図書委員会VS本借りパクマンVSどうしても早く帰りたい委員長のワイ君

 ドーモドクシャノミナサマオハコンバンニチワコ、戦犯アットです。今回は、図書委員として死闘を繰り広げた私の話をさせてもらいます。

 私は小学校時代から常に図書委員、しかもなんらかの役職に就任していました。私の小学校では5年生から委員会に配属されます。私は図書委員会に配属されました。そこで最初に取った行動は、なんらかの役職に立候補し、司書教諭にゴマをすることです。私は通称小5枠と呼ばれるものを使って、書記に就任しました。とはいっても書記としてやることは特にありません。カウンターでバーコードを読み取ったり、本を整頓したりと意外と楽しい業務が待っていました。

 しかし、展示物の製作というのはどうしても苦手でした。私は生来の不器用ものでして、ハサミを扱うために特別授業を受けさせられたこともありますし、彫刻刀で人差し指同じところを3回切ったこともあります。(3回切ると人間なれてくるもので、適当にティッシュで包んで終わりにします)そんなわけで私は工作とか折り紙とかそういうのが苦手でした。しかし当時小5の企画部を統括する立場も任されていた私が、全くできないというわけにはいきません。そこで私がとった方針は、丸投げです。小6に委任してしまいます。幸いにも仲の良かった人がいるので、その人を経由して業務を代行してもらいました。

 そして小6。私はついに委員長に就任します。37名いた委員(私を含む)を統括する立場になりました。私の小学校では偉い順に
 校長→職員会議→各委員会顧問→各委員長
という構図になっています。が、図書委員会と生徒運営委員会だけは事実上職員会議を無視して直接校長の監督を受ける状態でした。しかも、図書委員会は顧問兼司書教諭だったO先生が事実上すべてを統括していたので、図書館内においてはナンバー2、到達できる最高権限保有者になったわけです。いわばNKVDのベリヤみたいなポジです。

 また、委員長には、人事権と図書購入予算の一部に意見できるという絶大な権限が与えられていました。人事権とは各委員を企画部、カウンター部、整理部のどこに配置するかを決定できます。しかも任期の途中であっても、部を変更できるなどの権限もありました。(実際には使うことはありませんでしたが)そして最も重要で強大な権限、図書購入予算への意見です。

 図書購入予算に意見できるということは、図書館を自分好みに魔改造できるということです。4月の最初の委員会で部への配属を発表した後、私はO先生に呼ばれました。もちろん購入図書についてです。私は当時から筋金入りの社会好きだったので、地理、歴史、経済、公民などジャンル問わずに、自分が自由に使える分の予算を社会科系で埋めました。いくら予算の一部を自由に使えるといっても、漫画や絵本を入れるのは、はだしのゲンか火の鳥くらいじゃないと認められません。しかし、社会系の本であれば自由に認められました。
 
 そうして無駄に本が増えてくると、必然的に本を捨てる必要が出てきます。整理部になれば、整理するという名目のもと好きな本を自分のものにすることができました。つまり、整理部は一番人気の部門だったのです。仕事もO先生がたいていやっていたので楽でしたしね。そのため私が委員に任命されたとたん、急に接近する人間が現れます。もちろんそんな人間に整理部は任せません。おとなしく企画部でのりづけでもしていればいいんです。私がそういった役職に登用したのは、信頼が置けてこれからも図書委員になりそうで、私と趣味が合う人間です。ここだけ見ると完全に某北の国のシステムと同じですが、実際その通りです。というか当時は金日成にインスパイアされた結果このようなシステムに改造したので、まんま北朝鮮です。

 そうして後期委員も終了に近づきました。私は卒業が近づくと、当時中学で図書委員だった兄の友人に接近しました。もちろん彼もその中学の委員、しかも副委員長でした。私は友達の弟かつ図書委員という立場を利用します。副委員長の弟は、私の小学校で整理部の部長をしていました。そして委員長になりたい、と私に漏らしていました。私は辞めたそうにしているけれど、優秀なほかの女子生徒に委員長を委任するつもりでした。しかし、副委員長の弟です。なので私は副委員長にこう持ち掛けます。

 ー弟を委員長に推薦する。だから私が来年この中学に入ったら広報班の班長にしてくれー
 
 こうして私はその弟を委員長に推薦し、無事中学に入学しました。そうして4月最初の委員会で私に与えられた仕事は、1年部の部長でした。

 ちょっとまってくれ。私がなりたかったのは適度に箔がついて、楽な仕事である広報班の班長だ。たしかに1年生を統括するというのはなかなかすごいものだが、絶対にめんどうくさい業務があるだろうと。

 事実めんどうくさい業務がたくさんありました。中学では
校長→職員会議→生徒会→各委員会
     生徒総会    →部・同好会
という仕組みになっています。その生徒会で不定期に開かれる進捗報告会というものには、当時委員長だった例の友達とともに出席を強制させられ、帰宅時間が6時になり、塾がつぶれるということも多々ありました。しかしこの経験が、のちに大きく生きることになります。

