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(米国株式市場12月19〜23日)代表株価指数続落。

(全文無料で読めます)

おはようございます。今週も一瞬クリスマスラリー的な動きとなりましたが下落相場が継続しましたね。

日銀の突如のYCC修正もありドル円は130円台後半まで一時円高調整がありました。インデックスの円建の目減りに落胆した方も多かったことでしょう。


それでは現在の指数がどうなっているか?金融環境がどうなっているか?という点を含めて様々なデータを盛り込みながらお伝えしていき申す!

1. 今週の合戦の振り返り(要約ver.)


  • ダウ平均以外は続落。S&P500、ナスダック、ラッセル2000は50MA以下で推移している

  • ナスダックは年初来33%の下落となっており、S&P500は再び20%下落の水準が近づいている

  • S&P500指数、ナスダック共に50MAを超えた比率が90%にタッチしてから大きく下落が開始されている

  • S&P500指数は年初からのトレンドラインが強烈に意識されておりブル相場回帰には上抜けが必要条件

  • 黄信号のUptrend under pressureではあるが赤信号のつもりで臨むのが推奨される相場。売り抜けはナスダックで4、S&P500で5と溜まっている

  • GDP、消費者信頼感、個人所得が強くでたことで米経済の強さが意識され名目金利は上昇。リセッション懸念が再び遠のく。

  • 利上げ織り込みは先週時点では来年9月利下げ開始だったが今週末時点では来年11月利上げに後ろ倒しになっている。

  • 織り込み上のターミナルレートは4.75%-5.00%で変化なし

  • 実質金利も上昇しておりリスク資産にとってはネガティブな環境となっている

  • プトオコールレシオは悲観的だがFear & Greed指数はまだまだ総悲観とはいえない。VIXも落ち着いている。総悲観は遠い。

  • 機関投資家は大きくポジションを落としている



2. 代表株価指数動向(&強気相場 or 弱気相場判定)

ダウ以外は先週から続落しています。ナスダックの弱さが際立っています。年初からの比較は以下となります。

ダウ平均(青):▲8.63%
S&P500(黒):▲19.33%
ラッセル2000(黄):▲21.57%
ナスダック(赤):▲32.93%

GAFAMTの多くが死亡状態のナスダックの下落が群を抜いています。

AMZNはコロナの底に到達してしまいました。

来年はどうなるのでしょうか?

はっきり言って予想は無駄ですが、上方向を見るならまずはS&P500指数で年初から3回止められているトレンドラインを上抜けていく必要があることだけは確かですね。ばっちりと意識されていますので。

12月のCPI減速で上に行く構え見せましたが上髭をつけて下落してきています。あとで金利動向のところでもお伝えしていますが、インフレはまだまだサービスインフレが右肩あがりとなっています。

このサービスインフレつまり雇用が沈まない限りはインフレの本格的な鎮火とはなりません。サービスインフレは動きだすのに時間がかかり粘着する傾向にあるのでFEDがまだまだタカ派を維持する必要があるので上値は現状重たくなっていますね。

ただ、下方向にすっぽぬけるかというと、現状QTを行なっていますがリバレポや財務省が供給している流動性から考えて金余りの状況ではあるので、底値は支えられると考えています。ただ、どうなるかわからないのが相場です。

欧州発の金融危機が発生したり、ウクライナ戦線で破滅的なことが起こったり、中国リオープンでエネルギー価格急騰によるインフレが再燃したりと燻っているものは多々あります。

どんなことが起こっても柔軟に対応できるように2023年はより一層気を引き締めていきましょう。2022年は現金偏重である意味楽な相場でしたが、2023年は本格的に仕込みを入れていく相場になる可能性があるので緊張感を持って注視していく必要がありますね。

