【ますみ】特典会について初心に返って考えてみる
今日は特典会について。
もはや、地下アイドルをしていると日常のことすぎて、いちいち考えもしないようなことだったりするけれど。
思えば外から、この世界を知らない人が見たらきっと、驚くべき文化だよな、って思うのが、地下アイドルの特典会ってやつですね。
ランチも躊躇するような
休みの日にちょっとお出かけをして。いざランチを食べよう、ちょっと美味しいものが食べたいな。
さて、躊躇なくランチに払える金額、みんなどれくらいを想像しますか?
もちろん、年齢、職業、普段の生活水準やお金の使い所の優先順位はみんな様々だから、いろんな答えがあると思うけど。
私の場合は本当に躊躇しないのは1000円かな。まぁ、頑張れるかなって思えるのが1300円くらい。今日は特別だ! ってなにか理由が付けられる時は、もう一声、1500-1600円までギリ頑張れるかな。
そんな感じです。2000円とかさすがに贅沢しすぎだよねー、と思ってしまう。
それくらいの金額を、私たちは30秒から1分程度という会話時間+原価100円弱のチェキ1枚と引き換えにいただいている。これが、地下アイドルという世界。
私たちのグループのチェキレギュレーションはここでオープンにはできないけれど、一般的な範囲内、1枚1000-2000円という範囲内でやっています。ファンから見ても、他と比べても「普通かな」と思うところだと思う。
私は1年くらい、チェキを買う側としてアイドルオタクをしていて。その後、こちら側の人間に変わって、前のグループで1年、ここでももう半年以上、売る側としてアイドルをしているので。どっちの立場も気持ちも分かるけれど。
今日は買う側だった時、まだアイドルオタクをしていた時のことを書きたい。
学生だった私
初めてアイドルのライブに行ったのは高校生の時。
コロナが少しだけ落ち着いて、ライブが再開されたくらいのタイミングになるのかな。
友達に教えて貰って、SNSだけ見て可愛いなと思っていた子のグループも、対バンライブに出れるようになって。
その友達と、1回ライブ行こうよって話になった。女の子と学生は無料、っていうライブだった。私たちは両方の条件を満たしていた。
SNSを追っていた時間は結構長くて、その頃にいろいろこの世界の「常識」を勉強していたので、たとえチケット無料でもドリンク代はかかるとか、対バンライブは事前にタイテが出て、自分のお目当ての出演時間や特典会の時間を調べておくものだ、とか。そしてチェキのレギュレーション、サインなしあり、コメント、トーク時間。あと、新規特典とか指名特典なんかのことも知った。
私があまりにも予習完璧すぎて、その友達に少し引かれたくらいだ。自分が教えたのにお前の方がベテランか、みたいなね。
初めて撮ったチェキ、今でもすごく覚えてる。新規無料登録のサインチェキ、入場特典で貰ったサイン無しチェキ。そして、自分で買った1500円のサインチェキ。
最初は自分のお金で買った券使うんだ! って、無料スタンプのついてない方の券を差し出したこと。SNSで、初めてライブ行くよって発言したのを見ててくれて、名前言ったら「待ってたよ!」って言ってくれて、本当に嬉しかったこと。
ランチに使うのを躊躇しちゃう1500円で、私はあの日あの時間、一生の何にも変えられない、本当に大切なものを手にしたんだなって思う。だって、あの日あの言葉を貰っていなかったら、いまの私、「ますみ」という地下アイドルはこの世界に生まれていないから。
あの時に、こんな偉大な存在がこの世にいるんだな、いいな、私もこんな存在になれたらいいなっていう夢を持った。
羨ましさと有り難さと
高校生の私には、やっぱりそんなにいつもいつもライブに行くことも、チェキをたくさん積むことも無理だった。
