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シャインマスカット愛
祖母(80代)、母(50代)、叔母(50代)と一緒に、
よく旅行に出かけている。
9月は山梨に行ってきた。
毎年恒例の旅行の中でも、大変重要な行事である「シャインマスカット狩り」の為に。
美味しいフルーツへ並々ならぬ情熱を注ぐ我が一族。
その中でもシャインマスカット(以下シャイン)への愛は特別だ。農園で買い付けるだけでは飽き足らず、大粒で房が大きく美味しいものをと、自ら収穫して買い上げる行事が定着した。
今年は25房が目標数。母達は首やら肩が痛いからと1-2房もいですぐに手をとめてしまうので(いつものこと)、ご用命の数をせっせとと狩るのはもちろん私の仕事である。
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任務を終えたところで、
「あなたにピッタリなブドウがあるからちょっとおいで」と、別の畑に誘われた。
ひょこひょこついて行くと、粒の先がぷっくりと割れた可愛らしいブドウが!品種名を聞くと
「マイハートっつうんだ。」
「あ、甘い、、、!」
お父さんが甘いのか、
一粒食べたマイハートが甘いのか?
お父さんが商売上手なのか、
私がちょろいのか?(おそらくそう)
気づいたら何房か追加で狩っていた。
長靴に首掛けタオル姿でも、不思議と爽やかな仕事姿。若い頃からこの手口で女子をメロメロにさせていたに違いない、と勝手に想像する。
![](https://assets.st-note.com/img/1694432859509-by7M2wqgcq.jpg?width=1200)
ところで、シャインと私達の運命の出会いは十数年前に遡る。
母が長野のスーパーで見つけた「種無し、皮ごと食べられる黄緑のブドウ」を祖母に食べさせたところ、その美味しさにひどく感動したという。
名前を忘れないようにと、「シャインマスカット」と大きく書かれた紙がまるで絵画のようにしばらく部屋に置いてあったそうだ。これにより一族全員がシャインの存在を知ることに。皆が美味しさにメロメロになり、シャインは唯一無二の地位を確立した(我が家で)。
昔話はいつまでも覚えているのに、大事な事はすぐに忘れてしまう我々。
毎年美味しいシャインの見分け方を教えてもらうが、翌年には分からなくなっている。担当してくれた農園の方の名前も聞くが、帰りの車ではもう思い出せない。困ってしまうし、反省もする。しかしこんな私達だからこそ、恒例行事をいつまでも楽しめるのだと信じたい。
よく考えると、美味しさ以外はシャインについて何も知らない(覚えていない)私。せっかく書くので、この機会に少しだけ調べてみた。
シャインマスカットは、農林水産省が管轄する
「農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)※」での研究により、広島県安芸津町にある「果樹研究所 ブドウ・カキ研究拠点※」で生み出された品種だ。
開発には15年以上かかったそう。
種無しがいい、皮もそのまま食べたい、病気にも強い方がいい、もちろん美味しくなくてはと交配を繰り返し、あれもこれも願いを叶えた「シャインマスカット」が完成。
2006年に品種登録されてれてから少しづつ人気が伸び続け、今ではついに巨峰の作付面積を追い越した。
シャインは我が家を飛び越え、世間でも「一番人気のブドウ」という地位を確立したのである。
※名称は全て現在のもの
※ 参考資料:
農研機構HP https://www.naro.go.jp
農林水産省HP https://www.maff.go.jp
日本農業新聞 https://www.agrinews.co.jp
ブドウ王国の山梨や長野出身のように見せかけておきながら、広島出身なんて。こんなにも時間をかけて生み出されたものだったなんて。新たな一面とストーリーを知り、シャインへの愛はますます深まるばかり。
家にシャインがあると、お腹も心も大変満たされる。農園のお父さんによると、湿らせた新聞紙に包めば2週間ほど持つそう。しばらくは慌てずに楽しめそうだ。
山梨県に限らないが、団体客も海外の観光客もかなり(コロナ前の状況に)戻ってきている。やはり多くは土日にドバッと狩って行く様子。農園の方によると、買うのも狩るのも平日の後半(木、金)ごろがお勧めだそう。
9月の残暑のお供にシャインマスカット、
いかがですか?
文責:三郎丸 彩華