□ S&P500指数

S&P500を見ていきましょう。赤線が50日移動平均線(MA)、黒線が200日移動平均線(MA)です。

CPI減速とFOMCで上髭を作り200MAと先ほどお伝えした年初トレンドラインで跳ね返されている形となっています。

ではAD lineについて見ていきましょう。

AD line(Advance/Decline Line)」とは以下を指す。

(今日上昇した銘柄数 - 今日下落した銘柄数) + 昨日のAD Line

bull marketになる時はいち早くAD Lineが上昇し、bear marketになる時はいち早くAD Lineが下落する傾向があるんじゃ。去年のナスダックなんかまさにそうじゃったな

昨年のナスダックは指数はGAFAMに支えられて上昇するも全体としては株価が下落に転じておりAD lineは下落基調じゃったからな。

10月の底からは上昇していますが直近踊り場となっています。AD Lineは直近大きく上昇した水準から急落していますね。

50MAを超える銘柄の比率は現在57%となっています。この比率が0に近づくと反発する傾向にあり、90%付近になると一旦の天井を打つ傾向にあります。

今回もまさに90%に到達してから天井を打っています。結構、この指標は参考にしています。

□ NASDAQ総合指数

ナスダック総合指数を見ていきましょう。赤線が50日移動平均線(MA)、黒線が200日移動平均線(MA)です。

200MAに到達することなく下落しています。既に10月の底が見えてきています。以下はAD Lineです。地を這うような動きですね。まぁ無理でしょう。

以下はナスダック100の50MAを上回っている銘柄の比率です。先週は56.8%となっておりましたが、41.5%と下がってしまいました。ナスダックも50MAを超える銘柄の比率が90%にタッチすると同時に下落しています。

□ 現在は強気相場?弱気相場?

11月2日のFOMC後の下落を受けて「Uptrend under Pressure(上昇相場頭打ち)」に格下げとなりましたが、11月10日のCPI発表後に株価は大暴騰し、フォロースルーデイを迎えて「Confirmed Uptrend(確固たる上昇相場)」に返り咲きました。しかし、12月15日の下落で「Uptrend Under Pressure(上昇相場頭打ち)」へステータスが変わりました。

既に売抜日はナスダックで4、S&P500で5と溜まっています。既にナスダックもS&P500指数も前回のフォロースルーデイの水準を下抜けています。いつ「Market Correction」に変わってもおかしくありません。

無理してトレードポジションを建てる場面ではありません。中途半端な含み益や含み損が出ている銘柄などはポジション解消していくのが安全でしょう。


■ それぞれの言葉の定義:

◇ フォロースルーデイ(FTD)

① 主要指数(S&P500/NASDAQ)が弱く寄りつき、強く引ける日(前日比プラス)を待つ =上昇の試し。

② ①が出現してから4~7日目(が理想、それ以前もその後も出現する)に、出来高を伴って約1.5%以上の上昇を見せる日を待つ。

◇ 売り抜け日(Distribution Day)
前日より「出来高」が増加し且つ「指数が0.2%以上下落」する。

◇ 売り抜け日カウント

以下を満たせば天井圏の下落警戒となる。

● 4週間-5週間で売り抜け日が3-5日起こる(市場上昇中にも発生)
● 2-3週間という短い期間で売抜日が4日あっても当然注意が必要

カウントから25営業日経過後には消滅する。また、上記の条件を満たさなくても売り抜け日がカウントされることもあり、これは「指数が失速する」という意味のカウントとなる。

株価指数が活発な出来高の中で上昇していくなかで、前日と同じような出来高なのに停滞した場合にカウントがなされることがある。

■ 参考:



3. FRB動向

(FRBの金利動向に気をつける)過去を振り返ると、FRBの金利が引き上げられたことがきっかけで弱気相場が始まり不景気に突入した歴史があります。弱気相場が終わるのは金利が下げられた時が多いです。最も簡単で役に立つ金融指標はFederal Fund(FF)レート(政策金利)。

コンピューターによる自動売買や様々なヘッジサービスによってリスクの高い弱気相場で発生する株価の下落から資金を守るために、ポートフォリオの大部分をヘッジするファンドが現れました。金利が急騰する場面は相場が下落しやすい仕組みになっています。

