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ヘイゼルと僕。《根花のヘイゼル》統率者デッキ紹介(バトル帯)
『おはよ。そろそろ起きてよ』
閉じた目の先に暖かな陽光を感じる。新たな一日の訪れに微かな眠気が去っていくのを感じながら目を開けた。
「おはよう、ヘイゼル」
『昨日も夜更かししたんでしょ』
「ん…」
沈黙で返事をする。彼女は僕の夜更かしを良く思っていない。日が暮れると眠りにつくのはリスだった頃の習性が残っているのだろうか。
『今日もカードしに行くの?』
「そのつもり…。せっかくのあれも使いたいしね」
ヘイゼルが頬を赤らめて口を尖らせる。
『あれほんと趣味悪いよね。どうしてもっていうからモデルの仕事引き受けたけどさ。あっちにいるときの私をイラストにするなんて…』
何度目のやり取りだろう。不満を溢すようにしながらもどこか喜ぶ彼女の照れ隠しは何度だって見ていられる。
「そうはいっても大人気だよ。在庫だってみんな売り切れだし欲しがる人がいっぱい居たってこと」
『うーんでもなぁ。そう、カードとしてはどうなの?イラストだけで人気な訳じゃないよね?』
「統率者フォーマットでデッキが組めるね。独自性のある効果で好きな人は好きなタイプ。」
彼女に現物を見せてあげようとカバンに手を伸ばす。
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「あったあった。ほらこれだよ」
「黒緑カラーでリス統率者の候補になるのはどっきりドングリ団と、サワギバと、君がいる。この2枚だね」
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「人を殴りたいならどっきりドングリ団に軍配が上がるかな。殴る能力と継戦能力が1枚で完結しててシンプルに強い」
『あの野蛮な人たちね…私苦手だったわ。見えるヘイトだから再キャストまで考えてマナベース厚めに取りたいわね」
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「次にサワギバさん。殴りは中の上、コンボもまあまあってとこかな。よく言えばどっちにも寄せられるし悪く言えば器用貧乏。全体除去に巻き込まれた後はしばらく3人卓になるよ」
『ニッチなケモナー向きね』
「そして3人目が君。根花のヘイゼル。君は優しいから人を殴るのには向いてない。家族をたくさん増やして大量マナからコンボしたり強いカードを叩きつけたいね」
『ちなみにどんなリストなのかしら?』
「今日持っていくのはレベル5相当。晴れる屋で言うところのバトル帯。7も組んであるからそっちは今度教えるね」
僕はヘイゼルにデッキを手渡した。
「このデッキは
•1〜3ターン目はトークンを出す。
•4ターン目に根花のヘイゼルを出す。
•5ターン目から大量のマナを使ってビッグアクションを取る。
を意識して組んだよ」
『ランパン呪文やマナファクトが少なくないかしら?それに土地が36枚はちょっと多いんじゃないの?』
「ヘイゼル、君は本当に目の付け所が良い」
彼女の頭を撫でると御機嫌なリスのように喉を鳴らした。
「説明するね。2マナのマナブーストを使って3ターン目にヘイゼルを出そうとすると、トークンを出せるのは1ターン目しか無いことになるんだ。まだトークンが出ていないのに君を戦場に出す意味は無い。1マナでトークンを出せるカードは非常に少ない。だから、君が出てくるのは4ターン目が相応しい。
それに、4ターン目にはトークンが場にありつつ君が着地するには毎ターン必ず土地をプレイできている必要がある。だからランパン呪文とマナファクトを減らして土地を多くしているんだ」
『私が無駄なターンなくトークンを産むためにもこのマナベースが最適ってことなのね』
「うん。だから基本的なキープ基準は土地が3枚以上、そして3ターン目までにトークンを出せるカードがあることになるね。マナベースを安定化しつつトークンの出るこんなカードもあるよ」
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『キープ基準を緩くしてくれながら将来的なビッグマナに貢献してて良いオタクカードね』
「最終的には《戦慄の召喚》《瀉血》《霰炎の責め苦》《戦慄宴の悪魔》《壊死の呪詛》《エズーリの捕食》辺りのカードで勝ちに行きたい。全体除去をケアしてリストークンを増やしすぎないで食物を優先するプレイングなんかも大事になる」
『よーいどんでスタート切って3人倒しきれるようなパワーは無さそうに見えるわね。出しゃばり注意ね』
「レベル5想定だしそれはそうだね。家出るまでもう少しだけ時間があるから他のオタクカードも紹介して良いかい?」
『もろちん』
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「まずは《金脈のハイドラ》 余ったマナを全部注いでフィニッシャーにもなれるし除去されてもトークンの数が増えて無駄にならない。テストプレイでは5ターン目にX=9なんかもあったよ。早いうちの9/9警戒トランプル速攻はゲームを動かしてくれる。勿論ゲームが長引けば長引くほど強く使える。
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次に《ミミックの大桶》 起動能力で出せるトークンはエンドに消えてしまうんだけど、”終了ステップの開始時に、それを追放する”効果はコピー可能な値じゃないんだ。つまり、ヘイゼルでコピーすれば消えないトークンが生まれるってこと。
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そして《悪夢の番人》と《冷たき集いのキンズー》 どちらも似たような効果を持っている。トークンでない自分のクリーチャーが死亡したときに1/1のトークンとして生まれ変わらせる能力だ。さらにこのトークンをヘイゼルで増やせるのはお察しの通りだね」
『素敵なデッキね。私もこれで統率者を始めようかしら」
そう言って僕にデッキを返さない。返して欲しい素ぶりに気づいて悪戯に笑う彼女。僕は何度だってこの笑顔に恋をする。
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