ライブの金額、場所、持ち時間、入場特典。いろいろ比較して、これはお得だなってライブを決めて、月に2回目標で通った日々。これはあまり公に言うのは幅かれてしまうけど、高校生の女の子ということで、いろいろいい思いをしたな、とは思う。
その当時の私の推しのTOみたいな、だいたいいつでも顔を見るオタク仲間がいたんだけど。
○○ちゃん喜ぶから行ってきなー! って、よくチェキ券を貰ったりした。私はだいたい、入特で貰える1枚+自分で買う1、2枚という感じでチェキを撮っていたので。そこにその人から貰える1枚が加わるのは本当に有難くて。
その推しの卒業の時に、その人は居なくなって、SNSもアカウントを消してしまって。以降一度も顔を合わせたことはない。
あの頃チェキ券分けてた子が、アイドルしてるって知ったらきっと驚くだろうなって今でも思う。本当は、私のアイドル姿も見せたかったし、あの頃の思い出もたくさん話したかったのに。今でも元気にどこかの現場で新しい推しを見つけてくれていたらって、密かに思っているし、いつか再会の日が来たらって、今でもずっと思っていたりする。
そんな彼を筆頭に、月に1、2回のライブ、日に1、2枚のチェキを撮る私と違って、ほとんど全てのライブに来て、毎回10枚以上撮っていくオタクも沢山いた。いや、たくさんは、言い過ぎかもかもしれないかな、わたしが推していたグループ、そんなに動員なかったもんな。
どうしても、ライブに通っていると、あーこの人「強いオタク」だなって思うことは当然ある。こちら側の人間になるとより実感するけれど、いつでもいてくれる人、本当に有難い存在なんだ。
特典会に向かう時、いちばん怖いのって、もし誰も私を待っていなかったらどうしよう、なんだよ。他の4人には列があって、私の最後尾札だけ地面に置きっぱなしだったらどうしようって。
そういう経験ももちろんゼロではない、何回かある。今のグループで言うと、悔しいけど私がきっと一番ある。
だから、ステージから、いつも私のところに来てくれる人を見つけた時はやっぱりほっとする。あ、これで今日もチェキ0枚にはならないなって。そんな小さな目標でどうするんだと言われてしまうかもしれないけど。1日の特典会で、0枚にならないこと。この嬉しさって、底辺の地下アイドル経験しないと本当に分からない気持ちかもなって思うよ。
だから、あの頃沢山チェキ撮れて羨ましいなって思っていた周りの同担のオタクさん達にも、あれはありがたいことだったんだなーって今は思っているよと、伝えたかったりする。
まとめ
結局、何が言いたかったかってことだけど。
オタク経験のある私からすると、1500円、2000円っていうお値段、私は自分の推しから、その値段以上のものを貰っていたと思う。それは、私の推しがその価格に相応しいだけのアイドルでいてくれて、私のことをちゃんとみてくれて、嬉しい言葉をたくさんくれて、幸せをくれて、希望と未来を見せてくれて。
その価格以上の価値を付けるかどうかは、結局アイドル次第なんだっていうことを、私はオタク時代のうちから学んでいたと思う。
だから、こちら側、アイドル側の人間になった時、同じように、使ってもらった金額に相応しいだけの、損したなって思わせないだけのものを、いつでもどこでもちゃんと届けられるように頑張っているつもり。
グループの中での人気で劣ってはいる、それは事実だけど。でも離れて行ってしまった、いつの間にか来なくなっちゃったなっていうファンは、あんまりいないって私は思っている。
ますみ推し、って言ってくれた人のことは全員ちゃんと覚えているし、その人たちは今でもちゃんと私のところに会いに来てくれている。
きっとその人たちほとんど、ランチに1500円、2000円払うよりも、わたしのチェキ券の方に価値があるよって思ってくれている人たち。
だから、その気持ちに全力で答えることが、アイドルとしての私に必要な事なんだなって思っている。
いつも私に会いに来てくれてありがとう。その恩は、いつだって忘れはしません。