・・・
この色を出すためには、3つの色を複雑にミックスさせることで表現しています。
①は地色
オフホワイトに②③の色を少し混ぜています。
②はグレー、①③はわずか。
③はオレンジ、①②はわずか。
④は②と③をメインにミックスしつつ、僅か①の地色を加える
という様に色糸を混ぜることで、この雪の色を作り出しました。
シンプルな文様を少ない色糸で表現することで、生の色をそのまま使うよりも、面白みや深みを作り出すことができます。また、帯の重さも軽く仕上げることも利点の一つです。
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