↓↓(参考元:米FRB特集


□ 先週のイベント(12月12日〜16日)


以下は先週の復習です。

◇ 米CPI

  • 米労働省が13日発表した11月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前年比伸び率が7.1%と10月の7.7%から鈍化し、2021年12月以降で最小となった。伸びは2カ月連続で市場予想も下回り、米連邦準備理事会(FRB)が13─14日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を縮小する根拠となる可能性がある。

  • 11月の物価の伸び鈍化は、ガソリンや医療費、中古車・トラックの価格下落を反映した。一方、食品と家賃は引き続き上昇した。

  • ロイターがまとめたエコノミスト予想は7.3%上昇。前年比の直近のピークは6月の9.1%上昇で1981年11月以来の大幅な伸びを記録していた。

  • FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「インフレ動向は、多くのモノやサービスの価格の伸びが鈍化もしくはほぼ変わらないという転換点に達したように見えてきた」とし、「今回初めて、FRBがインフレとの戦いに勝利していると言うことができる」と述べた。

一旦インフレは下がり始めたらトコトン下がっていくというのが過去の歴史ですね。1974年なんかは12%→5%までドラスティックに落ちている訳です(その後リバウンドして14.5%までいってしまいましたが)。FRBもこの過去があるので慎重な手綱捌きをするとは思いますが、しばらくはインフレは低下していくというのがコンセンサスではないでしょうか(当然次回雇用統計、CPIが重要です)。

投資家の権威であるジェフリー・ガンドラック氏もインフレ率は2%を下回ってしまう可能性を示唆しています。

  インフレ率が低下に向かい始めた場合、2%で止まるとは考えにくいとも指摘。その水準まで下がった後に横ばいとなるとの見方は「全く信じ難い」と述べた。大半の予想よりもインフレ率が急速に低下し、ゼロとなることもあり得るとの見方を示した。インフレがピークに達し、後退しつつあることを債券市場は「完全に織り込んでいる」とも述べた。

Bloomberg

しかし・・・後続で触れるブレイクイーブンインフレ率ですが、債券投資家の読みは完全に当たっていました。やはり債券投資家と共に株式投資に取り組む重要性を思い知らされた次第です。洗練されています。


◇ 米連邦公開市場委員会(FOMC)

米連邦準備理事会(FRB)は13─14日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.50%ポイント引き上げ、4.25─4.50%とした。パウエルFRB議長がFOMC後に行った会見の内容は以下の通り。


*多くの領域をカバーしたが、金融引き締めの完全な効果はまだ感じられない
*われわれにはまだやるべき仕事がある
*物価の安定なくして堅調な労働市場は維持できない
*十分なインフレ抑制に向け、利上げ継続が適切と期待
*米国経済は昨年に比べ大幅に減速
*住宅市場の活動が大幅に低下
*金利上昇は企業の設備投資にも重し
*労働市場は依然として極めてタイト
*求人数は年初より減少しているが、労働市場は依然として均衡を欠く
*10月と11月のインフレ率、月次では上昇ペースが歓迎すべき鈍化を示す
*インフレリスクは上向き
*インフレ期待は依然抑制されているが、現状に甘んじている余裕はない
*金融情勢は短期的に変動、長期的には制約的な政策の反映が重要
*金利に敏感な部門では需要への影響が見られる、それ以外の部門に影響が及ぶには時間がかかる
*0.50%ポイントの利上げ、利上げ幅としてはまだ大きい
*利上げを実施する余地はまだある
*FRBの見通しは計画ではない、経済に確実性はない
*FRBの決定は入手されるデータ次第
*FRB、引き続き会合ごとに決定を行っていく
*FRBは力強い措置を実施している
歴史的経緯、尚早な金融緩和を強く警告
*FRB、目的達成まで軌道から外れない
*十分に制約的な政策スタンスにはまだ達していない
*政策委員の見通し、FRB政策金利の行方を判断するのに最適
*今年は毎回の金利・経済見通しでピーク金利見通しが引き上げられた
*次回もピーク金利見通しが引き上げられるかは断言できない
*ピーク金利はデータが悪ければ引き上げられるが、インフレ指標が軟化すれば引き下げられる
*今年前半は迅速な利上げが重要だったが、現時点では利上げペースの速さはそれほど重要ではない
*最終的な金利水準がより重要
*金融・経済情勢に基づき2月に判断
*どの程度まで金利を引き上げるかはインフレの進展や金融情勢、政策をどれだけ制約的にする必要があるのかの判断に基づく
*ある時点で政策は十分制約的になる
*インフレが持続的に下向くと確信できるまで金利をピーク水準で維持する必要があるというのがFOMCの確固たる見解
*住居費は来年には下向くと想定
*空室率はなお極めて高い
*非住宅関連のサービスインフレが下向くためには相当な時間が必要
*サービスのインフレ期待が迅速に下向くことはなく、一段の利上げ必要
*これが金利のピークを引き上げた理由
*経済は非常に低成長になる
*4.7%の失業率でも労働市場はなお力強い
*採用が困難なため企業は労働者の確保を望んでいる

