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坂ランを楽しむ

再びパリオリンピックから。女子スケボーの銀メダリスト、開心那さんの競技後の言葉を取り上げたい。「スケートボードはやっぱ努力だけじゃなくて楽しむことも大事だと思う」昔から名言として、努力は夢中に勝てない、とか、努力する者は楽しむ者に勝てない、など繰り返し言われてきた。でも15歳の女子が発したこの言葉はややニュアンスが違う。マラソン練習だって努力だけじゃなくやっぱり楽しみたい。

マラソン練習は努力か楽しみか

長距離走と言うと、どうしても苦しい中ストイックに頑張る、努力する、そういうイメージがつきまとう。実際、市民ランナーでもシリアスにタイムを狙い出すと楽しいと言うより苦しみに耐えて頑張ると言う感じは否めない。僕の場合も4時間位で走っていた頃は、週末好きなところを好きなように走り楽しかった。本番は苦しいけど走りきれるだけで嬉しかった。なまじサブスリーとか言い出すと走りきれても、練習が足りずに今日はダメだったとか、次は頑張ろうとか、楽しむことより努力ばかりが頭の中に浮かんでくる。

坂は登りほど楽しい

9月に迫ったシドニーマラソンのコースは獲得標高が300メートルオーバー。アップダウンの厳しいコースのようだ。この数年タイムを狙うことが多く、どうしてもフラットなコースを選ぼうとしてきた。また昨年アキレス腱付着部を痛めたこともあり、足に負担のかかる坂の上り下りはなるべく避けてきた。しかし本番を前にして坂を避けるわけにはいかない。もともと週末のジョグは起伏の多い坂道を楽しんでいた。1年ぶり位に坂だらけのコースを走ってみると、これが楽しい。何といっても登りだ。

マラソンは起伏があってこそ

調べてみると、世界で最もプレステージのあるボストン・マラソンは、下りが多いのが有名だが、心臓破りの坂など、獲得標高も240メートルを超えている。最も参加者の多いニューヨークシティーマラソンの獲得標高も240メートルと同じ位だ。確かにベルリンは100メートル以下で記録が出やすいと言われる。それに習ってか東京も元のコースの坂をどんどん削り、コースをフラットにしている。記録が出やすいとエリートレースの視聴者人気は出るかもしれないが、マラソンの楽しみはそれだけではあるまい。箱根駅伝でも観客が楽しむのは権太坂であり、5区の上りだ。もちろん選手には苦しい局面だ。しかし自分自身、久しぶりに坂だらけコースを登っている最中、尻でリズムをとって楽しんでいる。やってる感がある。上り切ると、下りに移る局面で達成感も楽しい。富士登山競争の時にあまり楽しくなかったのは上りだけで下りがないからだろう。マラソンはトラックレースじゃない。坂があるから楽しく、苦しく、魅力ある競技なのかもしれない。


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