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英語テキスト 懐かしの一冊 02

本の紹介

いつまで続くかわからない、かたづけをしていたら出てきたテキストを紹介する投稿、第二回目です。

「最強の英語リスニング 実戦ドリル(研究社)」
新崎 隆子、石黒 弓美子(著)

本書では、リスニングの難しさは、

〇スピード
  遅い <----> 速い
〇なまり
  標準的 <----> 強い
〇話し方のカジュアル度
  フォーマル <----> カジュアル
〇自分が会話の主体かどうか(発言が自分にむいているか)
  一対一 <----> ネイティブ同士の会話を客観的に聞き取る
〇雑音など音響的な障害
  騒音など音響的な障害がない <----> ある

という5つの要素であると定義されており、この5つの各要素の難易度レベルに応じた音声が多数掲載されています。

はっきりいって、収録されている音声の多くは絶望感を感じてしまうような高レベルのものばかりです。
基礎的なリスニング力が備わっている方や、標準的なリスニング教材では物足りない方に向いていると思います。

内容はビジネス英語のため、受験向け、とは言えないかもしれませんが、TOEICの対策には役立つかもしれません。

というよりも、この本の内容が聞き取れれば、入試だろうがTOEICだろうが余裕で満点レベルのリスニング力に到達できると思いますので、挑戦して無駄になることはないと思います。

役立て方

上述の5要素の難易度レベルをふった音声が多数掲載されており、

・音声の内容の正誤問題
・内容の要約

などの設問がありますが、本書で一番推したいポイントは、
設問としては全文書き取りまではありませんが、単語、単文レベルでの空所補充といった、ディクテーションの問題が多数用意されていることです。

ディクテーションは、英語学習(外国語学習)において、もっとも効果的な学習法の一つだと思います。

一方で、ディクテーションに対応した教材はあまり多くないので、その意味でも貴重な書籍です。

ディクテーションは本当につらいです(笑)。
苦行です。

しかし、リスニング力はもちろんですが、以下のように英語力全般の底力の向上が期待できます。

1.リスニングの向上
ディクテーションでの、音声を正確に聞き取り、書き取るプロセスはリスニング力を鍛えるうえで非常に役立ちます。特に、細かい発音や音の連結、消失音に気づくことができるようになります。

2.スペルと単語の認識力アップ
聞き取った音声を正確に書き取ることで、英単語のスペルや形に注意を払う機会が増えます。特に似た発音の単語(例: "their" と "there")の違いを意識できるようになります。

3.文法の確認と強化
英語の文章構造や文法を自然に学ぶことができます。特に冠詞や前置詞、時制の細かい違いに気づきやすくなります。

4.集中力と注意力の向上
音声を注意深く聞いて内容を正確に書き取るため、集中力が必要です。これはリーディングやスピーキングスキルにも良い影響を与えます。

本書に限りませんが、ぜひディクテーションを英語学習に取り入れることをお勧めします。
短期間で効果が出る学習法ではありませんので、できるだけ早い段階で取り入れ、中長期間、継続的に行うことが良いと思います。

この本を購入したころの私

当書籍、所有していたのは、2011年9月1日の初版本でした。

このころまでは出張ベースで海外で仕事をしていましたが、その年明けくらいに外資系の企業で勤務することになりました。

世界に十数万人も社員がいるような冗談みたいな巨大企業で(笑)、そのような会社のオフィスで働くというところから、
少し難易度の高いビジネス英語の学習教材で勉強しておこうというのが、購入動機であったと思います。

本書では、日本人が外資系企業に転職し、そのオフィスの中での会話などを主としたドラマ仕立てになっているパートがあります。

外資系の企業で働くのは初めてでしたので、雰囲気をつかめれば、というところからもこの本を選んだように記憶しています。


何よりも、難易度の高いディクテーションに対応していることはおすすめポイントなのですが、
もう一つ、わたし的 かくれたおすすめポイントがあります。

上述のドラマの中で、日本人がネイティブの同僚と会話するシーンがいくつかあるのですが、そこでは、

・結論先送り
・会話のポイントがつかみにくい
・会話中の妙な愛想笑い

あまりグローバルでは好ましくない、日本人特有の話し方と、それにより生じる変な空気感が感じ取れるところです。

また、そのようなときのネイティブの話のまとめ方(相手に不快感を与えずポジティブに)も、「わかる、わかる」という感じで、参考ポイントだと思いました。

グローバルコミュニケーションの経験がない人でも、
日本人の話し方が特有であるというのを聞いたことはある人も、
実戦前に、この空気感を感じてもらえると思いますし、反面教師になると思います。

また、「わかる、わかる」という方にも、改めて自戒になります。

典型的なモデルになるような会話を載せるのではなく、
ある意味で、グローバルコミュニケーションでの良くない例(本書ではそのように紹介しているわけではなく)を、教本に載せているところが貴重でなかなか秀逸だなと思いました。生感があります。

おそらく、
「お前たちの英会話ってこんな感じになっているんだぞ」
と、著者は確信犯的に暗に伝えたいのではないかと想像します。

ビジネス英語、学生には無関係と感じるかもしれませんが、留学や就職などで、グローバルコミュニケーションの場に身を置くことを目標としている方もいらっしゃるかと思いますので、参考になると思います。

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