*そのため労働市場でレイオフが多く発生するようなことはない印象
*迅速に利上げしてきたため、利上げペースを緩やかにすることが適切
*次回どの程度の利上げが行われるかは現時点で言及できない
*来年はインフレ率の大幅鈍化が見込まれるが、年初の出発点は高い
*インフレ鈍化は財セクターからもたらされ、来年半ばには住宅サービスセクターのインフレ率が鈍化する見込み
*堅調な賃金上昇を望むが、2%のインフレ率に見合ったものでなければならない
*現時点で賃金は2%のインフレ率に見合った水準よりもかなり高い水準で推移
*われわれの焦点は政策スタンスを十分に制約的にすることであり、利下げではない
*インフレが持続的に下向いているとFOMCが確信するまで利下げを検討することはない
*中国のゼロコロナ政策の終了が米国のインフレにどのような影響を与えるか判断するのは難しい
*中国は経済再開に向けて非常に困難な状況に直面
*10─11月のインフレに関するデータは物価上昇圧力の緩和を示すものだが、インフレが下向いているとの確信を得るにはさらに多くの証拠が必要
*最近のデータを受け見通しにより確信が持てるようになった
*住宅を除くコアサービスはまだ道半ば
*平均時給はほとんど下向いていない
*賃金がより正常な水準に落ち着くことを期待
*われわれの政策は十分に制約的な水準に近づいている
*私やFRB当局者の見解では政策を長期にわたり制約的な水準で維持する必要がある
*物価の安定を取り戻すまでの道のりはまだ長い
*リセッション(景気後退)に陥るかどうかは誰にも分からない
*インフレ率が持続的に下向けば、失業率の上昇を大幅に抑制できる可能性が高まる
*最大の痛手は十分な利上げができなかった場合に生じる
*物価の安定を取り戻すために痛みの伴わない方法はない
*インフレのコントロールは可能と確信
*インフレ目標の変更は考えていない
*現在は最大雇用の状態、もしくはそれ以上
*現時点ではインフレ引き下げに焦点を置いている
*インフレが持続的に低下していると確信できるまで利下げは実施されない



*多くの領域をカバーしたが、金融引き締めの完全な効果はまだ感じられない
歴史的経緯、尚早な金融緩和を強く警告
*インフレが持続的に下向いているとFOMCが確信するまで利下げを検討することはない
*10─11月のインフレに関するデータは物価上昇圧力の緩和を示すものだが、インフレが下向いているとの確信を得るにはさらに多くの証拠が必要*最近のデータを受け見通しにより確信が持てるようになった
*インフレのコントロールは可能と確信
*インフレ目標の変更は考えていない

