泣き虫三重奏【ショートショート】
オレはベイビー。
さっきお気に入りのガラガラで、
ご機嫌で遊んでたけど、
振り回して、
自分で顔面ぶっ叩いて、
大泣きして、やっと落ち着いたとこ。
今日もどこかにお出かけみたいだが、
いつもと様子が違う。
マミーが言うには、
昔は「ハイハイ競争」多かったらしいけど、今のトレンドは「泣き虫三重奏」らしい。
マミーが言うには、
3人のベイビーが集まり、
一斉に泣いた時の、
ハーモニーを測定して、
その数値で競い合うらしい。
大人は何を考えているのか、
よくわからないぜ。
広いホールには、
たくさんの人がいた。
ビビって今にも泣きそうだ。
ホールの真ん中に、
3人のベイビーが集められ、
トライアングル状に並べられた。
マミーと離されて、
他のダチ達も不安そうで
今にも泣き出しそうだ。
そしたら、
白衣をきたおっさんがやってきて、
ヘッドギアを取り付けはじめた。
「ウギャーウギャー」
一人が泣き始めた・・
ダメだ俺も泣きそうだ。
そう思っていたところ、
ヘッドギアを装着された。
きっつッ
痛い気がしたぞ!
たぶんソフトなヘッドギアだと思うけど
なんか痛い気がする!もうだめだ
「ふぇ、ふぇ、ふぇーーん」
3人とも泣き出して、
泣き虫三重奏のハーモニーが
測定され始めた。
3人が泣きはじめ、
泣いてる声を聞いて、
また泣いちまう。
ホールの中は、
三重奏がこだましている。
「ふぇ〜ん、ふぇん」
「ぎゃーん、ぎゃーん」
「おぇ、おぇ、おぇ」
みんな思い思いに泣いている。
ハーモニーのシンクロ率は
どんどん上がっていく。
測定値の新記録に近づいているらしく、
場内の人も、興奮気味になっている。
そんな中、測定係が叫んだ
「まさか 信じられません!
シンクロ率が400%を超えています!」
場内の熱気を最高潮に達し、
そして、測定終了。
ハーモニーシンクロ率の
新記録を樹立し場内が拍手に包まれた。
そして、みんな笑顔になっている。
みんな幸せそうな表情をしている。
そんな様子を見ていると、
なんか楽しい気分になってきた。
他の二人も、いつのまにか、泣き止み、
手をバタバタしながら、
キャッキャ言い出している。
ハッピーな雰囲気の中、
泣き虫三重奏は終了し、家路についた。
マミーは、
俺を褒めまくり、ごきげんだ。
俺もマミーがごきげんで、ごきげんだ。
家に着き、
新記録樹立の景品をもらったので、
マミーが開けてくれた。
中には、新型ガラガラが入っていた。
やったー!
これ前に目つけてたやつやん!
新型ガラガラを手にした俺は、
大興奮!
やっぱ持ち心地が違うわ〜
振り心地も、いいわ〜
こんなに激しく振っ
ゴツ!調子に乗っていると、
俺はまた顔面を強打した。
「ふぇあぇ〜〜え〜〜ん」
おわり