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円周率ってなんだろう?
今回は、小学5年生で習う円周率について取り上げたいと思います。
小学校では円周率は3.14と教わります。
ご存じの通り、円周率を用いることで下式のとおり円周を求めることができます。
円周 = 直径 ×3.14
この式が意味しているのは、円の直径を3.14倍すると円周の長さになるということなのですが、果たして本当にそうなのかなと思いませんか?
生徒さんに円周率を教えているときに、ちょうど筒型のペットボトルがあったので紐を使って直径と円周を測ってみました。
すると周囲長はたしかに直径の3倍超あることがわかり、二人で「ほんとに3倍ちょっとあるね!」と感激しました笑
(計算の結果は3.2倍くらいになりました)
ところで、小学校では円周率は3.14と習いますが、これはおよその数字であり、正確には3.14のあとも数字が無限に続く無理数であることが知られています。
スーパーコンピュータにより、今日では円周率の小数点以下100兆桁まで明らかになっています。
それでは小学校で習う3.14(小数点以下2桁)がわかったのはいつ頃のことかというと、紀元前3世紀にアルキメデスが最初に証明したとされています。
アルキメデスは正多角形を使って近似的に円周率を求める方法を発見しました。
たとえば図のような円と、それに内接する正六角形および外接する正方形を考えてみます。
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円の半径をrとすると、円に内接する正六角形の各辺は円の半径と同じ長さになるので、
正六角形の外周は
r×6 = R×3 となる。 ※ただし2×r = R(R: 円の直径)とする。
一方、円に外接する正方形において、
正方形の外周は
2×r×4 = R×4
となります。
図より、円周の長さは正六角形の外周よりも大きく、正方形の外周よりも小さいことから、
R×3 < 円周 < R×4
とあらわすことができます。
これより、円周率は3から4のあいだにあることがわかります。
外接も正六角形にすれば、より範囲を絞れることは予想がつくかと思います。
さらに正多角形の角数を大きくしていくほど、内接・外接多角形ともに円に近づいていくので、円周率を絞り込んでいくことができそうですね。
アルキメデスはこの方法で、円に内接・外接する正96角形から円周率を小数第二位まで求めています。
先述した、ペットボトルを実測して円周率を求める方法は直感的にはとてもわかりやすいですが、計測の仕方によって円周率の結果にばらつきがでてしまいます。すると、いろいろな答えがあり得てしまいますよね。
一方で、正多角形を使う方法は誰が検証しても同じ結果になります。たとえば上図の例では円周率は3から4という幅はあるものの、計算さえ間違えなければ常に同じ結論が得られるということです。
論理的に説明ができると説得力が違いますよね!
実際に、正多角形を用いて円周率を考えてみたときのほうが、実測して求めたときよりも生徒さんの納得感が大きく、何より数学的に導けたことに対する達成感も大きかったのではないかと思います!