などを見ていると、十分に牽制した上でここまでの手綱捌きに非常に自信を持っているようにも見えます。「もはやインフレはクレイジーではない」ということですよね。

ガンガン利上げするぜという局面は終わり、長期金利も下落。「どこまで利上げするんだ?」という不安から「ある程度道筋見えてきたわ」に変わった訳で、これは大きな転換です。

3ヶ月に一度更新されるドットチャートは以下の通りです。

ドットチャート:米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーが予想する、米国の政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準を、それぞれひとつの点(ドット)として散布図化した「政策金利の見通し」のこと。 毎年3、6、9、12月に米連邦準備理事会(FRB)が公表する。

2323年は5.1%です。現在の政策金利は4.25-4.50%です。あと50bpsしか2023年は上がらないのですね(十分強い引き締めではありますが)。2024年には利下げに転じています。

◇ 米輸入物価

  • 米労働省が14日に発表した11月の輸入物価指数は前月比で0.6%下落した。5カ月連続のマイナスで2015年以降で最長となった。石油製品の他、幅広い商品の価格が下落したのが全体を押し下げた。今後数カ月にわたって物価上昇率が緩やかになるとの見方を支えるものとなった。

  • 10月は0.4%下落していた。

  • 11月の前年同月比は2.7%上昇し、伸び率は2021年1月以来、1年10か月ぶりの低さだった。10月は4.1%上昇していた。

◇ NY州製造業業況指数

  • ニューヨーク連銀が15日に発表した12月のニューヨーク州製造業業況指数はマイナス11.2と前月から16ポイント低下した。

  • 雇用指数は11月のプラス12.2からプラス14.0に上昇。支払い価格指数はプラス50.5で11月と同水準だった。

◇ 米フィラデルフィア連銀業況指数

  • 米フィラデルフィア地区連銀が15日発表した12月の製造業業況指数はマイナス13.8と、11月のマイナス19.4から改善した。4カ月連続でマイナス圏となったものの、工場経営者は明るい予測を報告し、インフレ圧力が著しく緩和されていると指摘した。

  • ロイターがまとめたエコノミスト予想はマイナス10だった。


□ 今週のイベント(12月19日〜23日)


◇ 中古住宅販売件数

  • 前月比7.7%減の409万個(予想420万個)

  • 2010年以降で2番目の低水準

  • 減少幅は2月以降で最大

◇ 米CB消費者信頼感指数

  • 12月の米消費者信頼感指数は108.3(予想101)と前月の101.4から上昇

  • 4月以来の高水準になった

  • 物価上昇が鈍化する中、労働市場が堅調さを維持していることを反映

◇ 7月-9月米GDP確定値

  • 7-9月期の米実質国内総生産(GDP)確定値は、改定値から上方修正

  • 前期比年率3.2%増(予想中央値は2.9%増)

  • 確定値では個人消費が2.3%増と、改定値(1.7%増)から大幅に上方修正

  • 金利上昇や高インフレをよそに消費者と企業の需要が堅調さを維持していることを浮き彫りに


強い経済指標によって米国の景気が腰折れしておらず、サービスインフレが強いまま推移するのではという懸念もあり金利が反発し、株価にも下押し圧力となったな

以下、PCEは鈍化はしているものの個人所得の伸びは強く経済の力強さが維持されておるな。

◇PCEデフレーター

  • 11月のPCE価格指数は前月比0.1%上昇。10月は0.4%上昇していた。

  • 11月の前年同月比伸び率は5.5%と、10月の6.1%から鈍化し、2021年10月以来の小幅な伸びとなった。

  • コアPCE価格指数は11月の前月比上昇率が0.2%と、10月の0.3%から鈍化。

  • 11月の前年同月比伸び率は4.7%と、10月の5.0%から縮小。同様に21年10月以来の小幅な伸び

  • 個人所得は0.4%増。賃金は0.5%増加。ただ、借入コストの上昇や貯蓄の急速な減少のほか、家計資産の減少を背景に個人消費が抑制され、来年に景気後退(リセッション)入りする可能性もある。

