選挙のお金は返ってくる?!公費負担を使うべき2つの理由!!(都道府県議会選編)
選挙に立候補しようと考えている人
「選挙のやり方を知りたい。これから立候補したいけど、いったい何から始めたらいいんだろう…。
立候補したい気持ちはあるけど、手順がわかりません。具体的な方法を教えてください。」
そういった疑問に答えます。
☑本記事のテーマ
選挙のお金は返ってくる?!公費負担を使うべき2つの理由!!(都道府県議会選編)
☑目次:選挙のお金は返ってくる?!公費負担を使うべき2つの理由!!(都道府県議会選編)
・①選挙の公費負担制度とは?その目的
・②公費負担の対象となるもの
・③公設掲示板用のポスターの作成費
・④選挙カーのレンタル代、運転手の給料
・⑤選挙カーのガソリン代
・⑥選挙はがきの郵送費
・⑦公営施設を使ったときの個人演説会場の利用料
・⑧選挙のお金は返ってくる?!公費負担を使うべき2つの理由!!
・⑨選挙の公費負担制度の問題点??
・⑩終わりに
☑記事の信頼性
こんにちばんは。佐倉です。
記事を書いている僕は、選挙歴17年ほど。国務大臣の秘書を経験。
国政選挙を始め都道府県・市区町村の選挙を支援して来ました。
勝率は九割超えです。
現在はフリーランス選挙プランナーとして生活できるようになりました。
☑読者さんへの前置きメッセージ
本記事では「これから立候補したいけど、どこから手をつけていいか分からないよ」という方に向けて書いている記事の一つです。
この記事を読むことで、「選挙でどう選挙の公費負担制度を使うの?手続きはどうするの?」をイメージできるようになると思います。
「普通の仕事はなんか熱が入らないなぁ…」と感じていた僕を救ってくれたのが選挙です。私は選挙になると、血沸き肉踊り、アドレナリンがドバドバ分泌されます。
仕事には天職や相性などがあります。僕の記事を読んでいる人は立候補を考えている、あるいは選挙に大きな情熱を持つ人だと思います。私と同類です。選挙で人生が変わった僕が、選挙に感謝の気持ちを込めつつ、記事を執筆します。
今回の投稿は、あくまで都道府県議会議員選挙の場合であって、その他国政選挙、知事選挙、市町村選挙では異なります。
それでは、さっそく見ていきましょう。
①選挙の公費負担制度とは?その目的
選挙の公費負担制度とは、国や地方公共団体が候補者の選挙運動の費用を
負担する制度です。選挙の実施主体は国、または地方公共団体です。選挙は公営なのです。選挙の公費負担の性質について、大きく分けると、
①選挙管理委員会は実施には直接関与しないが、その経費の負担のみを行うもの(選挙運動用ポスターの作成費)、
②選挙管理委員会がその全部を行うもの(投票記載所の候補者氏名などの掲示)、
③内容は候補者が提供するが、その実施は選挙管理委員会が行うもの(選挙公報の発行)、
④選挙管理委員会は便宜を提供するが、その実施は候補者が行うもの(公営施設利用の個人演説会)、
以上の4つです。
選挙の公費負担制度の目的は、(候補者にとって)金のかからない選挙を実現し、資金の多少によらない選挙運動の機会均を担保するためです。
※ただし、得票数が一定の数に達しなかった場合で、供託金が没収された場合は、公費負担を受けることはできません。
今回は、候補者が手続きが必要なもの(①と④)について、公費負担制度として取り上げます。都道府県議会議員選を例に見ていきます。特に、今回は公費負担制度について、インターネットで公開している和歌山県議会選挙を参考に解説して行きたいと思います。
②公費負担の対象となるもの
選挙の公費負担の対象となるものには、以下があります。
1、公設掲示板用のポスターの作成費
2、選挙カーのレンタル代、運転手の給料
3、選挙カーのガソリン代
4、選挙はがきの郵送費
5、公営施設を使ったときの個人演説会場の利用料
それでは、それぞれ見ていきましょう。
③公設掲示板用のポスターの作成費
公設掲示板に掲載するポスターの作成費は公費負担の対象となります。
作成する会社と書面による契約が必要となります。
公設掲示板用のポスターは、そうです、1から番号が振ってあるところに、選挙戦初日から一斉に貼り出していく、みなさんが一番良く目にするポスターですね。
選挙によっては、この公費負担分は100万円を超えることがあります。
他の候補者と差をつけられないためにも、積極的に活用して下さい。
公設掲示板のポスターの公費負担では、一般的に公費負担の対象となる①枚数の上限と、②単価の上限が設定されています。和歌山県議会議員選挙を例に見ますと、
①枚数の上限=選挙区のポスター掲示場数×2
②単価の上限=選挙区のポスター掲示場数から算出する
※いずれも、選挙のたびに変わる。
となっています。
これら上限については、候補者説明会が開催されたときには決まっていることが多いと思います。必ず確認して下さい。
枚数の上限が選挙区のポスター掲示場数x2になっているのは、選挙期間中にポスターが故意に剥がされたり、公設掲示板自体が風で破壊されたときに、ポスターの追加張替えが必要になるからです。
公設掲示板の数は選挙のたびに変わります。なぜなら、過去の選挙で公設掲示板が設置してあった場所に家が建ったり、地形が変わったりするためです。余談ですが、以前設置してあった場所に公設掲示板が設置できるかは、業者が現地に行くまでわからず、設置が困難な場合は、業者は現地で設置場所を若干ずらしたり、変更したりして対応します。設置し終えたあとに、移設場所等を選挙管理委員会に報告しています。
※注意点
公費負担はポスターの作成費です。デザイン会社と印刷会社が別の場合は、デザイン費と印刷費が分かれます。どちらか片方の会社にしか申請できない可能性があります。都道府県によって扱いが違います。必ず選挙管理委員会に確認して下さい。
④選挙カーのレンタル代、運転手の給料
