あの日の西野亮廣『パンの話』
どうしようかな、と一瞬悩んで。
まいっか、と今に至ります。
1月15日。同期の作家・山口トンボと、「あの日の西野亮廣」というトーク配信を行います。
配信時間は約1時間。しゃべってるうちに「あれもこれも」となるのは目に見えてるし、、
たとえ文章で読んだことでも、喋りで聴くと、また感覚も違うだろう、、
と思ってですね、西野さんにまつわるお話を書いてみようと思います。
で、
パッと浮かんだのは、これまで誰にも喋ったことのなかったエピソードです。
でも勘違いしないで。ずっと胸に秘めてたとか、今の今まで温めてきた珠玉の話、とかってものじゃありません。
人が聞いても、取るに足らない、「うん、だから何?」って感じの話だから、誰にも喋ったことがなかっただけ。
オチがあるわけでもないし、ましてや万人に響く感涙ポイントがあるわけでもない。僕だけに取って大事な話。
だからまぁ、配信でもわざわざ話さないかもだから、なんとなくここに記しときますね。
僕がまだ名古屋の吉本に所属していた頃。今から17、8年くらい前。
西野さんと出会ったのはその頃になります。
初めて会ったとき、、の話は、ちょっと長くなりそうだし、配信でも話すかもだから、やめとこ。
とにかく西野さんに出会って、ありがたいことにね、すぐに可愛がってもらうようになったんです。
当時、西野さんはすでに「はねるのトびら」をやられていて、押しも押されもせぬ大スター。
1年上の先輩というよりも、
「わ、キングコングだ……」
っていう、「テレビに出てる人だ!」の感覚の方が強かったかも。
そんなスターが気さくに喋ってくれて、仕事で名古屋に来るたび、
「房野、何してんの? 飲みにいこー!」
って誘ってくれるんだから、そりゃ舞い上がりますよね。
改めて振り返ってみても、20代前半の僕は半分素人です。
でも、そんなミーハーな感覚を置き去りにするくらい、西野さんとのおしゃべりは刺激的でした。
なんかね、思ってたのと違った。
それは、西野さんに抱いていたイメージじゃなくて、売れてる人に抱いてたイメージで。
仕事とプライベートって別の話題で盛り上がるもんだと思ってたんだけど、西野さんは全然違う。
ほぼ、お笑いの話しのみ。
そろそろ車を買おうかと思ってて、
この前麻雀やってたらさ、
やっぱりゴルフは楽しいよ、
こんな話題、一切出てこない。それがいいとか悪いとかじゃなく。
お笑いの話って、芸人によっては"真面目な話"のカテゴリーに分類されて、どの芸人も酒の席でそんな話しをすることはあるんだけど、どこか「今日はちょっと真面目に語ろうか」ってトーンになりがちなんです。
一事が万事そうじゃないんだろうけど、少なくともこのときの僕にはそのイメージしかありません。
なのに。
西野さんは嬉々としてしゃべってる。
真面目に話すべき(と、このとき房野は思ってる)話を、すっげぇ楽しそうにしゃべる。
当時はそんなボキャブラリーないけどこれは、
ボーダーレス。
この人、裏表がないにもほどがある。
自分がずっと好きだったお笑いを仕事にしたとたん、生真面目に向き合うのって変じゃね? と言わんばかりのテンション。
なんだこの人。
おもしろいとストイックが同居しながら、でっけぇネジが5本くらい取れてる。
待って待って待って。
おもしろいんだけど。
この人メチャクチャおもしろくて超楽しいんだけど。マジで。
軽い衝撃を受けながら、のめり込みました。
趣味、みたいな言い回しですが、西野さんにのめり込みました。
西野さんの話しを聞けば聞くほど「なるほどー!」となったし、「え!そんなこと考えてんすか!?」ともなりました。
刺激的で楽しくて、楽しくて刺激的で。酒と面白いが頭の中でグルグル回り、西野さんと飲んだ日はベロベロになるのが決定事項。なぜだか2、3回泣いたのも覚えてます。
そんな楽しくて面白い先輩がね、
「房野、東京来いって」
と言ってくれたんです。
「房野は才能あると思うから、東京来た方がいいよ」
ネットやSNSが発達したこの時代なら、芸人にも地方でのやり方がたくさんあります。
が、2000年代前半。芸人として売れようと思うなら、テレビに出たいなら、まず東京に行かなきゃ話しにならなかった。
だから、西野さんは、「まず出てこい」、そう言ってくれたんです。
「出て来いって。房野がごはん食べれなかったらさ、オレがこっからどんだけお金が無くなっても、パンだけは届けれるやん。出て来いって言ったからには、バイトでもなんでもして、毎日パンだけはあげるから。そしたら死なへんやん」
ちょっとだけ笑いながら言ってた。
房野に毎日パンだけは食わすこと出来る、って。
僕もちょっとだけ笑いながら「パン、くれるんすね」って返しました。
そしたら「うん」て。
いずれは東京に。ずっとボンヤリ考えてはいたけど、明確に上京を思い描いたのはこのときです。
西野さんと名古屋で会うたびに、パンを届けてくれる話を何回もされて、東京に行かなきゃって、本気で思ったんです。
そこからすぐ、僕らのコンビは上京。
今日に至るまで西野さんには、本当に数えきれないくらい、お酒もごはんもご馳走になってきました。
でも西野さん。
僕まだ、
パンおごってもらってないです。
パンおごってもらってないってことは、僕がなんとかやっていけてるってことだし、西野さんがバイトせずにやっていけてるってことです。
「西野さんがバイトって…」と呆れる人多数でしょうし、西野さんがバイトとは無縁のとこにいるなんて、僕が1番良く分かってる。
でもなんかそれがね。無性に嬉しくて。
今でもたまに、1人で"パンのやり取り"を思い出して、フッて笑ってます。
ではまた、15日に。
#西野亮廣
#あの日の西野亮廣
#えんとつ町のプペル
#映画えんとつ町のプペル
https://poupelle.com/news/?p=652&fbclid=IwAR2ALjWpEVQSdJNlmhurLxpakyvJuVsQJbZLWGABSO5JyaB-C23LUJ8Wn3g