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英語テキスト 懐かしの一冊 04
いつまで続くかわからない、かたづけをしていたら出てきたテキストを紹介する投稿、第四回目です。
今回は、「工業英検」という英語検定試験のテキストです。
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説明に入る前に、、、
久々に工業英検を調べてみたら、現在は「技術英検」に名称が変わっており、公式サイトによれば、各級の換算は下記の通りとのことです。
工業英検4級 → 技術英検3級
工業英検3級 → 技術英検2級
工業英検準2級 → 技術英検1級
工業英検2級 → 技術英検準プロフェッショナル
工業英検1級 → 技術英検プロフェッショナル
さて、
工業(技術)英検は、"Technical writing" に特化した英語検定です。
Technical writing には2つの意味があります。
科学技術に関する
専門的な内容を、読み手に伝わりやすく書く技術
です。
「伝わりやすく書く技術」の要素は、以下の「3つのC」
・Clear(明確)
・Concise(簡潔)
・Correct(正確)
で定義づけられます。
理系英語を身につけたいかたはもちろんですが、「専門的な内容」の「専門」には科学技術だけでなく、法律、ビジネスなど様々な分野も含まれ、3Cはどの分野にも適応されます。
実用英語技能検定(英検)のような一般的な知名度はあまりありませんが、科学技術英語に関連した検定として、歴史も長く、関連分野の人の中では有名で信頼度の高い検定です。
実際に、英検と同じく文科省後援の検定です。
技術英検と英検
技術英検に興味を持った方が気になるのは、「英検と比較してどうなん?」っていうところかと思います。
難易度の比較
科学技術に関し、「読むと書く」に特化した検定なので、英検との比較は難しいことを前提としたうえで、
・技術英検2級、3級
英検換算で、3級かそれ以下程度と思います。
試験内容は、
・科学技術系の、基礎的な語彙力が試される問題が主体。
・ライティングの問題は出てこない。
・長文問題は短め(ただし科学技術に関する)。
科学技術関係の語彙力があれば、高い文法的知識はあまり必要とされない内容になっています。
専門的な単語については英検3級の範囲を超えてますが、「書く」問題がなく、選択問題のみですので難易度はあまり高くはありません。
・技術英検1級
英検換算で2級(以上)程度と推測します。
以下により、技術英検2級と1級の差が結構大きいと感じます。
・長文が技術英検2級までと比べて大幅に長くなる(1ページ分程度)。
・3Cにねざしたライティングの問題が出る。
- 2文を1文にリライト
(関係代名詞、関係副詞、分詞構文、接続詞の使いこなし)
- 和文英訳
技術英検1級と英検の難易度比較は、「受験する人による」ところが大きく単純な比較が難しいですが、以下により、英検2級より難しいかもしれないという印象です。
〇英作文問題
・英検:お題に対し自由記述
・技術英検:日本語で3~4行程度を和文英訳(和文3つから2つ選択)
どちらも、作文は、~100語程度で同じくらいですが、
技術英検の日本文は、天文、物理、環境など様々な科学分野から広く出題されます。専門的な単語(多くは英検2級レベル以上)がわからなかったら全く書けないということもあり得ます。
一方で、技術英検1級の和文英訳ができる人は、英検2級レベルの英作文ができないとは思えないところがあります。
〇長文問題
技術英検は1問のみである一方、英検2級レベル以上の専門的な単語が出てくるため、語彙力がないと読解が難しい。
〇理系知識の有無
1級あたりからは、和文英訳、長文読解をするうえで、英語力に関係なく理系知識がやや必要になってくると感じる。
技術英検の入試へのお役立ち度
まず、入試優遇として採用している学校はないようなので、英検のように、加点や科目免除といった具体的な恩恵はないといえます。
もちろん、英作文、理系単語の習得の面で、入試に役立つ部分は間違いなくあると思いますが、一般的な高校・大学入試とは試験の方向性がちょっと違うかなというふうには思います。
・英語で論文を書く
・メールでコミュニケーションをする
・なんらか英語文章で発信する
・翻訳
など、大学に入った後、就職した後で特に役立つ検定だと思います。
この本を購入したころの私
受験の動機
2006年ころ、アメリカから帰国し、そのまま勤めていた会社の海外事業部に正式に異動になりました。
分析装置、測定機器のメーカに勤めてましたので、
・お客様の研究、技術的課題を聞いて、解決を提案する
・分析装置、測定器の使い方を説明する
主にはこのような業務でしたが、アメリカに行く前は日本語でしていたこれらの仕事を、英語で行うことになったわけです。
特に理系単語の語彙力を上げたいのと、表現方法を学びたかったので、4級からスタートし、
2006年 4級
2007年 3級
2008年 2級
というように、毎年1級ずつ受験していった感じです。
工業英検1級は、独習用のテキストは販売さておらず、講習会のようなものが開催されており、学習はその参加が前提のようなかたちだったので、めんどくさそうなので、チャレンジしませんでした(笑)。
ちなみに、技術英検1級相当である、工業英検準2級は私が受験した当時はなかったと思います。
工業英検3級と工業英検2級の差がかなり大きかったので、それうめるために後で作ったのだと思います。
おすすめのテキスト
肝心のテキストにほとんど触れてませんでした(笑)。
冒頭にあげているテキストの画像、
「工業英語 ファーストステップ」
「工業英語 ワンステップ」
これらは、工業英検4級および3級対策用のテキストですが、この2冊はかなりお勧めです。
きわめて基礎的ではありますが、電気、化学、機械、建築などなどいろいろな分野の科学や産業についてを、英語で勉強できる内容になっています。
文系の方で理系の内容に興味がある人には、技術英語も勉強できて、読み物として参考になりますので(とくに「工業英語 ファーストステップ」)、ぜひ手に取ってみてください。
工業英検2級は、過去問など演習用の問題が載っているテキストしかなかったので、勉強はあまり面白くなかったです。。。
ちょっと受験者を選ぶところがありますが、こんな「英検」もチャレンジしてみても良いのではないでしょうか。