選挙カーのレンタル代と、運転手の給与は公費負担となります。
いずれも書面による契約が必要となります。
和歌山県議会議員選挙を例に見ていきましょう。
自動車の借入(1日1台に限る) 上限額=1日あたり15,800円
運転手の雇用(1日1人に限る) 上限額=1日あたり12,500円
和歌山県議会議員選挙は、選挙期間は9日間です。
選挙期間中に選挙カーが公費負担になる金額の上限は15,800x9=142,200円です。運転手の雇用は12,500x9=112,500円となります。公費負担を利用することで、254,700円の負担を自治体にしてもらうことができます。利用しない手はありませんね。
※運転手は立候補の届出とともに提出する書類で、事前登録が必要です。
⑤選挙カーのガソリン代
選挙カーのガソリン代は公費負担となります。
書面による契約が必要となります。
和歌山県議会議員選挙を例に見ると、
燃料代 上限額=7,560円×選挙運動日数
和歌山県議会議員選挙の選挙期間は9日間です。
7,560x9=68,040円です。
選挙期間中のガソリン代は、68,040円を自治体に負担してもらうことができます。
※注意
公費負担の利用についてガソリンスタンドと事前にやり取りをしましょう。選挙期間中に利用したガソリンの量を記録してもらいましょう。経験があるところに頼むとスムーズにいきます。選挙の公費負担を受け持ったことがあるガソリンスタンドは意外と多いです。地元のガソリンスタンドに、選挙カーの公費負担制度を利用したことがあるか聞いてみましょう。
⑥選挙はがきの郵送費
選挙はがきの郵送費は公費負担になります。
郵便局の規定の用紙を使用して、届け出します。
気をつけなければいけないのは、あくまで選挙はがきの郵送費だけが公費負担ということです。選挙はがきの作成料(デザイン料+印刷代)は公費負担の対象となりません。
和歌山県議会議員選挙の場合は、候補者は8,000枚の選挙はがきを郵送することができます。通常はがきを郵送するときは、一枚63円です。
63x8,000=504,000円
公費負担を利用することで、自治体に504,000円負担していただき、選挙はがきを有権者に8,000枚郵送することができます。
活用しない手はありません。
⑦公営施設を使ったときの個人演説会場の利用料
個人演説会場として指定された公営施設(指定施設)を利用した場合は、公費負担の対象となります。選挙区内の公営施設の管理者は、選挙が始まる前に当該公営施設を個人演説会の指定施設として指定するか選挙管理委員会に報告します。公営施設は選挙を補助すべき役割があるので、かなりの公営施設が個人演説会場として利用することができます。具体例としては、学校、公民館、都道府県・市町村が管理する公会堂、コミュニティセンター、児童館、体育館などです。学校が個人演説会場として使えることは、意外と感じる方もいるのではないでしょうか。
もっと見たい方のために、和歌山県が個人演説会の指定施設にしている公営施設のリストのリンクを貼っておきます。→和歌山県の指定施設
⑧選挙のお金は返ってくる?!公費負担を使うべき2つの理由!!
ここまで読んでいただいた皆様には、十分に理解していただいていると思います。公費負担を使うべき2つの理由を挙げます。
1、選挙資金の多少で選挙に差をつけない!
選挙資金には限りがあります。選挙の公費負担の目的は、選挙資金の多少によって、候補者同士の選挙運動に差ができないようにするため、平等な機会を実現するためです。あなたが公費負担制度を利用することは、平等な選挙に近づきます。
和歌山県議会議員選挙を例に、公費負担制度を上限まで利用した場合にどれだけお得になるか、計算してみましょう。(公設掲示板用ポスターの作成費は100万とする。)
1,000,000円+254,700円+68,040円+504,000円
2、選挙は公共事業である!
選挙は公共事業です。有権者は、候補者が定められた手続きの中で、上手に選挙ができるかを見ています。選挙は政治家としてのあなたの手腕を披露するところです。選挙の公費負担制度を利用したからといって、有権者からいかがわしい目で見られることはありません。なんだよ、あいつは選挙もろくにできないのか、と思われないようにしましょう。
⑨選挙の公費負担制度の問題点??
こちらで紹介する問題は、直接選挙には関係のない話題ですが、ご紹介します。
選挙の公費負担制度においては、契約会社が候補者と結託して、自治体に水増し請求をしているんじゃないか、と問題になっています。
例えば、公設掲示板用のポスターの単価が相場とかけ離れて高いんじゃないか?などの疑問の声が上がることがあります。
これは、正直なところ、解決が難しい問題です。
ポスターの作成費にそもそものところ、相場はあるのでしょうか。
ちょっとしたフォトグラファー、デザイナーを利用するだけで金額は跳ね上がってしまうものです。写真だけで100万円のフォトグラファーもいます。選挙ではそういったクリエイターにお願いすることは多いです。
一瞬で公費負担の上限を超えてしまいます。
確かに、安い業者は存在します。しかし、安い業者が相場かと言われれば、相場なわけはないんです。
私は、公費負担制度の金額については、そこまでおかしい金額は設定されていないと思います。
一方で、地方に行くと、印刷会社の社長が選対の最高責任者になっていることがあります。もちろん、その印刷会社はポスターの契約先です。地元にお金を落とすことは、候補者としてもおかしくないことではあることも含めて考えますと、なかなか難しい問題ですよね。
私も、この問題については、頭を悩ませています。
ぜひ、みなさんのご意見を下さい。
⑩終わりに
ここまで読んでいただきまして、ありがとうございました。
→Twitterを開設しましたので、ぜひ遊びに来て下さい。
今回は以上です。