フランスの暴動について
パリ郊外ナンテール市で6月27日に発生した警官による少年射殺事件をきっかけに、全国で暴動騒ぎが続き、7月1日から2日にかけての夜にも、前日までよりは下火になったものの、5日連続で騒乱が発生しました。
当初は、事件があったパリ郊外に騒乱が集中していましたが、その後は大都市を中心に全国に広がりました。花火を投擲物代わりに使う治安部隊への攻撃や、警察署のほか、市役所や学校などの公共施設を狙った破壊や放火、市長宅襲撃、公共交通機関(バス、トラムウェイ)を狙った放火、さらに、商店を狙った破壊や略奪などの被害が相次ぎました。
暴動に加わっているのは主に若年者で、中学生のような低年齢の子どもも多く、なかにはフランス人達さえ含まれているそうです。逮捕者の3分の1は、低年齢層を含む未成年者だといい、政府や市民団体等は、保護者らに対して、未成年者を夜間に外出させないようにして、保護者としての責任を全うするよう呼びかけることにまで発展。ある政治団体はこうなったのも親の教育がなっていないからだと責任転嫁。SNS上で破壊や略奪の動画を投稿する若者も多く、この一連の騒動が「お祭り」として捉えられていることをうかがわせています。
暴動騒ぎは政治的な論争も引き起こし、左翼政党「不服従のフランス(LFI)」を率いるメランション氏は、鎮静化を呼びかけているものの、暴動騒ぎを非難することは拒否しており、そうしたメランション氏の態度を疑問視する声は、左派勢力内からも上がっています。その一方で、極右政党RNは、非常事態宣言の発令や軍隊の投入などを声高に要求し、マクロン政権の対応に欠陥があると攻撃しています。
一人の少年が警察の取り調べを受けて、それを拒否して射殺された事件からこのような想像を絶する大規模な騒乱に発展したことについて、フランスではもう40年くらい前から移民の統治がうまくいかなく、今日のような全国的な大暴動となって顕在化しています。政府は治安が悪い地区を重点的に経済的支援を行ってきましたが、そうした市の公共施設をも破壊しつくす暴徒化した移民達+一部フランス人達が政府に対抗して市街戦の様相を呈しました。
一体、今の日本の東京、札幌、名古屋、大阪、福岡などの主要都市で移民+一部日本人達がこのような規模の市街戦のような暴動を引き起こすことがイメージできるでしょうか? 今回もフランスの移民の人々に対する差別の根深さと移民同化政策の不可能さが露呈しました。 ここまで国が分断してしまうと、たとえ今回も全国的な暴動が警察権力により力でねじ伏せ鎮静化されても、肝心な移民や人種差別や移民同化の問題は解決されず、もう根本的解決は不可能というのが私の見立てです。アメリカのように常にこのような分断にフランス国家もさらされ続け、次第にさらに制御不能な国となっていくのでしょう。
愛の国フランス、花の都パリというのは、日本のメディアが作り上げた幻想で、実際は、毎日盗難や強盗など脅かされる日々を過ごしているのが実情です。
来年パリでオリンピックがありますが、その時に合わせて今回のような大暴動が起きるかもしれません。今回の少年の射殺などはひとつのきっかけに過ぎず、彼らが望むのは、要はフランスという国を破壊することが主要な動機なのだと思います。