  • 11月の個人消費支出は前月比0.1%増加と、小幅な増加にとどまった。

  • エコノミスト予想でPCEは0.2%増だった。10月分は0.9%増に上方改定された。当初発表は0.8%だった。




□ 金利動向(FF先物金利/市場の利上げ織り込み)

参考:CME FedWatch


◇ 前提知識:FRBによる金利引上げ

  • 1回目:0%-0.25% → 0.25%-0.50%

  • 2回目:0.25%-0.50% → 0.50%-0.75%

  • 3回目:0.50%-0.75%→ 0.75%-1.0%

  • 4回目:0.75%-1.0% → 1.0%-1.25%

  • 5回目:1.0%-1.25% → 1.25%-1.50%

  • 6回目:1.25%-1.50% → 1.50%-1.75%

  • 7回目:1.50%-1.75% → 1.75%-2.00%

  • 8回目:1.75%-2.00% → 2.00%-2.25%

  • 9回目:2.00%-2.25% → 2.25%-2.50%

  • 10回目:2.25%-2.50% → 2.50%-2.75%

  • 11回目:2.50%-2.75% → 2.75%-3.00%

  • 12回目:2.75%-3.00% → 3.00%-3.25%

  • 13回目:3.00%-3.25% → 3.25%-3.50%

  • 14回目:3.25%-3.50% → 3.50%-3.75%

  • 15回目:3.50%-3.75% → 3.75%-4.00%

  • 16回目:3.75%-4.00% → 4.00%-4.25%

  • 17回目:4.00%-4.25% → 4.25%-4.50%

  • 18回目:4.25%-4.50% → 4.50%-4.75%

  • 19回目:4.50%-4.75% → 4.75%-5.00%

  • 20回目:4.75%-5.00% → 5.00%-5.25%



基本は「25bps」ずつの利上げです。しかし、景気動向によっては50bps利上げすることも考えられます。2022年5月FOMCは50bps実行、6/7/8月に75bpsの利上げを実行と、大幅な利上げを行なってきました。

11月も75bps(これで4回連続75bps)の利上げを行い、12月は50bpsの利上げが実行されました。つまり17回目まで利上げが終わっています。


  • 16回目:3.75%-4.00% → 4.00%-4.25%

  • 17回目:4.00%-4.25% → 4.25%-4.50%


今週金曜日終了時点では以下となっています。2023年2月1日会合の25bpsの確率は63.4%となっています。2023年11月には4.75-5.00→4.50-4.75に利下げに転じています。

先週末時点の折り込みでは9月に利下げを織り込んでいたので、強い経済指標を背景に後ろ倒しとなっているのが読み取れます。


今週金曜日終了時点


(先週金曜日終了時点)


木曜日にツイートでお伝えしたとおりCPIは減速しているといえど、サービスは現在でも右肩あがりの上昇を維持しています。

つまり、雇用と給与は堅調だということです。ここが本格的に腰折れしない限りはインフレの沈静化はありえません。パウエルとしては、このサービスインフレが下落しない限りはハトになることはないと思います。

今後は雇用統計の重要性がより一層増す展開となりますね。


□ FRBのバランスシート(BS)拡大・縮小動向

BSが拡大するということは、市場に流通する資金が増大して、景気を加熱させることに繋がります。FRBは金利を引き上げる前に、まずはバランスシート(BS)の拡大停止(テーパリング、資産買い入れプログラムの変更)を実行します。すでにテーパリングは2022年3月に終了しています。


※資産買い入れプログラムについて、米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は同400億ドルのペースで買い入れていました。こちらのペースを下げることを「テーパリング」といいます。


現在の推移です。順調にシュリンクしています。利上げと緊縮の二刀流を進めています。


今は景気を冷ます「BS縮小」が6月1日より始まっています。

「テーパリング」はFRBのBSの「拡大」を細切にして終了させていくことですが、その後利上げ、そして次はBSの「縮小」です(テーパリング→利上げ→BS縮小/QT)。