 なんやかんやあって私も2年生になりました。1年生の後半はカスみたいな生活を送っていたせいで、2年生の最初は惨憺たるものでした。通知表はかろうじてオール3を維持していましたが、テストはひどいものでした。

 しかし委員会では、副委員長の座に就任できました。副委員長となれば一般の生徒から離れて、委員長や司書教諭とともに図書館運営についての話し合いが主な業務になりました。中学生ごときになにを求めているんだとも思いましたが、権限強化を図ります。

 後期委員会、私は再選されました。後期になると3年生の委員長が退任し、ほぼ自動的に私が委員長になりました。ここでも司書教諭が実質的に学校の図書関連を統括していたので、ナンバー2になったのです。やったぜ。
 
 そして1年生に見慣れた顔が現れます。例の弟です。以下、Uとする彼は委員長を私と同じ方式で選び、中学でも立候補したといいます。私は彼を1年部部長に指名します。もちろん彼は、広報班長などもっと楽な役職がいいといいます。しかし、これは私の実体験からの推薦なのです。

 1年生と統括して指導していましたと、1年生の広報をまとめていました、では全く違います。1年生(16名)を取りまとめた経験を生かして班長にというのは非常に説得力があります。実は班長という役職では、委員長になるための根拠としては役に立たないのです。

 そうして私も3年生前期委員会。つまり最後の委員長になりました。もちろん副委員長は例の弟です。実はその弟と私は、当時とらドラ!にどちらもハマっていることもあって仲が大変良かったのです。そして私は、1年生のある女子生徒に目を付けました。

 その女子生徒はとあるシリーズを読んでいました。私はもちろんその作品も読んでいましたから、声をかけて陣営に引き込みました。そうして我々は、最高幹部、反BLという目標で団結しました。他の生徒、特に女子生徒が私に擦り寄ってきますがもう遅い。だってお前ら腐女子じゃん。

 委員長になった私は、その中学校でも図書予算への干渉権を使って、ライトノベルを増やしました。当時絶対面白くなるとにらんでいたお隣の天使様や、ハマっていた中二病で恋がしたい!など様々作品を増やしました。

 そんな委員生活ですが、厄介ごとが起こります。新書を入れると必ず借りパクして1か月以上返さないやつがいます。我が校では10日を返却期限、2週間を最終返却期限(長期休暇はその限りではない)としているのですが、返さない不届き物がいます。
 10日たつと督促状を委員が渡しに行くのですが、これが面倒くさいのです。渡したところで本を返さないやつがまともに受け取るはずがありません。すぐにくしゃくしゃにまるめて捨ててしまいます。そこで、学年部長をリーダーにしたその学年ごとの差押人の集団のようなものを作りました。

 やりかたはいたってシンプルです。休み時間になると速攻でそいつの教室に行って、事情を問い詰めます。もちろん数人で、それも強面やガタイの良いやつを積極的に選んでいるので女子やヒョロガリにはイキっていられるやつでもさすがに受け答えできるそうです。そうするとたいていの場合は翌日に申し訳なさそうに返却に来ます。

 実績も作り順調だった委員長生活。しかしある日、委員長がもつすべての権限を委員全体で分担するべきだと主張する勢力が出てきました。別に最終的には委員長と司書教諭が決定することなので特に問題はないのですが、無駄な時間が増えることは非常によろしくありません。図書委員会は他の委員会に比べて拘束時間が長く、委員長ともなれば最終下校時刻を過ぎても残業は当たり前で、19時になっても学校に残っているなんてこともありました。そのため、これ以上無駄な時間は作りたくなかったのです。実は彼女は前委員長時代に、人事権を完全に剥奪し、更なる弱体化を狙っていました。つまるところ自分が委員長はおろか、班長にすらなれなかったことに対するひがみです。我々はこの問題に対して、本の購入を委員長だけから、副委員長、いずれかの学年部部長に許可を取ることで可決できる、という方針を決定しました。これによって、実質的にこの体制(私の苗字に起因してB体制と呼ばれている)を維持することに成功したのです。
 
 そんなこんなで私も任期満了です。私はその弟を委員長、女子生徒を1年部部長に任命しました。これでB体制は存続します。その女子生徒は3年生でしたが、終始私を恨み続けていました。

 そして高校生。もちろん私は図書委員に任命されましたが・・・熱心には活動していません。というのも私の高校では非常に民主的なシステムかつ司書教諭の絶対王政が確立しているため、すべての権限が司書教諭にあります。しかもその司書教諭は誰とも友好的にも敵対的な関係でもなく、それがより自身の権力を絶対的なものにしています。いうなれば金体制です。

 私はカウンター担当になりましたが、当番に行ってもいかなくても変わらないし、定期的に委員会が開催されることもないしで私の図書委員会人生は実質的に中学校で終了していました。しかし中学校の委員長時代、図書館来訪者数を3倍(”公式”発表)に増やしたことは、委員会人生においてのほぼ唯一の功績です。

いいなと思ったら応援しよう!