BSの縮小ですが、量的緩和で購入した債券などが償還された時に再投資しない場合はFEDのBSは縮小していきます。このようにバランスシートを縮小することを「QT(Quantitative Tightening)」といいます。

前回は4回利上げがおこなわれたあとQTが実施されましたが、今回は「約9兆ドルに膨れ上がっているバランスシートについては6月、7月、8月に毎月475億ドル圧縮し、9月から最大950億ドル圧縮する」ということで既に縮小は開始されています。

ただ、以下の記事でお伝えしとるとおり、QTの半分程度はリバレポで相殺できる見込みとなっておる


□ ブレイクイーブンインフレ率(期待インフレ率)

「ブレイクイーブンインフレ率」とは、「債券市場が期待するインフレ率」を意味します。株価にとって重要な実質金利は次の項目の長期金利から期待インフレ率を差し引くことで算出されます。


10年は2.20%(先週末2.13%)、5年は2.29%(先週末2.14%)と先週より若干上昇しています。

ただ、ずっと期待インフレ率が低下しつづけています。5年で2.29%というのは5年後に2.29%のインフレ率を期待するという意味ではありません。

5年間の幾何平均インフレ率の予想が2.29%という意味です。将来デフレになることを織り込んでいるともいえます。

□ 長期金利(2・5・10年債利回り)

長期金利の動向は株式市場関係者は非常に注意深く見ています。10年債利回りと株式のバリュエーションは「シーソーゲーム」の関係にあるからです。
長期金利が上がれば(債券が売られれば)株のバリュエーションは下がります。

以下は2020年からの推移です。頭打ちしていますが直近反発しています。

青:10年債
赤:5年債
緑:2年債


先週より金利は上昇しています。今までリセッションを織り込む流れに一旦ストップがかかっている状況となっています。

(12月24日時点)
(12月17日時点)


直近長期債の反発により10年と2年の逆イールドは縮小はしていますが、以前として深い逆イールドとなっています。

現在、10年債はまだまだ200MAの上にいます。50MAで止められるかが来週の注目点ですね。

□実質金利

資産価格にとって最も重要な実質金利についてもみていきましょう。実質金利は名目金利から期待インフレ率を差し引いて求められます。

直近は実質金利が上昇してきており、再び金融環境が引き締められてきています。

4. プットコールレシオ

ここでは年初来からの比率(%)を観察します。直近の投資家心理を確認します。


プットコールレシオ = Put売買金額 /Call売買金額

⑴プットコールレシオ > 1 = Putの売買代金が大きい = 投資家が株式相場下落を期待(悲観的)

⑵プットコールレシオ < 1 = Callの売買代金の方が大きい = 投資家が株式相場上昇を期待(楽観的)

上記で算出されます。つまりプットコールレシオが1を超えているということはPutの売買代金の方が大きく下落を警戒する投資家が多いことを意味します。(オニール流では1.15が基準)

これは相場が悲観的なことを意味しており相場の底局面ではプットコールレシオが高くなる傾向があります。

一方、プットコールレシオが1を下回っているということはCallの売買代金の方が大きく上昇を期待する投資家が多いことを意味します。ただ、これは楽観的であるということを意味しており、相場の高値圏ではプットコールレシオは低くなる傾向があります。


12月23日(金)終了時点では1.16となっています。市場は悲観的であると言えるでしょうか。先週の1.05より上昇しています。1.15より上にいると短期的に反転する基準とされています。

ただ、行節数はまだFEARであり6月や10月に記録したEXTREME FEARから比べるとまだまだ総悲観とはいえない状況になっています。


5. Volatility index(VIX指数/恐怖指数)

VIXとは市場で取引されている価格から逆算された「株式市場のボラティリティ」のことを指します。

株価指数は上昇時は緩やかに上昇し、下落時は急落します。市場参加者が高いボラティリティを見込んでいるということは、市場に対して不安を抱いていると想像できます。

VIX指数は株価の先行きにどれほどの振れ幅(ボラティリティー)を投資家が見込んでいるかを示す「株価変動率指数」のうち、米国株を対象にした指数。通常、株安が懸念される局面で上昇し、20を超えると不安心理が高まっていると解釈される。その場合、「株価が今後1年間に約7割の確率で上下20%の範囲で変動する」と投資家が予想していることを示す。

2008年の金融危機の際にVIX指数が80超に上昇して注目を集めた。18年2月と10月にもVIX指数の上昇をきっかけに米国株が下落する場面があった。VIX指数の上昇に連動して機械的な株売りを出す「リスク・パリティ」などと呼ばれるファンドが存在するからだ。

(引用:日経新聞)

S&P500指数(VIX:青)とNASDAQ100(VXN:赤)のVIX指数の5年推移は以下となります。S&P500は20を上回っています。それなりに緊張感は持っているような気もしますが、2022年はずっとこの調子ですね。

VIXがぶち上げたらそこが大底という定説を軽々と2022年は裏切りそうな気もするのですが、これは「まぁ、リセッション100%来るっしょ」という予想が立て易すぎたからな気もします。

構えてたらびっくりしない訳で、2020年は金融緩和ジャブジャブでわかりやすく株をぶち上げて、2022年は思い切り引き締めで株を突き落としてきた訳です。わかりやすいというのは、ビックリ指標が形成されないので「明らかに買い場ァァァ!」みたいなのがわかりにくいですよね。

6. アクティブファンドマネージャーの動向(NAAIM Number)

次にNAAIM Numberです。NAAIM Numberはアクティブファンドの投資動向です。100を超えるということはアクティブファンドがレバレッジをかけていることを意味します。

12月21日時点では39.3でした。12月14日時点では71.6だったので大きくポジションを落としています。値動きの弱さからもわかりますね。

クリスマス休暇に向けてポジションを落として来年に備えているのでしょうか。


上昇相場には「常に100を超える」彼らのレバレッジが必要じゃ。例えば2020年のコロナショック後の上昇相場時のNAAIMが以下となっておる。

9月のレイバーデイあたりで60程度になったのが底で、それ以外はずっと高い水準を維持しておるな。このような相場の時こそ、鬼気迫る思いでフルインベストする時なのじゃ。

7.注目経済指標の動向

以下が今週の経済指標発表でした(マネックス経済指標カレンダーを参考)。今週はCPIの発表がありました(3.FRB動向に詳細記載)。

まとめ


  • ダウ平均以外は続落。S&P500、ナスダック、ラッセル2000は50MA以下で推移している

  • ナスダックは年初来33%の下落となっており、S&P500は再び20%下落の水準が近づいている

  • S&P500指数、ナスダック共に50MAを超えた比率が90%にタッチしてから大きく下落が開始されている

  • S&P500指数は年初からのトレンドラインが強烈に意識されておりブル相場回帰には上抜けが必要条件

  • 黄信号のUptrend under pressureではあるが赤信号のつもりで臨むのが推奨される相場。売り抜けはナスダックで4、S&P500で5と溜まっている

  • GDP、消費者信頼感、個人所得が強くでたことで米経済の強さが意識され名目金利は上昇。リセッション懸念が再び遠のく。

  • 利上げ織り込みは先週時点では来年9月利下げ開始だったが今週末時点では来年11月利上げに後ろ倒しになっている。

  • 織り込み上のターミナルレートは4.75%-5.00%で変化なし

  • 実質金利も上昇しておりリスク資産にとってはネガティブな環境となっている

  • プトオコールレシオは悲観的だがFear & Greed指数はまだまだ総悲観とはいえない。VIXも落ち着いている。総悲観は遠い。

  • 機関投資家は大きくポジションを落としている




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